タイトルから想像すると、美味しいご飯メニューがいっぱい出てきそうな
お話の様ですが、全然違います。
全国に支店のある、中堅どころのパッケージデザイン会社にその支店の営業部に
勤める二谷。
支店に移動になってから、仕事を教えてくれた芦川さんと密かに付き合っている。
その芦川さんは、年齢は一つ上なんだけど、か弱い守ってあげたくなるタイプ。
身体も弱く、残業もほとんどしないし、早退もする。
コンプライアンスにうるさい昨今、上司も帰るなとは言えない。
芦川さんはお料理上手な上に、お菓子作りも上手。
手作りお菓子を持って来ては、三時や昼少し前を見計らって、配る。
多分、美味しいらしい。
二谷の一人暮らしのアパートには週末だけ、来てはおいしいごはんを作ってくれる。
彩、バランスのとれた。
でも、二谷は芦川さんが寝入った隙に、そっとカップ麺を食べる。
お腹が空いてではない、でも、ミタ子は分かる気がする。
優しくてお料理が好きで、可愛くて実家暮らしで苦労なんてしたことのなさそうな、
誰からも反感をかわない、芦川さん。
でも、急に早退したり休んだり、研修に出なかったり、
その穴を埋めるのは、一年後輩の押尾さんはじめ、二谷たち。
仕事が増えて残業が多くなっても、芦川さんは6時過ぎには帰っちゃう。
仕事が終わってお腹が空いた二人、押尾さんと二谷は居酒屋で
腹を満たすついでに、芦川さんの話題に。
押尾さんは仕事が出来る。芦川さんは出来ないタイプだ。
なのに、早退しても文句を言われない、上司もパートさんたちにも。
芦川さんのたちの悪い所は、悪意が全く無い所だ。
純粋にいい子なのが、押尾さんも苦手だけど嫌いになれない。
食べる事はお腹を満たすだけでは無い、身体を作るだいじな栄養素を取り込む為、
心を豊かにする為、手作りのお菓子にいたっては、心がこもってるんだから
それは分かるんだけど、ごはんを美味しいと思わなくちゃいけないの
甘ったるいまとわりつくお菓子を、有難く美味しいといわなきゃいけないの
ミタ子は二谷の気持ち、分かるなぁ。
二谷が千葉の支店に移動になる送別会で芦川さんが二谷の為に言った
最終ページの一言
「わたし、毎日、おいしいごはん作りますね」
二谷をキラキラした濁りの全くない瞳で見つめて、心からの本心で放ったんだろうな。
最後までお付き合いくださりありがとうございます
