笹まくら (新潮文庫)/丸谷 才一
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見事な小説。
現実と心の中で考えている思考部分と
過去と現在。
この4つの世界が滑らかに、でも決して不自然でなく切り替わる。

兵役忌避をしていた過去と
その過去から開放されたかと思われた平和な今。

そこから話は始まり
現在の平穏な生活が静かに狂い始め、
過去はさらに忌避をしたその日までさかのぼる。

兵役忌避が主人公浜田自身の中で
罪であったほうがまだ救われたのではないかと思う。
罪であれば自分を責め、許しを求めることができる。
忌避が罪ではないと、
しかし正かったかと問われれば不安になる
という事では
自分さえ自らを解放できない。


一度国家に背いたものは
その国家が戦争に負け、
そのご豊かになった、
表面では変化したように見える国になっても
許しを得られないのか。