Bridget St.John Japan tour 2010 | AFTER THE GOLD RUSH

AFTER THE GOLD RUSH

とおくまでゆくんだ ぼくらの好きな音楽よ――

AFTER THE GOLD RUSH-Bridget St.John Japan tour 小鳥のさえずりや、風に揺れる木々のざわめきが、ささくれだった心を落ち着かせ、清めてくれるように、ぼくの魂は、彼女のギターの爪弾きとアルト・ヴォイスで完璧に救済された。16日、青山月見ル君想フ、そして18日、恵比寿TRAUMARISでのブリジット・セント・ジョンのライブ。特に恵比寿での公演は、洋書店の3階のこじんまりとしたフリースペースで、オーディエンスも30名限定。しかも、PAシステムやマイクを一切通さない完全な生音という贅沢なシチュエーションの中、1時間30分にわたって、ブリジットの“生歌”を堪能することができた。素晴らしかった。今まで観てきたどのライブも、この日のブリジットには到底敵わないのではないか。まるで、彼女のリビングルームに招待されているかの如き錯覚さえ覚えてしまう、親近感と暖かさに満ちた、奇跡のようなひと時だった。

 

同志であり、姉弟のように仲が良かった故ジョン・マーティンの「Back To Stay」(ビューティフル!)、湾岸戦争の爆撃の映像に衝撃を受け、当時7歳だった娘のために作ったアンチ・ウォー・ソング「Look at This Child」、林拓氏とデュエットしたケヴィン・エアーズの「ジョリー・マダム」(ブラボー!)、青山では、「Fly High 」も歌ってくれた。4年前の来日の時にも感じたのだが、彼女の爪弾くギターの音色が、硝子細工のように繊細で、キラキラと光りながら、心のひだまで染み込んでくる。どうしたら、あのような透き通った音が出せるのだろうと、ぼくはブリジットに魔法をかけられたギターをじっと見つめる。

 

嬉しいハプニングもあった。それは、ブリジットからのクリスマスプレゼント。先月録音したばかりの新曲「Rabbit Hills」を収録したCD-R(盤面には直筆で曲名とサインが書かれている!)が、会場にいる一人ひとりに直接手渡される。マイケル・チャップマンが書いたこの曲は、浮遊感と幸福感溢れる上質なアシッドフォーク。ニューヨーク録音ながら、英国時代のどのアルバムに入っていても全く違和感を感じさせない仕上がりになっている。素晴らしい。

 

Thank You!ブリジット。次の来日の時には、新しいアルバムを引っさげて是非。それまで、ぼくは、冬の東京で聴いたあなたの歌声を、記憶の中で何回もリピートしていよう。