あの日松の廊下で / 討ち入りたくない内蔵助
このところ、かなりのスピードで本読んでます。今回ご紹介するのは、忠臣蔵〜赤穂浪士の討ち入りのお話。1冊目は、松の廊下で吉良上野介に斬りつける浅野内匠頭を「殿中でござる」と押さえた梶川与惣兵衛の目線から、この刃傷沙汰に至るまでの経緯を描いています。2冊目は、浅野内匠頭切腹後の浅野家のてんやわんやから討入りまでを、筆頭家老である大石内蔵助の目線で。歴史小説は大好きで、中高生の頃は父の本棚に並んだ司馬遼太郎や新田次郎を読み漁っていました。そちらを正統派とすると、こちらはかなりコミカル調。しかも、現代のサラリーマンの姿にも通ずる悲哀を感じさせるものでした。それもそのはず、作者ももともとはサラリーマン小説を書こうとしていたそうです。舞台裏「あの日、松の廊下で」 – 白蔵盈太WEBサイトshirokuraeita.com勅使(勅旨を伝えるために天皇が派遣(差遣)する使者)の饗応役を仰せつかった浅野内匠頭。必要な費用は莫大になるが、自腹。しかも天皇の使者にお粗相があってはいけないので、高家と言われる指南役からマナーを教わらなければならない。指南役の一人である吉良上野介は、家柄もよく、知識も経験も豊富で、自分の仕事に誇りを持っており、かなりの完璧主義者。対する浅野内匠頭は、下々の家臣にも方言で気軽に話しかけるなど気さくな人柄で人望を集めているが、実務能力には欠けている。吉良上野介以外の高家は知識も経験もないくせに、浅野内匠頭が贈った指導料の額にいちゃもんを付けてくる。部下は費用を削減するために、調度品の格を下げるなど勝手に動いてしまう。梶川与惣兵衛は実務能力があり、気配りもできるのだが、下級武士ゆえ上の方々には意見ができない。頼みの吉良上野介は大事な準備期間のほとんどを別件のため京都に滞在している。進まない準備に気を揉む梶川与惣兵衛は、吉良上野介に手紙で相談し、吉良上野介も高家や浅野内匠頭に手紙で事細かく指示を出すが、その真意はうまく伝わらない。実務をわかってないくせにあれこれ余計な口出しをしてくる上層部。良かれと思いつつ、勝手な判断で動く部下。会社でもありがちなシチュエーションの中、浅野内匠頭はだんだん追い詰められていき…ついに松の廊下での刃傷沙汰に至る。吉良上野介も浅野内匠頭もなんだか気の毒になってしまいました。書籍詳細:【文庫】討ち入りたくない内蔵助 | 書籍案内 | 文芸社文芸社『【文庫】討ち入りたくない内蔵助 (白蔵盈太)』の書籍詳細ページです。www.bungeisha.co.jp浅野内匠頭切腹後、浅野藩はどうなったのか。主君の仇討ちを声高に訴える藩士たち。またそれを期待する世論。筆頭家老の大石内蔵助は、仇討ちなどとんでもない、浅野家家臣を一人も死なせたくないと考え、浅野家再興を願い奔走する。しかし思うように事は進まず…筆頭家老の立場上、本音も弱音も吐き出せない大石内蔵助が、いざ仇討ちと方針を定めてからの有能さが素晴らしい。それに比べてギャーギャー言うくせになんの策も考えていない藩士たちは、結局受け身だったんだなぁ😮💨実は年末のドラマも含めて忠臣蔵を見たことがなかったのですが、とにかく面白かったです。