今、はまっている百田先生の本。今回は、「モンスター」。なぜこれほどまでに百田先生の本にはまるのか。この本を読んでいて、少しわかった気がしました。それは、リズムが良いこと。ページを次から次へとめくらせるのです。それには、中途半端でない完璧なる描写。今回のモンスターは、整形手術の描写が出てくるのですが、それが美容整形の病院で聞いているように詳しい。 

 

「モンスター」は、田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。その町ですぐに噂になるほどの顔を持った彼女は、実は整形で得た顔。かつては奇形的なまでに醜くく、周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々だった。そんな彼女を幼い日に一人の同級生が助けてくれる。バケモノ扱いもせず、彼女を守ってくれた。その思い出がゆえにある事件を起こし、町を追われ、そこから彼女の生き方が変わってくる。まずは、目を手術し、もしかしたら自分も美人になれるかもしれない・・・そんな思いが、莫大な金額をかけ続ける整形手術へと彼女をかき立てる。そして、あのときの同級生、英介への思いが蘇り、情念となり、田舎町に帰ってくる。そして、英介と再会するのだが・・・。

 

読み進むと、彼女の美しくなるための思いが、苦しいほどに次から次へとあふれ出てくる。正直、私は整形を考えたことがない。しかし、絶世の美女ではない。人様に迷惑をかけないくらいの普通の美人(?)。だから、美しくなることに対して、彼女ほど思いつめたこともないし、お金をかけたこともない。だから中途半端なんだろうと思った。だから、目立つこともないのかもしれないと思う。また、美しくなるための目標が彼女ほど明確でないかもしれない。

最後に・・・彼女は脳梗塞で亡くなってしまうのだが、その顔には苦しさは全くなかった。眠るように亡くなっていたと書かれている。そう彼女は目的を達成してたから、この世に未練などなかったんだろうなあ。

 

モンスター

幻冬舎文庫

百田尚樹著