久々に重松清の本を読みました。
連作短編ながら、ずっと200ページ前後の本を読んで来たミタ子にとっては、
437ページ分厚い本でした。
「ハンカチ」「ひむりーる独唱」「おまもり」「青い鳥」
「静かな楽隊」「拝啓ねずみ大王さま」「進路は北へ」「カッコウの卵」
の8つの連作短編。
中学生時代って、子供では無いけど、大人でも無い
揺れる難しい、だけどとても大切な人生の季節。
悩み多き中学生が主人公。
塾や家庭では普通に喋れるのに、学校や学校の人の前では、言葉を発する事の出来ない生徒、いじめの加害者になってしまった生徒、
父親の自殺に苦しむ生徒、親に愛されず家庭を知らずに育った生徒たち。
村内先生が非常勤講師として赴任してくる。
村内先生は国語の教師なんだけど、吃音で上手く話せない。
「か」行と「た」行と濁音が、つっかえる。
だけど、つっかえながら、「大切なこと」を教えてくれる。
つっかえてもつっかえても、顔を真っ赤にしながらも。
先生は言う。
正しく無くてもたいせつな事だってあるんだ。でも、たいせつじゃないたいせつな事は
絶対にないんだ。たいせつな事はどんな時もたいせつなんだ。
中学生でも高校生でも。おとなでも子供でも。
先生は正しい事を教えるために先生になったんじゃないんだ。
先生は、たいせつなことを、教えたいんだ。
もっさりしたオジサンでちょっとお腹が出た吃音の非常勤国語教師。
非常勤なのは、日本中の村内先生を欲している、
「ひとりぼっち」の生徒のそばに居て、「ひとりぼっちでは無い」ようにする為。
素敵な素晴らしい、本当の教師の話。
おススメの一冊です。