非常に評価が難しい。


アカデミー賞作品賞ながら、所詮白人が作った黒人映画と揶揄されるのが納得できてしまう内容だった。


ドクター・シャーリーがあからさまに差別されている場面も、本人がサックリ割り切っている部分が強調され過ぎているため、そこまで苦悩しているように思えない。描写がソフト過ぎる。


ケンタッキーの演奏会場で招かれた夕食会でフライドチキンが出てくる場面があるが、黒人への無理解と、本気でそれが「気遣い」だ思っている白人の尊大な態度を表すこの場面が、まさしくそのままこの映画のことを指しているように感じてしまった。


彼が同性愛者だった件もなんの伏線や前振りもなく唐突に出で来て、そして回収もされない。その事実があったから「ただ単に付け加えただけ」に思えてしまった。要するにヘタクソだ。


極めつけはラストの雪道での警察官のエピソード。

あの場面でこの映画の全てが台無しになってしまったような気がする。

蛇足も蛇足、この期に及んで「当時の白人でも良心があったんです」なんて言いたげなこの描写が、逆に映画をみっともないものにしてしまっていた。


一方で「お上品なピアニストとイタリア系のチンピラのロードムービー」という観点からすると、お互い認め合っていく過程がそれぞれの細かいしぐさや態度で表されており、よく出来ていたし、マハーシャラ・アリの演技も、前回アカデミー助演男優賞を受賞した「ムーンライト」の時とは全く違う演技で素晴らしかったし、それなりに見所があるものだった。


ただ、作品賞は「ROMA」の圧勝だと思う。