この日は旦那が仕事を早退して一緒に診察に臨んだ。



予約の時間が過ぎてもなかなか呼ばれない。


娘はだんだん退屈して、まだ〜?と不満そうな様子だった。


予約の時間から1時間半を過ぎてようやく呼ばれた。


診察室に入ると、先生が最近の体調のことなどを簡単に聞いてきた。


娘は恥ずかしそうにニコニコしている。


すると先生が一枚のプリントを机の上に置いて言った。


検査の結果、ターナー症候群であることがわかりました。


……。


……。


先生が説明するのを聞こうとしたけど、不思議なほど頭に入って来ない。


え?ターナー!?


嘘でしょ?


でも、机の上のプリントにはターナー症候群とはっきり書いてあった。


何とか説明を聞かなきゃと思い、必死に心を立て直す。


告知されて、娘の前で泣いちゃったらどうしよう。


そんなことを考えていたけど、頭を殴られたみたいでフワフワしていて涙は出てこなかった。



娘のてんかんについて記録したいと思って始めたこのブログ。

あれから何度か発作を起こしたものの悪化することなく、てんかんについて考える時間が少なくなっていた。

主治医の先生に何となく相談した娘の低身長が全ての始まりだった。

私自身、低身長で成長ホルモンの投与を6歳から始めていたこともあって、娘の低身長はずっときにかかっていた。

そこで、もし成長ホルモンが不足しているなら早めに治療した方がいいだろうと思い、内分泌科に回してもらうことになった。

しかし、私の予想は外れ、最初の血液検査で成長ホルモンは問題無いとのことだった。

え?成長ホルモンでてるの?

…なら何で小さいの?

自分がそうだったから娘もきっと成長ホルモンが足りない、そう考えていた私には大きな衝撃だった。


思わず、ターナーでないか心配です。


そう口にしてしまった。


先生からは、染色体の検査を提案され、その日のうちに検査することになった。


低身長には下垂体から出る成長ホルモンの分泌不足によっておこるもの、骨の成長が正常に起こらない骨軟骨異栄養症、染色体に欠損があることで起こるターナー症候群が代表である。


この3つの中で私が一番恐れていたのが、ターナー症候群だった。


なぜなら、ターナー症候群は二次性徴が現れず、妊娠、出産はほぼ不可能だからだ。


まさかターナーじゃないよね。


そう思いながらも、ターナーだったらどうしよう。と不安が押し寄せてくる。


両親に話すと、大丈夫!親戚は皆小柄だからあんまり心配しすぎないで!と言われた。


でも調べれば調べればほど、身体的特徴が娘に当てはまっている気がしてしまう。


この日から結果がわかる3週間は生きた心地がしなかった。何とかターナーじゃないと思いたくて、かかりつけの小児科の先生に相談にも行った。


そこでは、血液検査の結果を1つ1つ見てもらった。


先生からは、低身長は多くの場合原因不明であることが多いですよ。と教えてもらい、少し気持ちが落ち着いたが、精神的にまいっていたせいか相談中も勝手に涙が出てきた。


そして、ついに結果を聞く日がやって来たのだ。

診察が終わって、早速明日脳波と心電図を取ることになった。


検査は眠っている状態でないとできないので、眠くなる薬を飲ませると説明があった。そして、できるだけすんなり寝るように寝不足の状態で来てくださいと…。



うわ~。ちゃんと検査できるかな?



不安に思いつつも、明日に向けて夜更かしさせて、朝はいつもより早めに起こすことにした。



そして、検査当日の朝、眠そうな娘を車に乗せて病院に向かう。


さすがに仕事を連続で休むわけにいかない。


旦那には仕事に行ってもらった。


私は、発作後に職場に事情を話し、とりあえず有休を使うけど、有休足りなくなったら秘密に処理しておくから!と社長に言われた。


他の上司もたくさん気を使ってくれて、話を聞いてくれた。


お子さんのママはあなたしかいないんだから!
大丈夫‼︎こっちは任せて!

と言ってもらえた。


泣いた。



こんなに暖かい人たちと一緒に働けて幸せだと思った。


私、臨時なのに…。


ありがとうございます‼︎と泣きながら感謝した。


そんな経緯からとにかくひと段落するまでは仕事を休めることになった。


自宅から病院は車で20分。



川沿いの道を走る。



まさかこんなことになるなんて、去年はこれっぽっちも思わなかったなぁ。



そんなことを考えていると、娘がうつらうつら…


こりゃいかん‼︎



娘~‼︎寝るな~!寝たら死ぬぞ~( ̄◇ ̄;)



車の中で叫びながら大音量で歌ったり、12月の寒い中、窓全開で車を飛ばした。



なんとか無事に病院に着き、早速ねむり薬をもらう。黄色のジュースみたいだ。



娘はジュース?と嬉しそうに尋ねてくる。


すまん!娘よ。


美味しいよ~。なんて嘘をつきながら騙し騙し飲ませる。


これヤダ~!と嫌がるが、時間をあけて少しずつ飲ませる。



その後は抱っこしながら、ユラユラしり、病院の中を散歩したりして、どうにか眠らせるように必死だった。



薬を飲み始めてから1時間位すると、ようやく娘な寝息を立てた。



チャンス!とばかりに検査室に運ぶ。



脳波と心電図は一緒に検査できる、とのことで薄暗い検査部屋のベッドに娘を寝かせる。


小さな体はあっと言う間にたくさんの機械に繋がれた。


頭には脳波を測定するために接着剤みたいなゼリーをそこら中つけられ、頭はベトベトだった。


お母さんは廊下で待ちますか?と言われたが、娘と少しでも側にいたかった。


薄暗い部屋の片隅で用意された椅子に座る。


そして、いよいよ検査が始まる。



娘の顔の前にはデスク用のライトみたいなものがセットされている。


そのライトが色々な速度で点滅する、


そんな検査だった。



昔、アニメ番組の光の点滅で全国の子どもがてんかんを起こしてニュースになったなぁ…。



そんなことをぼんやり考えながら検査の様子を見ていた。