うちのCL500、このところ乗れていません。たまには冬キャンプでも、と考えてはいます。

 

このエントリは、CL500がかつて玄人好みと呼ばれたバイクの系譜に連なるのでは、という妄想です。

 

前世紀末、バイク雑誌で玄人好みのいいバイクとして言及されるバイクが2台ありました。

ホンダさんの「CBR600F」とヤマハさんの「TDM850」です。

※リンク先はバイクブロスさんのデータベースです

 

この2台には僕も乗ってみましたが、「悪くはないけどなんでこれがいいの?」という感想でした。

当時の僕は青二才で尖ったバイクに魅力を感じていたので、そう感じたのも無理はありません。

でも、40台近くを乗り継ぎ50万キロ近く走ったいまなら、この2台が称賛された理由が解ります。

 

その理由は、「乗り手のくふう次第でどうにでも乗れて、しかも安定している」ということだったんじゃないかと思います。

 

TDM850もCBR600Fも当時のトップモデルであるレーサレプリカ(いまでいうスーパースポーツ)とは一線を画す商品です。

ハンドリングとエンジンが穏やかで車体が大きすぎず、日常を中心としたあたりまえの領域で余裕を持って扱えて、二人乗りや積載性も考慮されたモデルです。

バイクを扱うことに習熟したバイク誌の編集者さんやライタさんならそういうバイクを自由自在に走らせることができたでしょうし、健康に悪い働き方wを続けながらいろんなところへ移動するときに安心できたんだと思います。

 

21世紀に入って20年以上が過ぎたいま、そういうバイクはあまりありません。

尖りすぎているか、実用にはちょっと足りないかのどちらかになってしまう気がします。

たとえば、現行のカウルなしモデルは「クラシック」か「ストリートファイタ」かのどちらかです。

前世紀末にスタンダードとして重宝された「ネイキッド」は滅びてしまい、性能控えめか尖り過ぎかの2択になってしまっているのです。

 

このような現状において、CL500はなんにでも使えて安定しているモデルとして、逆説的に異彩を放っていると思います。

おだやかですが必要充分な出力をどの領域からも発揮するエンジン、安定志向ではあるが要点を押さえれば多様な道をしたたかに走れる車体、シンプルな外装、純正リアキャリアによる強力な積載性。

これらを満たすほかのバイクというと僕の知る限りではスズキさんの「V-Strom250」しかありませんが、CL500とおなじ車重に24馬力のエンジンなので用途によってはつらいことになります。

 

もしも日本に欧州の「A2」免許(35kwまでのバイクに乗れる)が導入されたら、CL500は教習車とど真ん中スタンダードバイクの地位を得られると思います。

CL500は、スタイリッシュな?大型スクランブラと認識されていますが、その実態は玄人好みのミドルクラススタンダードモデルなのだと、僕は考えているのでした。