麻子という女性の幼い頃から結婚直前までのお話し。

書評とかを読むと、作者の繊細で情景を思い浮かべられるような表現が素晴らしい・・・というのが多々あったけど、私は、ちょっと回りくどすぎて逆に思い浮かべられない箇所が何箇所もあった。

姉妹愛、家族愛、そして恋愛。No.1からNo.4に移り変わりゆく中で、麻子の行動・心情が変化していく。誰にでもあるように好きな人ができて、彼を盗み見る時間や一緒にいる時間が愛おしく、そして失恋。就職して出向、そして本社に帰ってくる段は、同じように就職して思い悩んでいる人にぜひ読んで欲しいと思った。私も就職したとき1年から1年半ほどは、病気になるんじゃないかと思うくらい人間関係そして仕事内容に悩んだ。今となっては、ちっぽけなものだと思うものでも、当時は、「サザエさん症候群」になるほど悩んだ。だから、本書で麻子が悩んでいるのを読んだとき、誰でも通る道なんだと思い、同時に麻子のように、あの時があったから今があると思える。

No.4の段では、麻子が本当の恋をし、結婚を考え始めるのだが、No.3までの経過を考えるとちょっと早足感が否めない。また、妹、七葉との関係も最後サラッとしか描かれず、さらに七葉と従兄で麻子が愛した慎とのその後の関係も描かれず、消化不良気味でもあった。