舞台は大阪、ミナミと心斎橋(少し梅田)。御堂筋線に畳屋町筋、宗右衛門町、三ツ寺筋、おまけに猥雑な街角にあるコンビニ・・・。全て見知っているから、読んでいると、ありありと情景が浮かぶ、そんな感じになった。
いろいろな方の感想を読むとあまり良くない。読むのがしんどいというのが圧倒的であったが、それは昨日も今日もどこかで起こってそう、そして自分に全く関係のないことではない、自分とオーバーラップしてしまう日常的であるからなのではないか?
地下の鳩
西 加奈子著
文春文庫

著者の西加奈子さんは、イラン、テヘラン生まれ、エジプト、大阪和泉市育ちという変わった経歴を持つ。大阪和泉市のそれも光明台って!身近すぎて、物語の登場人物も土地も私の中で立ち上がってくるんです。
物語は、2編。「地下の鳩」と「タイムカプセル」。
「地下の鳩」は、世を捨てたように生きるキャバレーの呼び込み吉田と、不倫の果てにOLをやめスナックのチーママになったみさをの物語。平成の「夫婦善哉」と書かれていたものもあったけど、私は、文学的要素はあまりないと思った。だけど、人ってなかなかしぶとく、そしてこの世に生きる、生き続けることのたくましさ、しかし決して気負ったものではなく、前向きではなく、「生き続ける」ことが描かれていた。 だからハッピーエンドではなく、寂しい男女がその寂しさを埋めるために一緒に居続ける。これってどこにでもある話。だから私は読むのをやめることができなかった。
「タイムカプセル」も同じ。吉田と同じように生きるオカマバーのママの話。南の島から出てきてオカマになってバーのママをしている。ママの人間観察とその攻略がすばらしい。そこそこ美人で、仕事はできるけど結婚 していない(できない)アラフォーのOL3人組には、男性に見る目がない、と言いつつも、心の中では「いや、3人でつるんでいる限りはずっと不倫やカスの男を掴み、結婚できない」とぶった切る。心が痛む。店を離れ、ひとりになったときは、幼い日に壮絶にいじめられた経験が思い起こされ眠れない。そして、梅田のビックマンの前で人間観察をしていると、自分は誰にも存在を認められていないことに気付く。どんな壮絶ないじめでも、ママは「いじめられるというのは存在を認められている」という。
かなり重い内容であった。
物語は、2編。「地下の鳩」と「タイムカプセル」。
「地下の鳩」は、世を捨てたように生きるキャバレーの呼び込み吉田と、不倫の果てにOLをやめスナックのチーママになったみさをの物語。平成の「夫婦善哉」と書かれていたものもあったけど、私は、文学的要素はあまりないと思った。だけど、人ってなかなかしぶとく、そしてこの世に生きる、生き続けることのたくましさ、しかし決して気負ったものではなく、前向きではなく、「生き続ける」ことが描かれていた。 だからハッピーエンドではなく、寂しい男女がその寂しさを埋めるために一緒に居続ける。これってどこにでもある話。だから私は読むのをやめることができなかった。
「タイムカプセル」も同じ。吉田と同じように生きるオカマバーのママの話。南の島から出てきてオカマになってバーのママをしている。ママの人間観察とその攻略がすばらしい。そこそこ美人で、仕事はできるけど結婚 していない(できない)アラフォーのOL3人組には、男性に見る目がない、と言いつつも、心の中では「いや、3人でつるんでいる限りはずっと不倫やカスの男を掴み、結婚できない」とぶった切る。心が痛む。店を離れ、ひとりになったときは、幼い日に壮絶にいじめられた経験が思い起こされ眠れない。そして、梅田のビックマンの前で人間観察をしていると、自分は誰にも存在を認められていないことに気付く。どんな壮絶ないじめでも、ママは「いじめられるというのは存在を認められている」という。
かなり重い内容であった。
いろいろな方の感想を読むとあまり良くない。
地下の鳩
西 加奈子著
文春文庫