超古典落語の会無事終了、御礼

 去る平成24年2月18日、第5回超古典落語の会が無事終了しました。この会をもって一応最終回といたします。


 平成21年の年明けだったと思いますが、かつての落研仲間だった小佐田定雄さんと呑む機会があり、そこで何か一緒にやろうと話したのが出発でした。桂米朝師匠はかつて滅んでいる古い噺を掘り起こし、ご自分で工夫されて今日にいくつもの噺を残されました。われわれは自分でというわけにはいきませんが、咄家さんの協力を得て掘り起こそうという試みです。江戸時代の文献でしか残っていないものも工夫して現代に蘇らそうという狙いもありました。


 ご存じのように桂九雀さんは、ご自分で作・演出のできる方です。九雀さんの協力が得られ、落語工房の助けがあって、実現の運びとなったわけです。


 第一回は米沢彦八の咄本から二作と江戸の小咄本から一作、それと上方では珍しい噺。第二回から橘ノ円都師匠の咄で、今日の咄家さんの演じないものの復活もめざしました。また、初代桂文治の作品も手がけるようにしました。第三回は二回目とほぼ同様の趣旨でした。第四回は、初代桂文治の弟子で落語作家の祖というべき月亭生瀬(つきてい・いくせ)がらみのものを、復活しようとしました。第五回は、小佐田さんは上方咄本から、くまざわあかねさんは江戸時代の随筆から材を採り、わたしは御霊神社に縁の深い松田弥助(初代桂文治の師匠)の作品から作ることにしました。

 ありがたいことに毎回好評を得て、手弁当ながら赤字も出ずに、会場をお借りしました御霊神社さんにも喜んでいただけたように思います。毎回、昔のなじみで橘右一郎さんが寄席文字を書いてくれたこともありがたく思っています。

 こんな試みの会に、お越しいただいた皆様に心より御礼申し上げます。私自身は、円都師匠に教わったことを、少しは咄家さんにお返しできたかと思っています。また、落語づくりの面白さとむつかしさを体験できたことは、おおげさにいえば、今生の思い出になると思います。

 いつかまた、このような機会があればとも思っています。