600ページもの長編。
中間くらいまで状況説明のような旅行記のようなちょっとダルイ感じだった。しかし、いったん物語が回り始めると、今までの停滞はどこえやら、ものすごいスピードで読者である私を襲ってくる、そんな感じでした。
題名通り、シェイクスピアの「マクベス」をベースに物語は進んでいくので、「マクベス」を知らない私はもしかしたら十分楽しめなかったかもしれない。
しかし、誰も信用できない状況下の中、誰も疑うことができなかった主人公中井が最後の最後に取った行動に予想もしなかったし、イラつきもした。
高校生の頃の初恋をずっと引きずって最後の最後まで守り抜こうとした中井。甘酸っぱい思い出では片づけられない何か揺り動かすものが、今までの小説にありがちな結末を避けたのだと思う。
終わり方でこうも読後も縛り付けるのかと、ある意味すごい本だと思った。