すてきな旅人たち | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

昨日は植松電機のお盆前の仕事納め。
会社内での会議を終えた頃、内線電話がかかってきました。
「自転車旅行中の中学生が来てるんですけど・・・」
と会社の人が伝えてきました。

ときどき、いきなりやってくる大人がいます。
たいていの場合、僕は会社にいないか、修学旅行の対応をしているか、
会議をしているので、会うことはできません。
でも、昨日はたまたま僕は赤平にいて、そして会議も終わっていました。

まもなくまた内線電話がかかってきました。
「8人もいるんですけど・・・」

やがて、みんなが僕の部屋に上がってきてくれました。
聞けば、荻田さんと関わりのある人がサポートをしながら、
子どもが行き先を決める方式で3週間の自転車ツーリング中なのだそうです。
日本全土から集まってきた子達でした。
その中の1人が、「植松電機に行きたい」と言ってくれたので、
その日の目的地は植松電機になったそうです。

せっかくだから、うちの敷地でよければキャンプしてってかまわないよ。

ということで、みんな手際よくテントを貼って、泊まっていってくれました。

そして今朝、彼らは北を目指して出発していきました。
素晴らしいことだと思います。

頑張っている人をみると、

「なにか手伝えることはないかな、助けられることはないかな」と思ってしまいます。
それは、かなり本能的な衝動のような気がします。
そして、誰かに助けられたら、それが嬉しくて、つぎは自分も助けたいと思ってしまいます。
この連鎖が、社会を形成している気がします。

ところが日本には、「ちゃんとしなさい!」という言葉があります。
これは「人に迷惑をかけるな」という意味にとらえてしまう人が多いです。

人に迷惑をかけないためには、
(1)人を頼ってはいけません。
(2)人に心配されてはいけません。
(3)人に助けられてはいけません。
になってしまいます。

そしてやがては、
「僕は誰にも迷惑かけないから、誰も僕に迷惑をかけないで。」
になってしまう事があります。
「お金があれば、誰の世話にもならないで生きていける」と思ってしまう人が
どんどん生まれてきます。

でも実際には、
水道から水が出るのも、コンセントに電気が来てるのも、
ネットに情報があるのも、スマホがあるのも、パソコンがあるのも、
電車が走るのも、飛行機が飛ぶのも、
どこかでだれかが頑張っているからです。
僕たちは、誰かに助けられて生きることができています。

「ちゃんとしなさい!」は、社会を破壊してしまう恐ろしい言葉になってしまう事があります。
だから、使わない方がいいです。

この旅行中、なんたって3週間もありますから、
必ず雨にあたるでしょう。辛いことも沢山あるでしょう。
そのときに、人の助けのありがたさを感じるでしょう。
それは、ものすごい宝です。
社会人になるために、必要な物です。

彼らの道中が、ほどよく大変で、ほどよく素敵なものになりますように。
青みがかったグレーのシャツの背中には、「思うは招く」って書いてあります。
もしも見かけたら、話しかけてあげてほしいです。