4.回復期   リハビリのコツ  PT編

 

リハビリには大きくわけて 理学療法(PT)・作業療法(OT)・言語聴覚療法(ST)の三つがあります。

聞き慣れない言葉ですが、かんたんにいうと担当してくれる体の違いです。

 

 

PTは歩行に関するあれこれ。OTは手を使った作業を。STは顔の体操とか認知機能などを、それぞれの

リハビリの担当の先生が回復してくれます。

 

まず歩行に関することだと、最初は車いすからのスタートでした。

やがて杖を使った歩行に移り、最終的には自力での歩行になりました。

この自力歩行になった段階で、院内をとにかく歩きました。

血圧の管理があるのでナースステーションに居場所を届ける必要はありましたが、リハビリのない空き時間には

歩いていることが多かったです。最初は一日30分からスタートして、無理せず一日5分づつ歩く時間を

増やしてみましたが、あまりそればかりにこだわっても、一日の時間には限りがあるし、他の作業もあるので

どこかで制約はきます。

 

それと時間の長さよりも正しいフォームを心がけるといいとPTの先生に言われたのと、歩行時に血管内部にできた傷を

寝てる間に体が修復してくれるのだそうですが、その修復力をうわまわる傷ができないように注意しないといけないという

ことを知ってからは、限度を守って歩くように努めました。ようするに翌日に疲れが残るほど歩くのは、少し歩き

すぎということのようです。

このとき血管内部についた傷の修復には、歩行後30分以内に牛乳を飲むとよいとも、どこかで読みました。

しかしわたしは悪玉コレステロールの値が高くて善玉の数値が悪いので、牛乳を勝手に差し入れてもらって

飲むのは、その点がやや気がかりです。

 

PTの話からはちょっと脱線しますが、病院では患者さんそれぞれに合った食事がでます。

脳卒中の障害のひとつに嚥下障害がありますが、わたしの食事には、のどを詰まらせないよう一口大に切った

ものとの指定が減塩の指定と共にありました。

ですから食事の内容は患者さん個人個人に合ったものを、病院側が把握して計算してくれていると思われます。

 

朝は牛乳が出たので、わたしの場合、アレルギーの人のように、これを絶対に飲んではだめというわけでは

ないとは思いますが、もし差し入れてもらって飲みたければ、その旨を病院側に伝えてみたほうがいいかもしれません。

 

 

階段の移動。

 

さいしょは杖の補助を借りながらで困難です。

特に足をおろす位置に気をつけないと階段を踏み外しかねない。

回復が進んで慣れてくると、杖なしに変わりました。

後日、自宅の階段に移ってからの話ですが、実家の階段は幅がせまくて、手すりもぼろぼろで

隙間もあるので、踏み外すと危険なのです。

もっとしっかりした手すりをつけるのがベストだとは思いますが。

 

このときに踏み外さない工夫でわたしがしたのが、手すりを持った状態で重心は低い位置で、カニのように

横歩きでの登り降りです。

これだと狭い幅の階段でも、足がはみ出る不安をあまり感じずに移動ができます。

人間の体の構造を考えると、足のひざは前後に曲がるように出来てますので、足の着地点も前後にずれると

階段の踏み外しが起きやすいです。しかし横歩きだと足が階段からはみ出る心配もあまりないので、その点での

安心感はありました。左手は階段を持った状態です。

体制的には手すりを持ったまま横を向いていて無理があるので、専門家がみて

どう感じるかはわかりません。もしかすると、これは危険なやり方かもしれません。

現在は回復がさらに進んで、さほど不安を感じずに登り降りできるようになったので、このやり方はしていません。

 

スロープでの登り降り。

 

さいしょのうちはスロープを降りるときに足が外側にたわみました。

足の甲の上下動の動きがあまり出ないので、それが原因だと思われます。

この甲の動きのなさにはその後も苦しみました。

まずかかとのないスリッパやつっかけが片ほうの足だけ脱げやすいです。

トイレのスリッパも足から逃げていきます。

車の運転がまたやりたいというのが私の希望でしたが、この足の甲の動きの不自由さのために

運転シミュレーターではアクセルとブレーキの踏み変えをミスしてしまうのです。

 

後日、運転免許の再テストを受けるためにセンターに行ったときですが、レイコンマ何秒かでアクセルからブレーキに

踏みかえをしないといけません。

これが冷や汗ものでして。踏みかえそのものはババっとできますが、これを踏み外しなく正確に行うのは大変です。

なんとかクリアできてまた運転できるようになりましたので、やれやれでした。

いまは車に障害者のステッカーを貼って運転しています。

ちなみにですが、シミュレーターと実車ではペダルの大きさが違うのと、構造もやや違います。

ですので、実車ではペダルの踏み外しはまったくおきてないです。

もちろん安全運転をこころがけています。

駐車場などでは、ハンドルが自分の感覚よりも大まわりになりがちです。

ある程度のスピードが出ているときは大丈夫なんですが、スピードのない状態でハンドルを2回転するのは

手がそこまでついていかずに、遅れ気味になってしまうせいです。

この点を注意すれば問題はありません。

 

再度、足の甲や足の指の動きに関してです。

寝ている時に上下に甲を上げ下げしますと訓練になるようです。

動きはほんのわずかだけなのですが、意識的な足の動きのイメージとともに。

これをやりますと、さいしょのうちは足の指がまったく動かなかったものが、ほんのわずかづつですが

指に動きが出てきます。現在では、かなり動くようになりました。

不自由は不自由なんですが。

 

それと手を使ってかかとを持って、ぐるぐると足を回すように動かすのもいいのだそうです。

足のつま先を持つのではなく、かかとをしっかりと持って、上下に動かしたりななめに動かしたりと

さまざまな三次元の動きを再現する。

このときトレーニングは手の筋肉を鍛えるのが目的ではなく、足の神経への刺激が目的なわけですから、

あくまで足の筋肉を使って足を動かそうとする意識で。ただし動きはないわけですから、そのための補助としての手です。

メインは足。

 

こちらが参考にした動画です。

https://www.youtube.com/watch?v=R0UXfukR1ks

 

動画では様々なリハビリが紹介されています。

わたしはフォルダを作って、体の部位ごとに分けて管理させてもらっていました。

どうもありがとうございました。

 

足だけでなく後に書こうと思う手のリハビリにも共通して言えることですが

動きのイメージを具体的に持つ。

 

単に回数だけを機械的に数えながらするのではなく、たとえば「あの手すりをつかむ」とか「ボールに手をのばす」

といったように、いつも具体的な動きをイメージしながら筋肉の動きをその指令に合わせるようにして、です。

このときできるだけ自然な体勢をとるように心がけて、目的以外の筋肉に余分な負荷がかかり、間違った興奮が

脳に行かないようにも注意しました。

そして体はかならずしもそこまでついてこなかったとしても、とにかく「あれをつかもう」「あれをとろう」というように

実際のボールを用意したり、ベッドの手すりを使ったりしました。

 

ちなみにですが、リハビリに使えそうな道具はとくに専門的なものではなく、そのへんの100均ショップに

売っているようなものです。

 

道具についてはOT(手のリハビリ)で書きたいと思います。

 

 

つづきます。