正直に言うと、私、この作者の何だか読者にこびているような文体が好きではなく、「本日は、お日柄もよく」からずっと遠ざかっておりました。

でも、知人からこの本の感想を聞き読んでみました。

なるほどやっぱり読者が好きそうな物語の流れや言い回しが気になったけど・・・良かった。

引き込まれました。

ある意味、結構な人が好きな映画と上げる映画のタイトルが入っていたのも気になったけど、その中で繰り広げられる人間模様になんともいえない、アメリカ映画を見終わった後のようなすがすがしさを感じたのです。

映画好きだけど今までさんざん泣かされてきた実父。私だったらこんな親に主人公のように付き合っていけるのか自信がないけど、その映画好きが唯一のとりえの父に助けられるのもこの本の良さなのかもしれない。

心温まる、そして珍しくまた読み返したくなる一冊です。

 

キネマの神様 (文春文庫)