『 わかれ 』


いっそ傷つくわかれがよかった
そう思う日がある

泣いて 怒って 憎んで
でもやっぱり好きで
同じところを ぐるぐる ぐるぐる
心が擦り切れるくらい 廻って

瘡蓋(かさぶた)ができては 剥がれ
また 血が流れ
また 瘡蓋ができて
やがて 傷跡を残しながらも
いつしか 痛みも消えてゆく

傷つかない
わたしたちのわかれは
もう逢えないという
事実の前に
ただ独り 立ち尽くす
いつまでも いつの日も

Photo:月夜