「ビートルズのラストアルバム

「LET IT BE」(70年5月発売)は、

解散騒動のごたごたのなかで、
メンバー(というよりポール

およびジョージ・マーチン)

の手を経ず、
ジョンのソロ活動に付き添っていた

フィル・スペクターの

単独作業により出されてしまったと、
ことあるごとに主張していた

ポールだったが、
ようやく念願がかない、33年のときを経て、
ポールが主張するところの、

オリジナルなかたちで

出されたアルバム(2003年11月発売)。


元盤にはない

「DON'T LET ME DOWN」を加え、

「DIG IT」「MAGGIE MAE」をカット、
ヴァージョンも配列も違えた

全11曲が収録されている。


スタジオおよびアップルレコード屋上の、

オリジナルのセッション音源から

起こしたということで、
かなり生々しい演奏を

聞くことができるが、

やはり耳慣れたヴァージョンの

印象が強くあり、
ポールの懸案だった

「THE LONG AND ~」

のストリングスレスヴァージョンも、
聞きなれれば、味わい深く聞こえてくるものの、
「なるほど、ポールは

こうしたかったんだね……でもねえ……」

というのが第一印象だった人が

多かったと思う。


ボーナスディスクの

DISC2には映画「レット・イット・ビー」

制作時の音源や会話などが収録されており、
こちらは生の雰囲気を素直に楽しめる、

いいアイディアだと思う。


コピーができない

CCCDとかいう処理がされているらしいが、

これが大いに不満。(★★★★)」(2006.10.27記)

 

かなり大雑把な書き方をしていますが、

まあ、そのような事情で、

長い年月を経て、

ポールの理想形とされているのが、

このアルバムでした。

 

ポールが主張していたのが、

とくに「THE LONG AND WINDING ROAD」の

ストリングスアレンジを

無許可で加えられたことだった

という話が有名なので、

まずその部分を聞かれた方が

ほとんどだったと思います。

 

ただ、どなただったかは失念しましたが、

現役のミュージシャンのかたが、

「いまさら隠し子を出されて、

これが実子なんだと主張されても、

30年以上信じていた僕らは、

戸惑うしかないじゃないですか」

というようなことを

いわれていましたね。

 

ポールには申しわけないですが、

おおむねそのような感想を持たれた方が

多かったようです。

 

このアルバムは、

数々の情報からの推測に基づいて、

無許可で出されていた

数多くのブート盤つぶしとも

噂されていましたが、

その効果はどれほどかは

あったのでしょうか。