チュウゴクがアメリカにまさに、「お前が言うか!」とツッコミたくなるコメント
◎【米中新冷戦】「弱腰」から転換したオバマ政権 人権問題に加えパ ナマ文書も新たなカードに
★(3) - [第三話]
広島市で開催されたG7(先進7カ国)外相会合の声明に、中国が「強烈 な不満」を示しているそうだ。英語メディアは「Anger」(怒り)と 見出しを打ったが、最近、中国は米国の振る舞いに対し、Angerする ことが多い。
第2話で書いた「習近平国家主席の訪米に水を差した男」こと、ウイグ ル人活動家、ドルクン・エイサ氏の件(=2015年の米国入国と民間団 体の表彰)にも中国は激怒し、次のようなコメントを出した。
「ドルクンのような複数の犯罪に関わったテロリストに、このような賞を 与えることは、人権と法の支配に対する冒涜(ぼうとく)だ」
まさに、「お前が言うか!」とツッコミたくなるコメントだ。中国政府の いう「人権」「法の支配」とは一体どんなものか、説明してほしい。そし て、オバマ政権は約8年間、中国に対して、この「人権カード」をうまく 使ってこなかった。
オバマ政権が「弱腰」だったのは、南シナ海や東シナ海での軍事面だけで はない。中国のアキレス腱といわれる、チベットやウイグルの民族問題、 人権問題でも及び腰だった。米国初のマイノリティーの大統領に、世界の チベット人やウイグル人が寄せた期待は裏切られ続けてきたのだ。
ドルクン氏をめぐる、米中の「駆け引き」は今に始まったことではない。 その経緯を見ると、国際政治の何たるかをイヤというほど思い知る。
筆者の「よき友人」であるドルクン氏は、公式にはウイグル人亡命者の国 際的組織「世界ウイグル会議」の執行議長である。亡命先であるドイツの 国籍を得て、国際社会に対し、平和的にウイグル人の人権問題を訴えている。
ただ、中国ではテロリスト名簿の上位に置かれ、今もICPO(国際刑事 警察機構)を通じて指名手配されている。
米国はこれまで、中国の意向に配慮し、また自国の中東での戦争を邪魔さ れたくないとの思惑から、長年、ドルクン氏の入国を拒んできた。
一方で、米国は議会系の民間団体を通じ、「世界ウイグル会議」に金銭的 支援を続けてきた。ドルクン氏の反中国政府の活動を金銭面では支援しな がら、入国は許さないという、中国のメンツを重んじた対応をしてきたの である。
ドルクン氏の米国入国が許されたのは12年だ。今回は「表彰」へとス テップアップしたわけだが、これは政権末期のオバマ氏から中国への明確 なメッセージといえる。筆者は、ドルクン氏が米中の都合のいいカードに 使われることを苦々しく思う半面、「彼の大願成就の一助となれば」とも 思う。
その米中間の新たなカードとなる可能性を秘めているのが「パナマ文書」 である。習氏ら現役指導部のほか、李鵬元首相、曽慶紅元国家副主席、賈 慶林元全国政治協商会議主席らの親族の名前もある。今後の米国の出方を 注視したい。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生ま れ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際 関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書に『中国 歴 史偽造帝国』(祥伝社)、『中国の「日本買収」計画』(ワック)、共著 に『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)など多数。
★(2) - [第二話]
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160412/frn1604121140002-n1.htm
★(1) - [第一話]
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160413/frn1604131140001-n1.htm
【ZakZak】 2016.04.14 〔情報収録 - 坂元 誠〕
★(3) - [第三話]
広島市で開催されたG7(先進7カ国)外相会合の声明に、中国が「強烈 な不満」を示しているそうだ。英語メディアは「Anger」(怒り)と 見出しを打ったが、最近、中国は米国の振る舞いに対し、Angerする ことが多い。
第2話で書いた「習近平国家主席の訪米に水を差した男」こと、ウイグ ル人活動家、ドルクン・エイサ氏の件(=2015年の米国入国と民間団 体の表彰)にも中国は激怒し、次のようなコメントを出した。
「ドルクンのような複数の犯罪に関わったテロリストに、このような賞を 与えることは、人権と法の支配に対する冒涜(ぼうとく)だ」
まさに、「お前が言うか!」とツッコミたくなるコメントだ。中国政府の いう「人権」「法の支配」とは一体どんなものか、説明してほしい。そし て、オバマ政権は約8年間、中国に対して、この「人権カード」をうまく 使ってこなかった。
オバマ政権が「弱腰」だったのは、南シナ海や東シナ海での軍事面だけで はない。中国のアキレス腱といわれる、チベットやウイグルの民族問題、 人権問題でも及び腰だった。米国初のマイノリティーの大統領に、世界の チベット人やウイグル人が寄せた期待は裏切られ続けてきたのだ。
ドルクン氏をめぐる、米中の「駆け引き」は今に始まったことではない。 その経緯を見ると、国際政治の何たるかをイヤというほど思い知る。
筆者の「よき友人」であるドルクン氏は、公式にはウイグル人亡命者の国 際的組織「世界ウイグル会議」の執行議長である。亡命先であるドイツの 国籍を得て、国際社会に対し、平和的にウイグル人の人権問題を訴えている。
ただ、中国ではテロリスト名簿の上位に置かれ、今もICPO(国際刑事 警察機構)を通じて指名手配されている。
米国はこれまで、中国の意向に配慮し、また自国の中東での戦争を邪魔さ れたくないとの思惑から、長年、ドルクン氏の入国を拒んできた。
一方で、米国は議会系の民間団体を通じ、「世界ウイグル会議」に金銭的 支援を続けてきた。ドルクン氏の反中国政府の活動を金銭面では支援しな がら、入国は許さないという、中国のメンツを重んじた対応をしてきたの である。
ドルクン氏の米国入国が許されたのは12年だ。今回は「表彰」へとス テップアップしたわけだが、これは政権末期のオバマ氏から中国への明確 なメッセージといえる。筆者は、ドルクン氏が米中の都合のいいカードに 使われることを苦々しく思う半面、「彼の大願成就の一助となれば」とも 思う。
その米中間の新たなカードとなる可能性を秘めているのが「パナマ文書」 である。習氏ら現役指導部のほか、李鵬元首相、曽慶紅元国家副主席、賈 慶林元全国政治協商会議主席らの親族の名前もある。今後の米国の出方を 注視したい。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生ま れ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際 関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書に『中国 歴 史偽造帝国』(祥伝社)、『中国の「日本買収」計画』(ワック)、共著 に『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)など多数。
★(2) - [第二話]
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160412/frn1604121140002-n1.htm
★(1) - [第一話]
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160413/frn1604131140001-n1.htm
【ZakZak】 2016.04.14 〔情報収録 - 坂元 誠〕