「10代にして
プロテスト・ソング/関西フォークの
中心人物となって中川五郎が、
20歳の時に発表した、
初のフルアルバム(69年11月発売)。
収録曲は、先に発売された
六文銭とのカップリングアルバム
「六文銭/中川五郎」(69年4月発売)と
重複はあるものの、
当時の若者たちに愛唱された
「殺し屋のブルース」「いつのまにか」
「うた」「自由についてのうた」など
海外の曲を翻訳したもの、
もしくは新たに歌詞をのせたものと
オリジナル曲とで構成されている。
特に、「受験生ブルース」と同じく、
高石友也によって、
コミカルな曲として生まれ変わる
「主婦のブルース」、
そしてなにより、
メッセージソングとしては最高峰といえる
ピート・シーガーの名曲
「腰まで泥まみれ」など、
歌詞の重みが印象的だ。
この時代、
いかにフォークが熱気を帯びていたのか、
そして中川五郎が、
うたを通じて何を伝えたかったの
かが、
実にはっきりと打ち出されている名盤。
(★★★★★)」(2006.11.3記)
中川五郎さんは、
高石友也さんや岡林信康さんに次ぐ
関西系フォークの旗手として、
高田渡さんたちとともに、
圧倒的な人気を獲得していました。
ただ、時代の変化に伴い、
続く世代が、プロテストソングを
欲しなくなっていった事もあり、
以後徐々に、執筆と翻訳に
重きを置いて活動されるようになります。
翻訳では、商業的に成立しにくい
海外のロック・ミュージシャンの歌詞や、
チャールズ・ブコウスキーの
小説などを多く訳し、
大きな成果を挙げられました。
その後、音楽活動を再開、
現在でも、不定期にライブを行っています。
この当時の曲は、
時代にそぐわないからという理由で、
一時期、まったく聞くことができませんでしたが、
天災、人災の相次ぐことになっているこの時勢に、
黙っていることができず、
封印を解いて、
歌われることが多くなっているようです。