私は機械系の特許出願が専門ですが、管理職となって化学系の特許出願を読む機会も増えました。

 

 化学系の出願では、先行技術の存在により、余り広い特許が取得できる公算が高くないにも関わらず、「特許請求の範囲(特許出願で特許の権利範囲を定める部分、所謂、クレーム)」に記載された数値範囲をサポートするために、実験データや実験条件、測定方法等の細かな技術情報を開示しているものが見受けられました。

 

 勿論、「特許請求の範囲」に数値限定が増える程、この数値範囲のデータや条件を記載する必要があり、これを怠ると、サポート要件違反(特36条6項1号)等で拒絶される恐れがあり、最悪特許を取得できないことになります。

 また、「特許請求の範囲」と無関係に、発明提案書(発明考案届出書、アイデアメモ等)に記載された技術情報を記載すると、特許を取得でた場合はまだしも、特許を取得できない場合には、単なる自社の技術情報を公に開示しただけになります。

 

 しかし、そもそも自社の実験方法やデータ等の詳細を開示してまで狭い権利範囲にしかならないことがわかっている発明を出願する価値があるのでしょうか。

 

 化学系の出願に限られるものではありませんが、私は、権利範囲が狭く、自社の技術情報、ノウハウを開示する量が多い場合には、原則、出願しない方が良いと考えています。しかし、これが結構難しい。