韓国海域でカニごっそり… 中国船と「ワタリガニ戦争」 | 日本のお姉さん

韓国海域でカニごっそり… 中国船と「ワタリガニ戦争」

韓国海域でカニごっそり… 中国船と「ワタリガニ戦争」
TBS News-i 2016/6/9 19:57

中国漁船による違法操業が止まりません。韓国の海域で中国漁船が違法に乱獲し続けているのは、いまがシーズンのワタリガニです。韓国側の抗議にも耳を貸さないどころか、韓国と北朝鮮の海の軍事境界線を悪用。カニの値段も跳ね上がっています。

「乗船準備!」(韓国海洋警察)

高速で中国漁船に近づく韓国の海洋警察のボート。これは、今月7日、韓国と北朝鮮の海の境界線=NLLに近い漁業禁止区域で違法漁船が摘発された瞬間です。

「早く乗れ!早く上がれ!早く上がれ!」(韓国海洋警察)

船に乗り込んだ海洋警察は、大急ぎで操舵室へと向かいます。船は拿捕され、裸の船長らが拘束されました。韓国の海域で違法操業を繰り返す中国漁船。毎年、何度も取り締まりを受けていて、海洋警察と中国人船員の間で乱闘になることもしばしばでした。韓国側は、ことしに入って25隻の中国漁船を拿捕。34人を逮捕しました。

NLL付近の漁業について、韓国政府は地元の漁民に、ごく一部の水域で許可している以外は禁止しています。にもかかわらず、NLL付近の海域には、去年より多い1日300隻以上の中国漁船が現れています。最近は4月から6月が漁獲シーズンの「ワタリガニ」が主な狙いです。

「多すぎて取り締まるのは大変です」(取締船の船長)

今月5日には、業を煮やした韓国の地元漁民が直接、中国船に乗り込んで2隻を拿捕するほど事態は深刻化しています。NLLに近い韓国・延坪(ヨンピョン)島の漁民が4月から5月に捕ったカニは、去年149トンだったのが、今年は51トンと3分の1に激減しました。

「中国のせいだ!」(漁民)
「数えられないくらいの船が来るんだ」(漁民)
「やつらの残したものを捕るしかなく、死にそうだ」(漁民)

「延坪島の近くでとれるカニは甘味があると評判ですが、その値段が上がってしまって、飲食店は頭を悩ませています」(記者)

この食堂は、仕入れ値が6割も上がったものの、「すべてを価格に転嫁するわけにもいかない」と嘆いています。

「店頭価格を上げると、とても高くなって消費者が食べません。10%の値上げしかできません、海洋警察に取り締まりを強化してほしい」(食堂経営者)

韓国の海上警察は、中国船は、「韓国の取り締まり船がNLLを越えて追いかけられない」状況を悪用していると指摘します。NLLを越えようとすると、北朝鮮と軍事衝突する危険性があるからです。

「(中国船は)取り締まりを避けて境界線を南北に往来します。北朝鮮が取り締まれば南に来て、韓国が取り締まれば北へ逃げる」(韓国 海洋関係者)

また、中国国内でカニの消費量が増え、価格が2年前の10倍に跳ね上がっていることも、一攫千金を狙う違法操業の背景にあるといいます。韓国側は中国政府に抗議していますが、新たな対策を迫られていて、近く大規模な「締め出し作戦」も検討しています。

南北が対立する海を舞台にした「ワタリガニ戦争」。乱獲を防ぐためにも、中国が厳しいルールを徹底することが求められています。(09日15:54)
http://news.merumo.ne.jp/article/genre/4619128