★EU離脱でイギリスは、中国にも見捨てられる
★EU離脱でイギリスは、中国にも見捨てられる
ロシア政治経済ジャーナル No.1410
EUから離脱するイギリス。
どうやら中国にも見捨てられそうです。
詳細は、【本文】で!↓
★EU離脱でイギリスは、中国にも見捨てられる
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
前号では、「イギリスのEU離脱」について書きました。
今回の話は、前号ととても関係があります。
まだの方は、まずこちらからご一読ください。
↓
http://www.mag2.com/p/news/209190
この記事の中で、EU離脱の影響の一つについて、以下のように書きました。
<外交面での打撃も避けられないでしょう。
アメリカと「特別な関係にある」と言われるイギリスは、常にアメリカとEUの「仲介役」を行ってきました。
アメリカは、イギリスを通し、EUの政策に影響を及ぼしてきた。
しかし、イギリスがEUを離脱すれば、同国はEUへの影響力を失うでしょう。
では、アメリカはどうやってEUへの影響力を確保するのでしょうか?
もちろん、EU最強国家ドイツやフランスと直接対話、交渉を行うようになるでしょう。
イギリスは外され、国際的地位は大きく下がります。>
そう、イギリスは、アメリカとEUの仲介役をやっていた。
EUは、アメリカにとって重要なのですね。
なぜでしょうか?
28か国からなるEUの経済力は、世界の約4分の1を占めているからです。
ところで、上の話、少々修正というか補足する必要があります。
実をいうと、イギリスは、アメリカとEUの仲介だけではなく、
「もう一つの大国」とEUの仲介もしてきた。
「もう一つの大国」とは、中国です。
▼イギリスは、アメリカを3度裏切った
「アメリカとイギリスは『特別な関係』だ!」
オバマさんも、キャメロンさんも、いつも強調します。
しかし、お二人が、「心からそういっているか?」と聞かれれば、
「そんなことはないだろう」と思います。
なぜか?
イギリスは、ここ数年で、3回もアメリカを裏切ったからです。
1回目の裏切りは、2013年8月。
オバマさんは2013年8月、「アサド軍が、反アサド派に『化学兵器』を使った」
ことを理由に、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。
イギリスとフランスも、攻撃に加わる意向を示していた。
ところが、キャメロン首相は、「議会が反対していること」を理由に、攻撃への「不参加」を決めます。
オバマは孤立し、戦争を「ドタキャン」せざるを得ず、大恥をかくことになりました。
世界の人がオバマさんを「最弱の大統領」とよぶとき、必ず例に挙げられるのが、この「シリア攻撃ドタキャン」です。
二回目の裏切りは、2015年3月。
イギリスは、アメリカの不参加要求を完全に無視し、欧州で一番早く、
中国主導「AIIB」への参加を決めました。
イギリスの裏切りに勇気づけられた他の親米諸国も、雪崩のように「参加表明」をしていきます。
そう、「イギリスの裏切り」が、「AIIB事件」を引き起こしたのです。
三回目の裏切りは、2015年11月。
イギリスは、これもアメリカの意志に反して、
「人民元のSDR構成通貨入り」を支持しました。
イギリスは近年、非常に重要な局面で3回もアメリカを裏切っている。
確かにイギリスは、アメリカとEUの仲介役を行ってきました。
しかし、ここ数年に限っていえば、アメリカではなく、むしろ中国の利益のために動いてきたことがわかります。
なぜでしょうか?
第1に、アメリカはタックスヘイブン規制を強め、イギリスの金融ビジネスに打撃を与えている。
第2に、イギリスは、他の多くの国々同様、
「アメリカの時代は終わって、中国の時代がくる」と勘違いしたのでしょう。
▼中国に見捨てられるイギリス
さて、国民投票でEUからの離脱が決まったイギリス。
今後中国との関係はどうなっていくのでしょうか?
EU離脱で、EUとの関係、アメリカとの関係がヤバくなったイギリス。
どうやら中国との関係も悪化していく感じです。
ブルームバーグ、6月28日付を見てみましょう。
↓
<習主席とキャメロン首相の友情、無駄に-中国が失った最良パートナー
Bloomberg 6月28日(火)11時2分配信
中国の習近平国家主席が英サッカークラブ「マンチェスター・シティ」のスター選手と自撮りに興じ、バッキンガム宮殿での晩さん会に招かれ、イングリッシュパブでビールを楽しんだのは、わずか8カ月前のことだった。
エリザベス女王は習主席の訪英を高く評価。
習主席とキャメロン英首相は両国関係の「黄金時代」の到来を示し、
英国は中国の「欧米における最良のパートナー」としての地位を築いた。
習主席はシェークスピアを引用し、中国が欧州連合(EU)との関係を深める上での英国の「積極的な役割」を力説した。 >
イギリスと中国は、「黄金時代」だそうです。
そして、最後の一文
<習主席はシェークスピアを引用し、中国が欧州連合(EU)との関係を深める上での英国の「積極的な役割」を力説した。 >
がとても大事ですね。
中国にとってイギリスの「役割」は、「中国とEUの関係を深めること」なのです。
イギリスがEUから離脱したら、その役割を果たせなくなります。
これから、イギリスと中国の関係はどうなっていくのでしょうか?
↓
<北京外国語大学の謝韜教授(政治学)は「中国が英国との関係を非常に重視してきた大きな理由は、
英国を通してEUの政策に影響を与えることにあった」と指摘。
欧州への「橋頭堡(ほ)」としての英国の価値はEU離脱で失われたとし、中国は今後ドイツとの関係に集中することになろうと予想した。>(同上)
短いコメントですが、非常に重要な点が三つあります。
1、「中国が英国との関係を非常に重視してきた大きな理由は、英国を通してEUの政策に影響を与えることにあった」
2、欧州への「橋頭堡(ほ)」としての英国の価値はEU離脱で失われた
3、中国は今後ドイツとの関係に集中することになる
要するに、中国はイギリスを捨て、欧州ではドイツを最重要視するようになると。
アメリカも中国と同じように動くことでしょう。
●PS
北野が「世界情勢分析する方法」を完全暴露しています。
これを読むと、あなた自身で、日本と世界の未来を予測できるようになります。
政治家、経営者、起業家、ビジネスマン必読。
↓
【4刷決定!】
●日本人の知らない「クレムリン・メソッド」
~ 世界 を動かす11の原理 (集英社インターナショナル)
北野 幸伯
( http://tinyurl.com/hrq5f3x )
●面白かったら、拡散お願いいたします。>
「ロシア政治経済ジャーナル」
発行者 北野 幸伯
◎ロシア政治経済ジャーナル のバックナンバーはこちら
⇒ http://archives.mag2.com/0000012950/index.html?l=fox08dd07c
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EUから離脱するイギリス。
どうやら中国にも見捨てられそうです。
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★EU離脱でイギリスは、中国にも見捨てられる
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
前号では、「イギリスのEU離脱」について書きました。
今回の話は、前号ととても関係があります。
まだの方は、まずこちらからご一読ください。
↓
http://www.mag2.com/p/news/209190
この記事の中で、EU離脱の影響の一つについて、以下のように書きました。
<外交面での打撃も避けられないでしょう。
アメリカと「特別な関係にある」と言われるイギリスは、常にアメリカとEUの「仲介役」を行ってきました。
アメリカは、イギリスを通し、EUの政策に影響を及ぼしてきた。
しかし、イギリスがEUを離脱すれば、同国はEUへの影響力を失うでしょう。
では、アメリカはどうやってEUへの影響力を確保するのでしょうか?
もちろん、EU最強国家ドイツやフランスと直接対話、交渉を行うようになるでしょう。
イギリスは外され、国際的地位は大きく下がります。>
そう、イギリスは、アメリカとEUの仲介役をやっていた。
EUは、アメリカにとって重要なのですね。
なぜでしょうか?
28か国からなるEUの経済力は、世界の約4分の1を占めているからです。
ところで、上の話、少々修正というか補足する必要があります。
実をいうと、イギリスは、アメリカとEUの仲介だけではなく、
「もう一つの大国」とEUの仲介もしてきた。
「もう一つの大国」とは、中国です。
▼イギリスは、アメリカを3度裏切った
「アメリカとイギリスは『特別な関係』だ!」
オバマさんも、キャメロンさんも、いつも強調します。
しかし、お二人が、「心からそういっているか?」と聞かれれば、
「そんなことはないだろう」と思います。
なぜか?
イギリスは、ここ数年で、3回もアメリカを裏切ったからです。
1回目の裏切りは、2013年8月。
オバマさんは2013年8月、「アサド軍が、反アサド派に『化学兵器』を使った」
ことを理由に、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。
イギリスとフランスも、攻撃に加わる意向を示していた。
ところが、キャメロン首相は、「議会が反対していること」を理由に、攻撃への「不参加」を決めます。
オバマは孤立し、戦争を「ドタキャン」せざるを得ず、大恥をかくことになりました。
世界の人がオバマさんを「最弱の大統領」とよぶとき、必ず例に挙げられるのが、この「シリア攻撃ドタキャン」です。
二回目の裏切りは、2015年3月。
イギリスは、アメリカの不参加要求を完全に無視し、欧州で一番早く、
中国主導「AIIB」への参加を決めました。
イギリスの裏切りに勇気づけられた他の親米諸国も、雪崩のように「参加表明」をしていきます。
そう、「イギリスの裏切り」が、「AIIB事件」を引き起こしたのです。
三回目の裏切りは、2015年11月。
イギリスは、これもアメリカの意志に反して、
「人民元のSDR構成通貨入り」を支持しました。
イギリスは近年、非常に重要な局面で3回もアメリカを裏切っている。
確かにイギリスは、アメリカとEUの仲介役を行ってきました。
しかし、ここ数年に限っていえば、アメリカではなく、むしろ中国の利益のために動いてきたことがわかります。
なぜでしょうか?
第1に、アメリカはタックスヘイブン規制を強め、イギリスの金融ビジネスに打撃を与えている。
第2に、イギリスは、他の多くの国々同様、
「アメリカの時代は終わって、中国の時代がくる」と勘違いしたのでしょう。
▼中国に見捨てられるイギリス
さて、国民投票でEUからの離脱が決まったイギリス。
今後中国との関係はどうなっていくのでしょうか?
EU離脱で、EUとの関係、アメリカとの関係がヤバくなったイギリス。
どうやら中国との関係も悪化していく感じです。
ブルームバーグ、6月28日付を見てみましょう。
↓
<習主席とキャメロン首相の友情、無駄に-中国が失った最良パートナー
Bloomberg 6月28日(火)11時2分配信
中国の習近平国家主席が英サッカークラブ「マンチェスター・シティ」のスター選手と自撮りに興じ、バッキンガム宮殿での晩さん会に招かれ、イングリッシュパブでビールを楽しんだのは、わずか8カ月前のことだった。
エリザベス女王は習主席の訪英を高く評価。
習主席とキャメロン英首相は両国関係の「黄金時代」の到来を示し、
英国は中国の「欧米における最良のパートナー」としての地位を築いた。
習主席はシェークスピアを引用し、中国が欧州連合(EU)との関係を深める上での英国の「積極的な役割」を力説した。 >
イギリスと中国は、「黄金時代」だそうです。
そして、最後の一文
<習主席はシェークスピアを引用し、中国が欧州連合(EU)との関係を深める上での英国の「積極的な役割」を力説した。 >
がとても大事ですね。
中国にとってイギリスの「役割」は、「中国とEUの関係を深めること」なのです。
イギリスがEUから離脱したら、その役割を果たせなくなります。
これから、イギリスと中国の関係はどうなっていくのでしょうか?
↓
<北京外国語大学の謝韜教授(政治学)は「中国が英国との関係を非常に重視してきた大きな理由は、
英国を通してEUの政策に影響を与えることにあった」と指摘。
欧州への「橋頭堡(ほ)」としての英国の価値はEU離脱で失われたとし、中国は今後ドイツとの関係に集中することになろうと予想した。>(同上)
短いコメントですが、非常に重要な点が三つあります。
1、「中国が英国との関係を非常に重視してきた大きな理由は、英国を通してEUの政策に影響を与えることにあった」
2、欧州への「橋頭堡(ほ)」としての英国の価値はEU離脱で失われた
3、中国は今後ドイツとの関係に集中することになる
要するに、中国はイギリスを捨て、欧州ではドイツを最重要視するようになると。
アメリカも中国と同じように動くことでしょう。
●PS
北野が「世界情勢分析する方法」を完全暴露しています。
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政治家、経営者、起業家、ビジネスマン必読。
↓
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