そんなに長い小説ではなかったけど、一気に読んでしまった。
なかなかの描写なので、電車で読んでいたらちょっと周りが気になる・・・そんな内容。
母親の死から自堕落な生活をしていたのだが、娼夫の仕事をし始めた大学生リョウ。様々な女性と出会い、絡んでいくうちにそれまでの想いを打ち消す何かに動かされるようになる。
しかし、同級生メグミによりそのボーイズクラブは摘発され新聞記事になるが、ようやくリョウのやりたいことが定まっていく・・・。
娼婦、娼夫という仕事の是非を唱えるつもりはない。しかし、同級生メグミの気持ちも分かる気がした。自分の愛する人が娼夫という職業についていたら、自分と同じ位置に引き戻したいと思うだろう。一方でリョウの気持ちはどうなんだと考える。汚いものでも見るように自分を見て、その職業から足を洗えという。こういうことって世の中、仕事だけでなくいろいろなところで見るものじゃないか。自分が是、だからあなたの非を改めろ、と。でも、自分が非と思っていることでも、人が違えば是となることがあるんだと気づく本書であった。
<内容>(BOOKデータベースより)
恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく…。いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。