うちのCL500、やっと乗りかたがちょっと解ってきた感じです。
このエントリでは、4,000キロちょっと乗ってきて判った「CL500ってどんなバイクなのか」について書きます。

 

CL500は:
1)ビッグバイクじゃない
2)オフロードでもアドベンチャーでもない
3)速くない。が、遅くもない
4)とてもエコである
5)用途が広い
6)みためが独特
なので、あまりお金をかけずに日常域を楽しみたいかたと、このみためが大好きなかたに向いています。
ていうかホンダさんはそういう商品を作ろうとしてわりと成功していると思います。
以下、詳細なたわごとです。

 

  1. ビッグバイクじゃない
    大型二輪免許を取りました!ビッグバイクに乗りたいです!という場合にCL500はちょっとおすすめしかねます。
    普通二輪免許の上限排気量をたった71ccしか越えていなくて、出力もたった46馬力しかありません。
    CL500とかに載っているエンジンはエコであり上限35kwの欧州A2免許に適合することだけを考えて作られたエンジンであって、ビッグバイク用ではないのです。しかもこのエンジン、同クラスのとくらべても重くて非力です。
    なので、大型二輪免許がないと乗れないけど大型二輪免許をみせびらかすにはちょっと弱いです。
    ただし、CL500に乗るために大型二輪免許を取るのはおおいにアリです。CL500は稀有なバランスの名機だからです。
     
  2. オフロードでもアドベンチャーでもない
    CL500は重量バランスとサスペンションジオメトリが不整地走行用にはできていません。北海道でよくあるフラットダートなら問題ありませんが、その程度ならスーパースポーツモデルでもゆっくり走れます。
    また、アドベンチャーモデルでもありません。ほとんどのアドベンチャカテゴリは背が高いだけのスーパースポーツなのでかなりの機動性能を持たされていますが、CL500は非力なエンジンにむかしふうのタイアの組み合わせでそこそこ程度の性能しかありません。
    また、アドベンチャーバイクにつきものの巨大ハードケース3点セットも着けられません。
    オフロードバイクやアドベンチャーバイクがほしいなら、別のを買うほうが幸せになれると思います。
     
  3. 速くない。が、遅くもない
    車両重量192キロに最大出力46馬力と聞けば、速いバイクではないのはすぐ判ると思います。
    車体もエンジンもくらしに密着した日常域の走りに最適化されていると言えます。
    乗りかたをくふうしてスロットル開け開けで行けばしたたかに走れますが、速く走ることを想定した車体ではないので限界は高くありませんし、ヒリヒリくるような緊張感もないのでそういう楽しみもありません。
    なので、ぶっ飛ばしたいかたと速度計の表示が気になるかたには向かないと思います。
     
  4. とてもエコである
    CL500はお金をかけずに運用できます。
    一般的なツーリング時の燃費は1リットルあたり30キロ程度と250ccなみです。
    また、いまどきのスポーツバイクとは思えない細いタイアを履いているのでタイア交換が安くできます。
    ブレーキパッドも、フロントブレーキディスクが1枚なので交換時に1セットしか使いません。
    さらに、エコで頑丈であることを第一に設計され13年間磨き上げられたエンジンは故障も修理もほとんどなさそうです。
    エンジンオイルの容量だけはちょっと多めですが、これはエンジンの耐久性のためですからそういう意味ではエコと言えます。
    消耗品費が安上がりなので、長距離を走るかたや日常的に乗るかたにはぴったりです。
     
  5. 用途が広い
    気軽に乗れる車格なのでちょっとそこまでとかいう用途に対応できるいっぽうで、巨大な純正リアキャリアを装着すればどかんと荷物を積めるので長旅にも対応できます。
    豪華ツアラーにはおよびませんがリアシートはそこそこの大きさと厚みがあるので2人乗りも可能です。
    背が高くアップライトな乗車姿勢なので疲れにくいし走りながらの観光にも向きます。
    フラットダート耐性があり、ファミリーカー程度の速度性能があるので走るルートを選びません。
    がんばればそこそこのペースで走れるので、軽めのスポーツライディングにも対応できます。
    どこかに突出した能力があるわけではありませんが、なんにでも使えてそこそこの使い勝手で楽しめる、器用貧乏な万能バイクなのです。
     
  6. みためが独特
    ちかごろはやりの「ネオクラシック」カテゴリにホンダさんが満を持して投入したのがCL500/250です。
    60-70年代に重宝されトライアンフさんが再登場させた「スクランブラー」をモチーフとしてモダンで独特な外観になりました。
    似た感じのバイクというとハスクバーナさんのスヴァルトピレンあたりでしょうか。新しいけどどこか古臭いみたいな。
    ホンダさんの商品構成の中でも特異というかちょっと浮いている外観デザインはほかにはないものなので、このみために惚れ込んでいるならCL500はおおいにアリです。もちろんCL250でもいいと思いますが。
僕はどのへんが好きでCL500を買ったのかというと、4のエコなところと5のつぶしが効くところです。
こんなバイク、ここしばらくの間みかけませんでした。
前世紀にはカワサキさんのGPZ400SとかEX-5なんていう佳作もありましたが、日本では売れずに消えていきました。
ホンダさんの強力無比なブランド力とめずらしくかっこいい外観デザインのおかげでCL500/250はそこそこ売れているようです。
僕としては、このバイクの”夢を一切捨て去った極悪非道レベルの実用性”がもっと評価されてもいいんじゃないかな、と思っています。