実家に来た保護犬トイプードルは家族皆の癒しになっている。
特に母にはベッタリくっ付き周り、母の行動を母よりも早く察して動く為毎回驚かされているのだそう。
私が実家に行く予定の日には母が、
「今日はお姉ちゃんが来るよ」
と声掛けをするのだそう。
すると急いで窓際まで行きそこにあるチェアーに座り窓の外を見つめるらしい。
私が到着するや否やピョンピョンと跳ねて大喜びを身体全体で表現してくれる。
私としては実に嬉しい事だ。
これは転勤になり週末しか自宅に戻って来られない兄にも同様らしく、
「今日はお兄ちゃんが帰って来るよ」
と声掛けすると反応しているらしい。
ただ問題なのは兄は夜遅くに帰宅し、懐いてくれる犬を連れて夜の散歩に出かけて行く事だ。
兄の戻った翌日は必ずと言っていいほどノワールは疲れきっている様子が伺える。
目がショボショボした感じで元気が無い。
しかも兄につられて夜食を食べるらしく朝のエサを食べようとしない。
しかも今回はバリカンを購入して帰宅したらしく自己流でトリムしたのだった。
「何だかノワールが再び保護されたばかりの頃の様なチグハグな毛並みになっちゃったね!」
母は笑いながらそう言った。
この寝不足犬を膝の上に抱えたものの、ぐっすりと気持ち良さそうに寝ているせいか自分自身の用事があっても椅子から立ち上がることができない。
「私の用事が全然できないじゃないの!まあでも今日はそっとしておいてあげようかねー」
などとスヤスヤ寝ている犬に向かい呟いた。
そんなやり取りを見ながら不揃いな毛並みになったノワールを見ていると私自身も癒される。
今日と言う日にありがとう。