またまた百田先生の本。
大阪の 高校ボクシング部を舞台にした青春小説。何でも難なくやってしまう天才的ボクシングセンスのかぶちゃんこと鏑矢、努力して努力してボクシングを開花する進学コースの秀才・木樽優樹。あまりなじみのないボクシングを舞台に二人を通じて物語は展開されていく。私も中学生の時に一生懸命やった剣道部時代を思い出し、甘酸っぱく、それでもってもう帰ることができないあの日に思いを馳せていました。何でもすぐにできるからトップになれなかったらすぐにあきらめてしまう・・・注目されている間は物事に取り組むけど、注目されなくなったら、あきらめて次の目標を見つける・・・。私もそういうところがある。だから伸びない。誰にも注目されていなくてもやり続けると自分が気づかなかった才能も開花させることができるかもしれない・・・。耳が痛いことが描かれていた。
また、本書は、良い意味で予想を裏切ってくれる。よくある1回負けて勝つというパターンが本書にはなく、いったいどうなってしまうんやろう、と思うところが逆に現実らしくてよい。さらにこの物語は、おもな登場人物のその後まで描かれている(よくある小説は、ある一定の時期までで、めでたし、めでたし・・・が多いのだが、百田小説は、結構その後まで描かれていておもしろい)。一時でも死にもの狂いで物事に取り組んだことは、決して無駄にはならず、その後の人生に多大なる良い影響を与えてくれるだろうことを本書は教えてくれるのです。だからこそ、読後また涙が出そうになりました。
ボックス!(上・下)
太田出版
百田尚樹著