斉藤哲夫4年ぶり

5枚目のアルバム(79年7月発売)。

 

プロテストソング全盛の70年、

19歳で「悩み多き者よ」

(70年2月発売)で

デビューした当時の、
若き哲学者」

というイメージとは離れ、

人生の悲哀を

切々と歌い上げているのが印象的。


なかでも、

シングルで先行発売された

ダンサー」(79年6月発売)は、
若き日の栄光を忘れられずに

年老いていく踊り子の哀しさに、

同世代の青年たちの姿を

重ね合わせており、
そんな風に考えて聞けば聞くほど

心に染み入ってくる名曲だと思う。


これほどまで

もがき苦しんでいた斉藤哲夫が、

翌年、宮崎美子の

ミノルタのCMソング
いまの君はピカピカに光って」

でヒットを飛ばすことになるとは、

だれが予想しただろう。(★★★★)」

(2006.6.20記)

 

このころ(79年ごろ)、

ご本人や事務所が

プロモーションをかけていたのか、

テレビやラジオで

斉藤哲夫さんが歌っているのを

何度か聞いたことがあります。

 

シングルになった

「ダンサー」は

とてもいい曲だと思います。

 

私にとっては、

哲夫さんの魅力に

再び気づかせてくれた、

恩人のような曲です。

 

そういう新たな路線で

進んでいくと思っていたので、

翌年の「いまの君は~」

には驚きました。

 

ヒットしてくれたのは

ファンとして

うれしかったのですが、

こちらが長いあいだ描いていた

哲夫さんのイメージとは

まったく違いますし、

なにより哲夫さんの

オリジナル曲ではなかったからです

(作詞が糸井重里さん、

作曲が鈴木慶一さんでした)。

 

おそらくご本人の意思に反した

この曲のイメージが災いしたのか、

その後哲夫さんは

なかなか新曲を

出さなくなってしまいました。

 

 *過去記事

君は英雄なんかじゃない

(オムニバス):高田渡トリビュート