司馬遼太郎さんの本。司馬遼太郎さんと言えば「坂の上の雲」「竜馬がゆく」など歴史ものを読んでいたので、結構、司馬さんのイメージを変えた一冊となりました。
和州長者、難波村の仇討、法駕籠(ほうかご)のご寮人(りょん)さん、盗賊と間者、泥棒名人、そして大坂侍の6編が入ってます。大坂侍は、結構おもしろかったのですが、中にはちょっと理解できないものも・・・。
さて、大坂侍は・・・。
時は、幕末、商人のまち 大坂で繰り広げられた物語です。江戸時代の身分制度「士農工商」で割り切れない大坂の商人。商家によっては、特に幕末、懐が寂しい藩へお金を貸していて、幕府を何とも思っていない商人が多数。幕臣の中でも、特に太閤秀吉さん贔屓の風土だから、徳川の家臣ということも全く思っていない人がわんさか。主人公の同心・鳥居又七もそのひとり。働きものの又七を見込んだ豪商・大和屋源右衛門は、出来る事なら、又七を婿養子にして、娘・お勢と添わせ、店を継がせたい」と…あの手この手と、「又七獲得作戦!」を実行…だが、又七は元来、喧嘩には強いが女には奥手の真面目人間。又七とお勢の恋物語はいかに!
という感じ。
人の良い又七とお勢、大坂の町人、悪い人がひとりも出てこない、大坂贔屓の司馬さんならでは・・・読後スカっとする本でした。