大阪松竹座で行われている「七月大歌舞伎」を観劇。今回は、特に観に行く予定ではなかったのですが、新聞で「伊勢音頭恋寝刃」が良いと書かれていたので、それならば、と観に行きました。

片岡仁左衛門扮する福岡貢が、恋人の遊女お紺(中村時蔵)にもバカにされ、満座の中で恥をかかされたと思いこみ、次々と人を斬ってしまう・・・その惨殺さがみどころ・・・ということだったのですが。うううう~ん。正直、もっと勢い、そしてぞっとする程の迫力があったらなあ、という思いでした。仁左衛門さんの男前っぷりは、良かったけど。

これだったら、昼の部に関西では初の上演となった「播州皿屋敷」の方が良かったかも。

 

通し狂言

 

伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)※下記リーフレットより

 

 阿波の国家老、今田九郎右衛門の息子万次郎は、紛失した名刀青江下坂の詮議の為伊勢へ来ましたが、古市の遊女お岸に入れ揚げ通いつめています。やっと刀を探し当てたものの、遊びの金に窮して質入れしてしまい、鑑定書である折紙まですり替えられてしまいます(「相の山」)。万次郎の後見役の藤浪左膳から助力を乞われた福岡貢と、万次郎を陥れようとする敵方の様子を窺う奴林平は、手がかりとなる密書を手に入れます(「宿屋・追駆け・地蔵前・二見ヶ浦」)。古市の油屋へやって来た貢は、せっかく手に入れた刀をすり替えられてしまいます。貢の恋人の油屋遊女お紺は、貢の為に敵方の北六らを油断させて懐紙を手に入れようと、貢に愛想尽かしをします。お紺の真意を知らぬ貢は満座の中で辱められ、その上、青江下坂が偽物であることに気づき逆上して仲居の万野をはじめ次々と人を斬ってしまいます・・・(「油屋」「奥庭」)。
伊勢古市の廓油屋で実際に起きた事件をモデルに書かれ、寛政五年、道頓堀角の芝居で初演された世話物で、『夏祭浪花鑑』と並ぶ代表的な夏狂言です。「ぴんとこな」と呼ばれる辛抱立役の貢をはじめ、周りの役も多彩に描かれており、各場に伊勢の風情や季節感が溢れ、殺しの場面では歌舞伎ならではの凄惨な美しさが堪能できるなど、全編見どころの多い作品。