えっ!?メジャーリーグ12万円のチケット!? | 裸のニューヨーク

裸のニューヨーク

ユー・ドント・ノウ・ニューヨーク・ザ・ウェイ・アイ・ドゥ...これは私のアンビバレントでパーソナルなニューヨーク・ストーリー。

ゴーチケッツドットコムというところからアメリカのイベントチケット情報のメールが届く。買うつもりはないのだが興味半分に6月2日のフェンウェイパークでのヤンキース対レッドソックス戦のチケットをチェックしてみた。

はるかかなたの外野席が80ドル。これでは選手の顔など到底見えない。175、200、400と内野に近付くにつれて料金は上がり、ヤンキースのダグアウト最前列という席は何と680ドル。値段は更に上がり続け、980ドル、そして最も高いのは1910ドルとある。これでは庶民には手が出ない。

ちなみに日本のプロ野球のチケットはどのぐらいするものかと東京ドームでの巨人公式戦の料金を見てみたら、指定席Sで5900円とある。数万円する料金は見当たらなかった。アメリカのメジャーリーグの方が、チケット業者の料金とはいえ断然高いようだ。

ケーブルTVでメジャーリーグの歴史のドキュメンタリー番組を見たが、球場の料金のみならずサインボールや野球カードも高騰しているという。チケットの高値には選手の年俸や契約金の高騰にも原因がある事は明らかで、かつてアメリカ人は同じ労働者として野球選手に親近感を持っていたが、今や庶民とはかけ離れた存在であると伝えていた。何しろ1940年のシューレス・ジョーの年俸は600ドル、ミッキーマントルの1952年の年俸は4万2000ドルだったという。あまりの報酬の低さに、ホワイトソックスの選手達が起こした1919年のワールドシリーズでの八百長事件はチャールズ・コミスキーオーナーのケチが原因だったという。

報酬高騰の一因は代理人制度で、それが出来るまでは組合もなく、選手と球団の直接交渉で、ある意味球団の言いなりだったという。不当に低い報酬も困り物だが、マービンミラーという組合活動家が活躍して大リーグの最低年俸引き上げやチームに一生縛り付けられる保留条項撤廃などを行い選手の年俸は飛躍的に向上したそうだが、大リーグ全体としては代理人制度が有益かどうかはわからないと番組では疑問を投げかけていた。

アメリカの労働者の賃金は2001年以来横ばいで、実質賃金の伸びは生産性の伸びには追いつかないという。一方で1部のスポーツ選手の収入は庶民から見れば天文学的な数字になっている。1994年には既に野球選手はアメリカ人の平均年俸の50倍も稼ぐようになっているのだ。

野球選手の高額の報酬は多くは庶民の野球ファンによって支えられている。ファンの中には80ドルのチケットでさえ痛いという者もいるだろう。野球にもリッチな選手VS プアな客という「格差」が存在するのである。英語で、信じられないぐらいの金持ちを「フィルシー・リッチ(汚いほどの)大金持ち)」という。そういう金持ちとは程遠く、アメリカでは大切な教育の現場を預かる教師の報酬が大変に低く、なり手がいないと聞く。こういう給与の「格差」、どうにも納得がいかない。