NHKの本の番組で紹介してた、金原ひとみさんの

「アンソーシャルディスタンス」を読みました。

 

2010年に芥川賞を、ミタ子の好きな綿矢りさの「蹴りたい背中」と同時に

「蛇にピアス」で受賞された、金原ひとみさん。

 

ちょっと内容が暗そうで怖そうで敬遠してたんですゎ。

 

この本は「ストロングゼロ」、「デバッカー」、「コンスキエンティア」、

「アンソーシャルディスタンス」、「テクノブレイク」の5編からなる短編集です。

 

連作短編では無いので、どこから読んでも大丈夫。

二話目の「デバッカー」が一番主人公の気持ちが分かる。

 

 

35歳のキャリアウーマンの森川。

24歳になったばかりの大山とこっそり付き合っている。

 

大山の方が好きで結婚まで考えているんだけど、森川は年上である事が気になって仕方ない。

 

デートも夜照明の暗いレストランとか、照明を落とした水族館とかだと安心する。

でも、明るい昼間、動物園へ誘われて激しく動揺する。

 

自分は11歳も年上のおばちゃんだ。 35歳にしてはスタイルも顔立ちも悪く無いし、

若く見られる。

だけど、大山と同期の女子社員と比べると、明らかに皺、たるみ、くすみが…

 

明るい所でデートでキスする時、向かい合わせになる時、

顔が近づいて見られたら困る。

 

で、彼女は整形にハマって行く。

メスで切り開いて縫ってと言う、顔をごっそり変える整形では無くて、

ヒアルロン酸注射とか、ボトックス注射とか、皺が伸ばされてふっくらさせるような

印象がちょっと若くなるような、整形手術だ。

 

ダウンタイムも短くて、金曜日に受けて、日曜日にはデートをするという感じ。

 

最初は良かった。彼も周りも整形には気づかず、お金は掛かるし痛い思いもするけど。

でも、一度ハマるとあってもこっちも気になって

整形しないではいられなくなってしまう。

 

脂肪溶解注射に満足出来なくなって、別の病院で手術を受けて失敗してしまう。

輪郭を少しスッキリさせたかっただけなのに

ゲッソリ肉が落ちて、10歳ほども老けて見えるように。

 

マスクが外せないようになり、自分から大山へ別れの電話を。

 

大山には分からない、11歳の負い目を負った森川の気持ちが。

幾ら頑張っても11歳差は埋まらないし、彼は森川の外見を好きになったんじゃない。

そんなの充分分かってたって、自分の「老い」をバグと捉えてしまう、どうしても。

 

バグは直さなきゃ、とそればかり考えてしまう。

 

この本の3話までは、感情移入は出来ないけど、気持ちは分かるかなって思いました。

でも、その後の2話は生々しい性描写が多すぎて、面白く無かったです。

 

最後までお付き合いくださりありがとうございます

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