邪聖剣ネクロマンサーのギーガー風の箱絵で植え付けられたトラウマは、翻ってみれば僕らのイマジネーションが大いに動かされた証左でもあるだろう。
本家ギーガーがエイリアンのデザインで全世界的に人々の恐怖と嫌悪を刺激したことを考えるとおぞましいとしか言う事が出来ない。それくらいギーガーは逆に素晴らしい。
この土気色の女性の意匠はギーガーの最も有名な意匠のひとつだろう。本当に気持ち悪い。整った顔だちに死体のような雰囲気。腐った魚の目。怨念そのもののようだ。凝視できない。
このように邪悪を絵描き出すことのできる作家というのは相当メンタルが強いのではと思うところがある。魔界なんてもんじゃない。これは何界に属する存在だろうか?宇宙は邪悪に満ちている。
女性のもつエロチックなカーブも筋骨の表現と相まってサイバネティックに表現されるとおぞましさ以外のなにものでもない。唯一救いなのはあの「死体の目」をしていないところか。吐き気がする。
クロウリーの著書にギーガーが絵を描いているのは凄くセンセーションだ。これはもう出版社の成功だと思う。これだけで中身が殆んど行法を行った上でのメモ書きであることを上手く隠す効果がある。いや、この著書はギーガーの箱絵を楽しむためのものかもしれない。

ともあれ、ギーガーの作品は本当に吐き気がする。しかしそれを芸術的昇華に感じるのは僕らのもつ暗い衝動への一つの反作用なんじゃないかと思う。芸術というのは良いストレスであることも必要なのだろう。