作品タイトル② | 大神Blog

作品タイトル②

昨日はカプコン恒例の「誕生日会」があり、夕食とお酒をお呼ばれしてきた神谷です。

この誕生日会は二ヶ月に一回開催され、誕生日を迎える社員が集まって、辻本社長を
囲んで食事する会です。…いつもは散々飲んで酔っ払って、酒臭くなって仕事に戻るの
ですが、週末のロム焼きに向けた作業があるのと、体調が激悪なのとで、
お酒はちょっと控えておきました。…残念。

さて、それでは「大神」タイトル誕生秘話の続きを始めましょう。
どのゲームもそうだと思うのですが、開発当初はタイトル名など決まっておらず、
適当な仮の名前で呼ばれています。「大神」も、チームでは「神谷ライン」と呼ばれ、
みんなタイトル名にはこだわらずに、せっせと開発に勤しんでいました。
そして、「大神」に訪れた最初の転機…リアルな描写の追求に行き詰まり、
また和みの雰囲気をより高めるため、グラフィックのタッチを日本画テイストに
転向させる事が決まった頃の事です。オオカミについて調べていると、
“昔、オオカミは「大神」として信仰の対象とされていた”という学説を目にしました。
それについては諸説いろいろあるようですが、その「大神」という神秘的な字面は、
僕の心に強く響きました。「大自然ゲーム」だった時から、主人公のオオカミを
ただの動物ではなく、「自然を甦らせる神懸り的な力を持ったオオカミ」として
描いていましたし、丁度その時目指し始めた和風テイストにも、合致したもの
だったからでしょう。

「大神」が気に入った僕は、次に企画書を更新した時、試しにその表紙に「大神」と
いうタイトルをデカデカと載せてみました。企画書はハッタリを効かせてナンボなので、
本気か冗談かに関わらず、よくこういう事をするのですが、この時は開発初期だった
事もあり、チームからは特別な反応もありませんでした。そして誰も何も言わないまま、
ただ日々が過ぎ…そのまま現在に至ってます。

…ちょっと端折り過ぎました(笑)。途中、チームの人間やイナバと「タイトル
どうしよう?」という話題が出る事は何度かありましたが、そういう時には大抵
「大神でいいんじゃないっすか?」という答えが返って来ました。特に刺激的な
響きのあるタイトルではないですが、ごく自然にスタッフ全員に浸透したようです。
これほどスムーズに決まるのは、極めて稀ではないでしょうか。

ちなみに主人公の「アマテラス」という名前も、あまり深く考えず、気軽に付けたもの
です。「大神」は「大自然ゲーム」だった頃から、群れを形成する遊びを考えており、
和風で行くと決まった後も、しばらくこの企画が残っていました。
この時に5匹いた群れのオオカミにそれぞれ名前をつけ、そのリーダーを何となく
「天照」と名付けたのです。日本神話でも知名度抜群で、耳障りもいい「天照」の名は、
チームの中でも非常に評判が良く、すぐに定着しました。
…思えば、この名前のお陰で、シナリオに日本神話のエピソードを絡めやすくなり、
主人公としてのキャラ付けも厚みのあるものが出来ましたから、間違っても「ポチ」
などと適当な名前を付けなくて良かったと、胸を撫で下ろしています。

以上のように、「大神」はゲーム内容とは裏腹に、
名前だけは
非常にスムーズに決まったゲームなのでした。


pic39
写真:辻本社長と記念写真! 頭が光ってるのが僕。社長の向かって右側には、
    キャラデザインのシマコと、エフェクトデザインのクドーが並んでいます。
    何度も撮り直しに応じていただき、社長ありがとうございました!