「地元広島での

フォーク村の活動をきっかけに

エレックレコードからデビュー、
この時点ではCBSソニーに移籍していた、

よしだたくろう(吉田拓郎)の

単独ライヴ盤(73年12月発売)。


このライヴでも、

それまでのフォークギターでの弾き語り

というフォーク界の常識を一変、
バンド編成の演奏陣(高中正義、

松任谷正隆、岡澤章、常富喜雄、

田口清、石川鷹彦など)をバックに、
自らもときおりエレキギターを持ち、

軽快に8ビートのロックを

楽しんでいる様子が伝わってくる。


収録曲は、

ほぼ新曲と新アレンジ曲でまとめられ、
特に出だしの2曲

「春だったね '73」「マークⅡ '73」、
多くのカバーが存在する「落陽」、
このライヴのクライマックスともいえる

「望みを捨てろ」など、収録の13曲、

どこを聞いても若き吉田拓郎の

自分の音楽への自信が感じられる

パフォーマンスになっている。


ただ、「望みを捨てろ」は、

当時、ミュージックテープにのみ

ロングヴァージョンが

収められていたようなのだが、
何回かのCD化の際にも、

この部分のチェックは

されていなかったようで、
レコードに収められた

ショートヴァージョンのままに

なっているのは残念。(★★★★★)」(2007.2.21記)

 

吉田拓郎さんの、

CBSソニー移籍後の、

初めてのライヴアルバムです。

 

拓郎さんは、

「結婚しようよ」(72年1月発売)

「旅の宿」(72年7月発売)

などヒット曲にも見えるように、
今までになく親しみやすいメロディと、

字余りではありながら、

身近なテーマの歌詞をもって、
それまでプロテストソングとして

機能してきたフォークのイメージを

一新したことで、フォークを大衆化し、

多くのファンを獲得した功績は大きいと思います。

 

このアルバムを聞いてみてもわかるように、

フォークという枠を、

あえてたやすく跳び越えて、

ロックや歌謡曲にまで

自分の世界に引き込んでいた、

このころの拓郎さんは、

誰よりも輝いていたと思います。