ティナ・ターナーの曲を使った彼女の半生を描くミュージカル。



有名歌手の半生を、当人の楽曲を用いて描くミュージカルは沢山ありますよね。自伝ミュージカルの宿命は、そっくりさんショーの側面をどう回避するか、あるいは乗り越えるか、という点にあるように思います。

本人に似せるのをハナから放棄するパターン(例: ヒュー・ジャックマンがオーストラリアの歌手ピーター・アレンを演じたBoy from OZ)、本人役を複数同時に出して煙に巻く(?)タイプ(The Cher Show)、なるべく似た俳優を当てがい、時系列に正攻法で描くパターン(Jersey Boys、Beautiful )などがあり、圧倒的に多いのは3番目の正攻法ですね。ジュディ・ガーランドの晩年だけを描くミュージカル(End of Rainbow)なんてのもありました。

このミュージカルも、正攻法の演出でしたが、彼女の人生自体が波乱に満ちてるので、変に凝った演出なしでも十分楽しめました。僕は彼女の曲は殆ど知らずに見たのですが、ここぞという時の曲での観客の、”この曲待ってました!”という”ジワ”で、今歌ってるのはヒット曲なのね、とよく分かりました。


ティナを演じたADRIENNE WARRENさんは、歌が超絶に上手いのはもちろん、なんともチャーミングな方で(最前列だったので表情がよく見えました)、へこたれないティナの健気さがよく出ていて、彼女の魅力でもたせているような舞台にすら思いました。

一通り話が終わりカーテンコールの後に、アンコール的にもう2曲披露され、これはよくあるパターンだと思いますが、”皆さん、こういうのが欲しかったんでしょ?”的なサービスと、ノリノリの観客が微笑ましかったです。