いずれも岸洋子と競作になった
小さな日記」(68年10月発売)、
希望」(69年5月発売)
のヒットで知られるグループ、
フォー・セインツの
唯一のアルバム(69年8月発売)。

メンバーは
上原徹(Vo,G)、
ダニー石尾(Vo,G,Banjo)、
宮川昌浩(B)、
荒木生徳(Dr)、
加賀一兄(Key。デビューシングル
小さな日記」リリース後に脱退)。

大学在学中にデビュー。
 
音楽性はカレッジフォークに
最も近いと思われるが、
ザ・ダーツと同様に、
ドラムスがいたことで
GSとして分類されることがあり、
事実ジャズ喫茶にも
いろいろなGSと対バンで
出演歴もあるという
異色のフォークグループ。

ヒット曲が、
いずれも競作の曲だったため、
オリジナルは少ないという印象が
あるかもしれないが、
このアルバムを聞いてみると、
白いブランコ」(ビリー・バンバン)、
風」(はしだのりひこと
シューベルツ)などの
カバー曲に交じって、
夕陽と少年」チーちゃん」
星のメルヘン」などのオリジナル曲が
ほぼ半分収録されており、
なんといっても、
上原徹とダニー石尾の奏でる
ハーモニーが美しい。

学生であることの
こだわりがあったのか、
卒業のころには
活動を休止してしまうが、
その後、同じメンバーで
フォークローバースという名義で、
ドラマ主題歌「冬物語」を
ヒットさせている。

のち活動を再休止。
 
上原徹は、
フジテレビの関連会社社員を経て、
テレビのディレクターとして
多くの実績を残し、
ダニー石尾は音楽活動とともに
ナレーターや
ラジオのディスクジョッキー
(スタジアムDJとしても有名)として、
宮川昌浩は、タレントに転じ、
志賀正浩と芸名を改め、
軽妙な司会を中心として幅広く活動、
荒木生徳は俳優に転向、
仮面ライダーストロンガーを
演じるなど(役名にちなんで
芸名を荒木しげると改名)、
各メンバーはそれぞれ
多方面で活躍している。

海外勤務の長かった上原が帰国し、
当時の所属音楽出版社の
社長に就任してから4人で再結成。

往年のハーモニーも健在、
新曲をリリースしたり
ライヴを行ったりと、
本格的に活動を再開している。
(★★★★)」(2011.2.4記)
 
フォー・セインツは、
バンド編成のフォークグループとして、
独自の活動をしていました。
 
「冬物語」がヒットしたときは、
まさかフォー・セインツの
別名義だとは思いませんでしたね。
 
上原さんが帰国して、
再結成の活動を始めたころの、
2011年のライヴに
足を運んだことがあります。
 
単独のライヴではありませんでしたが、
サポートメンバーを1人入れただけの、
いたってシンプルな編成での演奏で、
上原さんと石尾さんのハーモニーが、
とにかく美しかったのを覚えています。
 
ただ、ドラムの荒木さんの顔色が、
客席から確認できるほど悪く、
体調がよろしくないのではと
思っていたところ、
翌年お亡くなりになられたことが
ショックでした。
 
そのときのMCでは、
ベースの志賀さんが
大病をした話をしていましたが、
いまは4人とも元気で、
これからもずっと
活動していくようなことを
宣言していたので、
荒木さんの訃報は衝撃的でした。
 
そしてさらに2年後、
ダニー石尾さんも
お亡くなりになられてしまいました。
 
せっかく全盛期のメンバーが揃って、
楽しく活動を再開できたのにと、
とても残念だったと思っている人は
多いと思います。
 
 *過去記事