読了。
もし、僕が今まで少なくともギリギリ勝ち抜いてきたことと反対のことが起きたら、すなわち、どこかで負けて挫折していたら、こんなオトコになっていただろうと思ったから。別に、このオトコが、世界で一番ひどいオトコだなんていうつもりは全くないけども。
自分の才能に一縷の期待をかけていて、自分の世界では満ち足りているところがあって、対外的には自分と同じスタートラインで、若しくは後方からスタートしている成功している者を見て悔しさで直ぐに立ち上がれなくて、だから、純粋無垢に自分を褒めてくれる人間が心地よくて、でも怖い、という感覚。
純粋無垢な人間を怖がるというか、実は最も自分の息の根を止めることができる人物風に仕立て上げるのは、どこか太宰の匂いがしないでもない。
もちろん、僕は、このオトコに感情移入するあまり、本当は彼女を描くことで引き立たせるくらいで終わるという作品でいいのに、その彼女との先を異常に期待しすぎてしまい、勝手に、ラストに物足りなさを感じてしまった部分がある。そこは、作者の意図を汲取れず、自分というものを出し過ぎたと自省しているところであります。
人って、いつまで、自分のやりたいことを自分の世界の範疇だけで、追いかけていけるだろうか。いや、追いかけることが許されると、素直に(ないしは、気づかずに)思うことができるのだろうか。
社会とか他人とかを入れ込むと、どうしても、純粋ではいられなくなる。