何サマですか? 国連の上から目線が許せないー遠いスイスの地で、日本の信用が不当に貶められている
国連の女子差別撤廃委員会は、対日審査の最終見解で慰安婦問題を取り上げて、「日本の軍隊により遂行された深刻な人権侵害」と決め付けた。史実を無視した一方的な言いがかりである。おまけに金銭賠償や公式謝罪などを勧告しているが、こうした戦後補償問題は、昭和40年の日韓請求権協定で解決済みなのである。
実はこの委員会、日本の皇位継承についてまで批判をし、皇位継承権が男系男子にだけあるのは女性への差別だとして、皇室典範の改正を求めようとした。
日本が強く抗議してとりあえず削除されたが、日本国の象徴であり、事実上の元首である天皇のあり方についての内政干渉など、断じて許されることではない。
~~~~~~~~~~~~~~~~
何サマですか? 国連の上から目線が許せない
国連とはいったい何サマなのか? 皇位継承権が男系男子の皇族だけにあるのは女性差別と指摘した女子差別委員会の見解に多くの日本人が仰天しただろう。慰安婦問題でもそうだったが、日本の主権や尊厳をないがしろにする国連の無神経な介入と「上から目線」を許してはならない!
小島新一のズバリ正論
国連女子差別撤廃委員会(CEDAW)が日本に関する最終見解案で、皇位継承権が男系男子の皇族だけにあるのは女性差別だと指摘していたというニュースに仰天した読者は多いだろう。見解案には、母方の系統に天皇を持つ女系女子にも「皇位継承を可能とするよう皇室典範を改正すべきだ」との勧告も記述されていたという。日本政府の抗議で3月7日に実際に発表された最終見解から削除されていたとはいえ、125代の今上陛下まで一度の例外もなく男系継承が続いてきた皇室の伝統、わが国の国柄の根幹に無神経に介入しようとしたCEDAWに「いったい何サマ?」との思いを禁じえない。
月刊「正論」では約10年前、家族問題などに絡めて、このCEDAWの「何サマ?」ぶりを繰り返し取り上げた。当時「ジェンダーフリー」なる急進的フェミニズム思想に染まっていた政府・自治体の男女共同参画政策に、CEDAWの影響が色濃くみられたからだ。
そこで分かったのは、CEDAWが「男女の社会的及び文化的な行動様式を修正せよ」などとうたった女子差別撤廃条約を盾に、各国の伝統や文化、慣習をまったく無視して、家族の在り方や個人の働き方に介入していることであり、それが制度化されているという事実だった。
「男女差別をなくす」という美名の下、特定の考え方に基づいて社会や文化の在り方を変えてしまえといわんばかりのこの傲慢さは、左翼全体主義ではないかと考えていたら、案の定だった。国連初代事務総長がソ連シンパで、「既存の伝統的家族は病理学的であり、破滅する運命にある」という極端な家族破壊思想の女性を国連内で重用した結果、国連の家族についての認識が急進的フェミニズムに染まっていったのだという。
最終見解は、慰安婦問題で、日本政府代表団による「軍や官憲による強制連行は確認できていない」という説明を無視して「日本の軍隊により遂行された深刻な人権侵害」と断定したうえ、そうした政府の見解への当てこすりか「(日本の)指導者や政治家が、慰安婦の被害者を再びトラウマに陥れるような発言をしないよう」にと〝言論封殺〟にも及んでいる。皇室典範に介入しようとしてきた経緯については、「正論」5月号で作家の竹田恒泰氏が主張しているように、CEDAWの日本人委員長、林陽子氏の国会喚問も行ってでも徹底的に解明してもらいたいが、委員会の左翼全体主義的体質が改まらない限り、国家の主権や尊厳をないがしろにする介入は今後も繰り返されるだろう。(月刊『正論』編集長)
「捏造派」に負けない!
いざ左派系団体の独壇場へ! 慰安婦問題「国連攻防」杉田水脈レポート
『月刊正論』 2016年4月号 読了まで22分
杉田水脈(前衆院議員)
画期的だった政府報告
ジュネーブの国連女子差別撤廃委員会(CEDAW)で2月15~16日(現地時間)、日本軍の慰安婦問題について、重要な議論が行われました。中国や韓国、内外の左派・反日勢力から仕掛けられている歴史戦争で、日本政府が自国の名誉と国益を守るため、しっかりとした反撃の一歩をようやく踏み出した。後年、そう評価されるかもしれないスピーチが、日本政府代表団によってなされたのです。
本誌1月号で報告したように、CEDAWは昨年夏、日本政府に対し、《最近、「慰安婦の強制連行を証明するものはなかった」との報告を受けた。見解を述べよ》との質問書を出しました。
CEDAWをはじめ国連の各委員会はこれまで繰り返し、「慰安婦は性奴隷」といった虚構に基づいて日本政府を批判し、さまざまな要求を突きつけてきました。解決ずみの元慰安婦への補償はもちろん、関係者の刑事訴追、関連教育の義務付けなど不当極まりない要求も並んでいました。
しかし、わが国の政府、外務省は、「慰安婦強制連行は確認されていない」という事実に則った反論はしてきませんでした。代わりに、「(元慰安婦の女性たちに)哀悼の意を表明してきた」「アジア女性基金(AWF)を設立し、償い金をお渡しした」
といった殊勝な言葉を繰り返し、その場しのぎの謝罪で切り抜けてきたのです。不当な批判を認めるかのような外務省の姿勢が、韓国や国内反日勢力の慰安婦をめぐる嘘が国際社会に拡散するのを後押し、各地で慰安婦像が設置されるのを許してきたと言っても過言ではありません。
そもそも「性奴隷」なる悪質なレッテルが世界中に広まったのも、1996年に国連人権委員会に提出されたクマラスワミ報告がきっけでした。外務省はこのとき、同報告書の内容を「極めて不当」「歴史の歪曲に等しい」「受け入れる余地は全くない」ときっぱりと否定する反論書を一旦は提出しながら撤回しています。
こうした状況に、「もう看過できない。外務省がダメなら、われわれ民間人が立ち上がろう」と考えた「なでしこアクション」会長の山本優美子さんや私たち有志が昨年以降、ジュネーブに足を運び、「強制連行」や「性奴隷」といった慰安婦をめぐるデマに反論してきました。その結果出されたのが、昨年のCEDAWの質問書です。慰安婦問題についての国連の認識を大きく正すことができる絶好の機会であり、政府の回答が注目されていました。
得体の知れない「妖怪」になった
過激派操る「国連」に騙された日本の男女共同参画
【短期集中連載 フェミニズム「世界革命」を阻止せよ! 第一回】
2005年
光原正(元九州放送北九州本社代表)
すべての原点は女子差別撤廃条約
国民の根強い反対にもかかわらず夫婦別姓を推進しようとする政府。思想・信条や表現の自由を踏みにじるような男女共同参画条例を次々と制定する自治体。過激な性教育が横行する学校現場。「家庭崩壊科」と国会でまで批判された(今年三月四日の参院予算委、山谷えり子議員)家庭科教科書の歪んだ記述。そして昨年の配偶者特別控除一部廃止…。
このように、フェミニズム思想に基づく政策が次々と打ち出され、公教育の内容にも反映されている背景に「男女共同参画社会基本法」(以下基本法)があることは、ようやく一部で知られるようになってきた。しかし、この現状をつくりだした原点が国連の「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」(The Convention on the Elimination of
All Forms of Discrimination against Women、以下CEDAW)であることは殆ど知られていない。基本法は、 CEDAWに対応して制定された国内法であり、下位法に過ぎない。
CEDAWや基本法を設置根拠とする政府系の審議会や研究会にフェミニスト委員が集められ、答申を出し、それに沿って教育、税制・年金改革など多方面にわたる政策が実施されているのである。
その一例が、内閣府国民生活局所管の「家族とライフスタイルに関する研究会」報告書(平成十三年六月二十二日)である。一読して、フェミニズムのイデオロギーにあまりに忠実に作成されていることに驚く。
例えば、報告書は、これからの夫婦関係は「『経済的依存関係』から独立の所得を前提とした『精神的依存関係』へ」変化することが望ましい、とする。必然的に「独立した所得」を得られない専業主婦は「撲滅」すべき存在と位置付けられ、報告書は、専業主婦を優遇する税制や社会保障制度を廃止せよと提言している。既に政府は提言通り、配偶者特別控除を一部廃止した。次は特別控除の全廃、配偶者控除の廃止、公的年金の世帯配慮をなくす個人単位化(全個人が自ら負担する)である。
恐ろしいのは報告書が遺族年金制度廃止まで提言していることである。稼ぎ手である夫が亡くなっても専業主婦は一円の年金も貰えないことになるのだ。専業主婦「撲滅」と書いたが、大袈裟な表現でないことが分かっていただけるだろう。
報告書はさらに、「他人の権利を侵害しない限り個人のライフスタイルの選択は出来る限り自由」とも謳い、選択的夫婦別氏(姓)の導入や再婚禁止期間短縮、離婚における破綻主義や財産分与基準の明確化、非嫡出子法定相続の見直しなどの社会制度改革を提言している。
これらの分析・提言に通底しているのは、「育児よりも家事よりも、働くことのほうが価値は高い」「父親と母親が揃った家庭の相対化」という家族破壊思想を根本とするフェミニズムのテーゼである。
「独立した所得を前提とする『精神的依存関係』」などともっともらしいことを述べているが、そこには、家族は「経済的関係や抽象的な概念で簡単に分析できる代物ではない」という敬虔な態度は一片も見られない。家族関係はまず「愛情の関係」であり、喜びと悲しみを共有し、生命の誕生と育成という深遠な関係であり、死を見つめ、先祖から子孫へ繋ぐ歴史的存在であり、そして人間の最後の隠れ家なのである。経済的依存関係だの精神的依存関係だのと単純に整理する幼稚さ、独善ぶりには呆れるしかない。
また、「他人の権利を侵害しない限り自由」とは、「健全な家庭を営み社会の構成員としての義務を果たすことなど考えなくてもよい」というフェミニズムの破壊的本性を聞こえよく表現したに過ぎない。片親家庭、非婚、事実婚、そして恐らくは同性愛結婚も積極的に認めるべきであり、両親と子供が揃った家庭と同等の権利を保障すべき(あるいはいずれの家庭にも権利を保障しない)だという態度を表明しているのである。
報告書はまさに、フェミニズムによって家族のあり方を変革していくという「革命宣言」である。こうした政策をフェミニストが勝手に主張しているのなら構わない。しかし、これは政府の文書である。この文書の本質を国民が認識すれば大多数は容認しないはずである。研究会は八代尚宏・日本経済研究センター理事長を座長とし、フェミニストを含むたった八人のメンバーであり、僅か三力月余の間に二時間の会合を五回開いただけで報告書を作成している。
審議会や研究会を隠れ蓑に、少数のフェミニストが国民の知らないところで社会制度の変更を企図し、国民の生き方や家族・家庭のあり方に干渉しているのである。政府権力が人間の生き方に関わる問題を軽々しく決め付けていいのか。主権者たる国民を無視している。
過激な性教育も相変わらずである。先述の参院予算委で、中山成彬文科大臣が「一斉実態調査を検討する」と答弁、小泉総理も驚いて、「これはちょっとひどい。性教育など受けたことはない。それでもそんなことは自然に覚えた」と珍しくまともな反応をした。
政策を歪めたのは誰だ
「赤い国連」、そして家族破壊者たちとの闘い
『月刊正論』 2006年11月号
岡本明子(ジャーナリスト)
「遥か海の彼方に住んでいる国連の官僚から、何故私たちの暮らし方を決めてもらわなくてはならないの?」「どうやって子育てをするべきか、どんな手段で家を暖めるかということを、一々国連から指図を受ける必要はないという理念を浸透させるべきだと思うわ」。アメリカの「草の根保守(grass-roots conservative)」のオピニオン・リーダーとして長年フェミ ニストと戦ってきたミセス・フィリス・シュラフリーは、国連とフェミニズムの関係について尋ねると、こう述べた。地に足の着いた力強い言葉だった。
わが国では、女子差別撤廃条約とそれに基づいて制定された男女共同参画基本法、及び児童の権利条約を根拠に、関連条例が次々と制定され、国及び地方自治体の施策が進められている。フェミニズムや偏った人権思想に影響された国連及び国内の行政権力が、私たちの働き方や学校教育、家庭、親子関係にさえ介入して、一人ひとりの人生をも変えている-そうした危機感を持っているのは日本の我々だけではない、海を越えて共有できると確信した瞬間だった。
国の主権を侵害し家族を崩壊させようとする国連の人権諸条約を何とかしなければならないという思いは強まる一方だ。しかし国連・政府(各省庁の官僚)・反日NGOでガッチリ固められた壁を前にして、正直な所それをどう突破すればよいのか展望が掴めない中で、アメリカの草の根保守運動のリーダーたちがどう戦って来たのか、戦っているのか聞いてみたいという思いでアメリカに向かった。
最大の具体的収穫は、ヘリテージ財団のパトリック・フェイガン博士から齎(もたら)された。「日本の国連信仰は深刻で、例えば、少子化で悩んでいるわが国では、国連の『女性が働きに出ている国ほど出生率が高い』という分析が、そのまま国内の施策に反映されている」と述べた私に、即座に博士は「Myth(神話)だ!」と指摘して、ハワード・センターのアラン・カールソン博士が既にそれを論破していると教えてくれた。更に、このアラン・カールソン博士が「World Congress of Families」(家族のための世界会議。以下、WCFと表記)を主宰して、1994年から3回の世界会議を開催しているという情報を提供してくれたのだ。フェイガン博士自身もこの会議に賛同参加している一人である。帰国してジェットラグも忘れて、WCFについてインターネットで調べて、世界会議での発表資料を読み込んだ。
アラン・カールソン博士は、保守シンクタンク、ロックフォードインスティチュートの副所長を経て、現在はハワード・センターでWCFを主宰している。世界会議には、世界の全大陸から、キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、議員、大学の教授、草の根運動家、様々な人たちが集っている。第1回会議は1997年にプラハで行われ、前回第3回会議は2004年にメキシコで約3000人を集めて開催されたという。
WCFのウェブサイトのトップページには、札幌オリンピックで人気を呼んだフィギュアスケートの選手ジャネット・リンさんが、アラン教授の論文に心動かされて、キャリアよりも結婚の道を選び5人の子供を育てたというコメントを寄せている。
彼女を初めとして、会議に集う人たちの共通の価値観は、pro-family、pro-life(家族保護、生命保護)である。主に国連を媒介として近代国家を襲っている左翼思想、フェミニズムによる家族解体、生命軽視の大きな世界的潮流を押し戻そうと立ち上がったのである。
WCFの会議及びセミナーでは貴重で上質な情報が伝えられており、家族崩壊の世界的危機に際して、広く実態を伝え、出来るだけ緊急に対処しなければならないというアラン博士らの思いが伝わって来る。我が国においては、WCFの情報は、日本政府の家族政策の間違いを鋭く指摘するものとなるだろう。以下その情報の一部を紹介し、安倍新内閣に家族政策の是正を強く求めたいと思っている。
国連は信用できない
潘基文国連事務総長と会談する元従軍慰安婦吉元玉さん
=3月11日、ニューヨークの国連本部
潘基文国連事務総長と会談する
元従軍慰安婦吉元玉さん
=3月11日、ニューヨークの国連本部
国連の潘基文事務総長が3月11日、元慰安婦と会見した。昨年末、慰安婦問題での日韓合意発表後、彼は、歓迎するとの声明を出した。今回の会談でも、この合意が誠実に履行されるよう望むと述べたが、しかし、一方で「両国の努力を歓迎したが、内容を歓迎したものではない」と苦しい弁解もした。
今、アメリカには合意の無効を訴えるため、挺身隊問題対策協議会など韓国の支援メンバーが訪米し、在米団体と組織的運動を行っているが、今回の会談もその一環だ。(注 女子挺身隊とは第2次大戦中創設された勤労動員組織で、慰安婦とは無関係、1991年ごろの朝日新聞が書き誤解を招いたが、後に混同したものと認めている。)
公平中立であるべき国連の事務総長が、今(初めて)慰安婦と会う必要など全くない。彼は次期韓国大統領選挙に出馬を考えているからだと私は推察しているが、けしからん話ではないか。
国連の女子差別撤廃委員会は、対日審査の最終見解で慰安婦問題を取り上げて、「日本の軍隊により遂行された深刻な人権侵害」と決め付けた。史実を無視した一方的な言いがかりである。おまけに金銭賠償や公式謝罪などを勧告しているが、こうした戦後補償問題は、昭和40年の日韓請求権協定で解決済みなのである。
実はこの委員会、日本の皇位継承についてまで批判をし、皇位継承権が男系男子にだけあるのは女性への差別だとして、皇室典範の改正を求めようとした。
日本が強く抗議してとりあえず削除されたが、日本国の象徴であり、事実上の元首である天皇のあり方についての内政干渉など、断じて許されることではない。
男系継承が続いた国柄、伝統など、知識ゼロの連中にとやかく言われる筋合いはないのである。こう不愉快な話が続くと、一体国連は信頼できるのかと疑問がわく。はっきり言って国連は信用できないというのが、かねてからの私の思いである。
国連の中で重要な位置を占めるのが安全保障理事会だが、この中の常任理事国は、米、英、仏、とロシア、中国だ。明らかに第2次大戦の主要戦勝国で、拒否権など特権を持って国連を牛耳っている。中国は元中華民国、ロシアはソ連の解体後の国なのに相変わらず常任理事国だ。
おまけに国連分担金は国民総所得等に基づいて決めるから、日本は米に次ぐ2位で、今日まで莫大な負担を強いられて来た。理不尽な話である。当然、日本は国連改革を主張しているが、今やるべきはもっと日本を正しく理解させるためのプロパガンダ、積極的なロビー活動ではないか。
「遺憾である」程度の発言で事は解決しない。予算もしっかりつけて、国連を動かすぐらいの積極策はとれないものかと強く思っている。(深谷隆司元通産相「深谷隆司の言いたい放題」
2016年3月13日)
火種を海外に持ち込む人々
日本に厳しい国連 日本のリベラル系団体の溜まり場に
『NEWSポストセブン』 SAPIO2016年5月号 読了まで4分
3月7日、国連の女子差別撤廃委員会が日本に向けた「最終見解」を発表した。慰安婦問題の日韓合意については「被害者中心のアプローチが不十分」と批判。夫婦同姓の義務づけや女性だけ再婚禁止期間を定めた民法規定も差別的とされた。当初の見解には、「男系男子の皇位継承を定める皇室典範」に対しての言及もあった (日本政府の抗議で最終見解からは削除)。
同団体は、女性差別を禁止するために1982年に設立。女子差別撤廃条約の締結国が選出した委員23人で構成され、年3回、スイス・ジュネーブで会合を開くという。最終見解を読むと日本が差別大国であるかのような印象を受ける。
気になるのは、彼らは何をもとに審査や見解をまとめているのか、という点だ。その歪な構造に疑義を呈したのが漫画家・小林よしのり氏である。同誌は現在発売中の雑誌『SAPIO』の連載『ゴーマニズム宣言』にて解説をしているが、要旨は次の通りだ。
同委員会は各国民間機関の意見を積極的に受け入れている。ジュネーブで行う会合では民間団体のロビー活動が開かれる。わざわざ同地まで足を運ぶ民間団体は少ない。今回の最終報告には、日本のある市民団体の主張がそのまま反映されている……。
この構図、何かに似てないか。慰安婦問題にせよ、靖国参拝問題にせよ、最初の火種を起こし、それを海外に持ち込んだのは日本の市民団体や一部のメディアだった。それが事実ならともかく、慰安婦問題でいうなら一昨年の朝日誤報問題で綻びが明らかになっている。
今年の国連の対日報告書では、子どもの人身売買やポルノ問題に関し、日本はJKビジネス(女子高生らによる男性の接待行為)の禁止勧告を受けている。
これについては昨年10月、同勧告に携わった国連のオランダ人報告者が日本に視察に訪れ、「女子生徒の13%が援助交際をしている」と発言したことをご記憶の方も多いだろう。
日本政府が正式に抗議すると、同報告者は「裏付ける公的かつ最近のデータはない」と回答。
日本視察時、誰が報告者に「13%」という怪情報をもたらしたかは定かではないが、それが国連の禁止勧告に繋がっているとしたら、由々しき事態だ
(JKビジネスは当然、禁止すべきだが、それは日本自体が、正確な状況把握に基づき真摯に取り組むべき問題である)。
今年2月、国連女子差別撤廃委員会を視察するためジュネーブを訪れた前衆議院議員・杉田水脈氏が語る。
「国連はいま、日本のリベラル系団体の溜まり場のようになっています。そこで日本の保守系団体が(国連の)会合に参加できれば彼らの“ロビー活動”を阻止できる。しかし、保守系団体は国連外交にそこまで注目してこなかった。国連の認定がないと議論への全面的な参加が許されませんが、保守系団体はこの資格をあまり持っていません」
風評は立ちやすく、消えづらい。
遠いスイスの地で、日本の信用が不当に貶められているとすれば、事態は深刻である。
関連記事
■国連の日本視察者が紹介した「女子高生の13%が援交」の真偽
■韓国紙 外相が国連総会で安倍首相の足引っ張るかで沸き立つ
■「従軍慰安婦=性奴隷」説を世界中に広めたのは日本人弁護士
■韓国紙デスク 韓国メディアが朝日新聞を大好きな理由を解説
■中韓歴史博物館 日本人自ら過ち認めた証拠に日本の新聞使う
実はこの委員会、日本の皇位継承についてまで批判をし、皇位継承権が男系男子にだけあるのは女性への差別だとして、皇室典範の改正を求めようとした。
日本が強く抗議してとりあえず削除されたが、日本国の象徴であり、事実上の元首である天皇のあり方についての内政干渉など、断じて許されることではない。
~~~~~~~~~~~~~~~~
何サマですか? 国連の上から目線が許せない
国連とはいったい何サマなのか? 皇位継承権が男系男子の皇族だけにあるのは女性差別と指摘した女子差別委員会の見解に多くの日本人が仰天しただろう。慰安婦問題でもそうだったが、日本の主権や尊厳をないがしろにする国連の無神経な介入と「上から目線」を許してはならない!
小島新一のズバリ正論
国連女子差別撤廃委員会(CEDAW)が日本に関する最終見解案で、皇位継承権が男系男子の皇族だけにあるのは女性差別だと指摘していたというニュースに仰天した読者は多いだろう。見解案には、母方の系統に天皇を持つ女系女子にも「皇位継承を可能とするよう皇室典範を改正すべきだ」との勧告も記述されていたという。日本政府の抗議で3月7日に実際に発表された最終見解から削除されていたとはいえ、125代の今上陛下まで一度の例外もなく男系継承が続いてきた皇室の伝統、わが国の国柄の根幹に無神経に介入しようとしたCEDAWに「いったい何サマ?」との思いを禁じえない。
月刊「正論」では約10年前、家族問題などに絡めて、このCEDAWの「何サマ?」ぶりを繰り返し取り上げた。当時「ジェンダーフリー」なる急進的フェミニズム思想に染まっていた政府・自治体の男女共同参画政策に、CEDAWの影響が色濃くみられたからだ。
そこで分かったのは、CEDAWが「男女の社会的及び文化的な行動様式を修正せよ」などとうたった女子差別撤廃条約を盾に、各国の伝統や文化、慣習をまったく無視して、家族の在り方や個人の働き方に介入していることであり、それが制度化されているという事実だった。
「男女差別をなくす」という美名の下、特定の考え方に基づいて社会や文化の在り方を変えてしまえといわんばかりのこの傲慢さは、左翼全体主義ではないかと考えていたら、案の定だった。国連初代事務総長がソ連シンパで、「既存の伝統的家族は病理学的であり、破滅する運命にある」という極端な家族破壊思想の女性を国連内で重用した結果、国連の家族についての認識が急進的フェミニズムに染まっていったのだという。
最終見解は、慰安婦問題で、日本政府代表団による「軍や官憲による強制連行は確認できていない」という説明を無視して「日本の軍隊により遂行された深刻な人権侵害」と断定したうえ、そうした政府の見解への当てこすりか「(日本の)指導者や政治家が、慰安婦の被害者を再びトラウマに陥れるような発言をしないよう」にと〝言論封殺〟にも及んでいる。皇室典範に介入しようとしてきた経緯については、「正論」5月号で作家の竹田恒泰氏が主張しているように、CEDAWの日本人委員長、林陽子氏の国会喚問も行ってでも徹底的に解明してもらいたいが、委員会の左翼全体主義的体質が改まらない限り、国家の主権や尊厳をないがしろにする介入は今後も繰り返されるだろう。(月刊『正論』編集長)
「捏造派」に負けない!
いざ左派系団体の独壇場へ! 慰安婦問題「国連攻防」杉田水脈レポート
『月刊正論』 2016年4月号 読了まで22分
杉田水脈(前衆院議員)
画期的だった政府報告
ジュネーブの国連女子差別撤廃委員会(CEDAW)で2月15~16日(現地時間)、日本軍の慰安婦問題について、重要な議論が行われました。中国や韓国、内外の左派・反日勢力から仕掛けられている歴史戦争で、日本政府が自国の名誉と国益を守るため、しっかりとした反撃の一歩をようやく踏み出した。後年、そう評価されるかもしれないスピーチが、日本政府代表団によってなされたのです。
本誌1月号で報告したように、CEDAWは昨年夏、日本政府に対し、《最近、「慰安婦の強制連行を証明するものはなかった」との報告を受けた。見解を述べよ》との質問書を出しました。
CEDAWをはじめ国連の各委員会はこれまで繰り返し、「慰安婦は性奴隷」といった虚構に基づいて日本政府を批判し、さまざまな要求を突きつけてきました。解決ずみの元慰安婦への補償はもちろん、関係者の刑事訴追、関連教育の義務付けなど不当極まりない要求も並んでいました。
しかし、わが国の政府、外務省は、「慰安婦強制連行は確認されていない」という事実に則った反論はしてきませんでした。代わりに、「(元慰安婦の女性たちに)哀悼の意を表明してきた」「アジア女性基金(AWF)を設立し、償い金をお渡しした」
といった殊勝な言葉を繰り返し、その場しのぎの謝罪で切り抜けてきたのです。不当な批判を認めるかのような外務省の姿勢が、韓国や国内反日勢力の慰安婦をめぐる嘘が国際社会に拡散するのを後押し、各地で慰安婦像が設置されるのを許してきたと言っても過言ではありません。
そもそも「性奴隷」なる悪質なレッテルが世界中に広まったのも、1996年に国連人権委員会に提出されたクマラスワミ報告がきっけでした。外務省はこのとき、同報告書の内容を「極めて不当」「歴史の歪曲に等しい」「受け入れる余地は全くない」ときっぱりと否定する反論書を一旦は提出しながら撤回しています。
こうした状況に、「もう看過できない。外務省がダメなら、われわれ民間人が立ち上がろう」と考えた「なでしこアクション」会長の山本優美子さんや私たち有志が昨年以降、ジュネーブに足を運び、「強制連行」や「性奴隷」といった慰安婦をめぐるデマに反論してきました。その結果出されたのが、昨年のCEDAWの質問書です。慰安婦問題についての国連の認識を大きく正すことができる絶好の機会であり、政府の回答が注目されていました。
得体の知れない「妖怪」になった
過激派操る「国連」に騙された日本の男女共同参画
【短期集中連載 フェミニズム「世界革命」を阻止せよ! 第一回】
2005年
光原正(元九州放送北九州本社代表)
すべての原点は女子差別撤廃条約
国民の根強い反対にもかかわらず夫婦別姓を推進しようとする政府。思想・信条や表現の自由を踏みにじるような男女共同参画条例を次々と制定する自治体。過激な性教育が横行する学校現場。「家庭崩壊科」と国会でまで批判された(今年三月四日の参院予算委、山谷えり子議員)家庭科教科書の歪んだ記述。そして昨年の配偶者特別控除一部廃止…。
このように、フェミニズム思想に基づく政策が次々と打ち出され、公教育の内容にも反映されている背景に「男女共同参画社会基本法」(以下基本法)があることは、ようやく一部で知られるようになってきた。しかし、この現状をつくりだした原点が国連の「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」(The Convention on the Elimination of
All Forms of Discrimination against Women、以下CEDAW)であることは殆ど知られていない。基本法は、 CEDAWに対応して制定された国内法であり、下位法に過ぎない。
CEDAWや基本法を設置根拠とする政府系の審議会や研究会にフェミニスト委員が集められ、答申を出し、それに沿って教育、税制・年金改革など多方面にわたる政策が実施されているのである。
その一例が、内閣府国民生活局所管の「家族とライフスタイルに関する研究会」報告書(平成十三年六月二十二日)である。一読して、フェミニズムのイデオロギーにあまりに忠実に作成されていることに驚く。
例えば、報告書は、これからの夫婦関係は「『経済的依存関係』から独立の所得を前提とした『精神的依存関係』へ」変化することが望ましい、とする。必然的に「独立した所得」を得られない専業主婦は「撲滅」すべき存在と位置付けられ、報告書は、専業主婦を優遇する税制や社会保障制度を廃止せよと提言している。既に政府は提言通り、配偶者特別控除を一部廃止した。次は特別控除の全廃、配偶者控除の廃止、公的年金の世帯配慮をなくす個人単位化(全個人が自ら負担する)である。
恐ろしいのは報告書が遺族年金制度廃止まで提言していることである。稼ぎ手である夫が亡くなっても専業主婦は一円の年金も貰えないことになるのだ。専業主婦「撲滅」と書いたが、大袈裟な表現でないことが分かっていただけるだろう。
報告書はさらに、「他人の権利を侵害しない限り個人のライフスタイルの選択は出来る限り自由」とも謳い、選択的夫婦別氏(姓)の導入や再婚禁止期間短縮、離婚における破綻主義や財産分与基準の明確化、非嫡出子法定相続の見直しなどの社会制度改革を提言している。
これらの分析・提言に通底しているのは、「育児よりも家事よりも、働くことのほうが価値は高い」「父親と母親が揃った家庭の相対化」という家族破壊思想を根本とするフェミニズムのテーゼである。
「独立した所得を前提とする『精神的依存関係』」などともっともらしいことを述べているが、そこには、家族は「経済的関係や抽象的な概念で簡単に分析できる代物ではない」という敬虔な態度は一片も見られない。家族関係はまず「愛情の関係」であり、喜びと悲しみを共有し、生命の誕生と育成という深遠な関係であり、死を見つめ、先祖から子孫へ繋ぐ歴史的存在であり、そして人間の最後の隠れ家なのである。経済的依存関係だの精神的依存関係だのと単純に整理する幼稚さ、独善ぶりには呆れるしかない。
また、「他人の権利を侵害しない限り自由」とは、「健全な家庭を営み社会の構成員としての義務を果たすことなど考えなくてもよい」というフェミニズムの破壊的本性を聞こえよく表現したに過ぎない。片親家庭、非婚、事実婚、そして恐らくは同性愛結婚も積極的に認めるべきであり、両親と子供が揃った家庭と同等の権利を保障すべき(あるいはいずれの家庭にも権利を保障しない)だという態度を表明しているのである。
報告書はまさに、フェミニズムによって家族のあり方を変革していくという「革命宣言」である。こうした政策をフェミニストが勝手に主張しているのなら構わない。しかし、これは政府の文書である。この文書の本質を国民が認識すれば大多数は容認しないはずである。研究会は八代尚宏・日本経済研究センター理事長を座長とし、フェミニストを含むたった八人のメンバーであり、僅か三力月余の間に二時間の会合を五回開いただけで報告書を作成している。
審議会や研究会を隠れ蓑に、少数のフェミニストが国民の知らないところで社会制度の変更を企図し、国民の生き方や家族・家庭のあり方に干渉しているのである。政府権力が人間の生き方に関わる問題を軽々しく決め付けていいのか。主権者たる国民を無視している。
過激な性教育も相変わらずである。先述の参院予算委で、中山成彬文科大臣が「一斉実態調査を検討する」と答弁、小泉総理も驚いて、「これはちょっとひどい。性教育など受けたことはない。それでもそんなことは自然に覚えた」と珍しくまともな反応をした。
政策を歪めたのは誰だ
「赤い国連」、そして家族破壊者たちとの闘い
『月刊正論』 2006年11月号
岡本明子(ジャーナリスト)
「遥か海の彼方に住んでいる国連の官僚から、何故私たちの暮らし方を決めてもらわなくてはならないの?」「どうやって子育てをするべきか、どんな手段で家を暖めるかということを、一々国連から指図を受ける必要はないという理念を浸透させるべきだと思うわ」。アメリカの「草の根保守(grass-roots conservative)」のオピニオン・リーダーとして長年フェミ ニストと戦ってきたミセス・フィリス・シュラフリーは、国連とフェミニズムの関係について尋ねると、こう述べた。地に足の着いた力強い言葉だった。
わが国では、女子差別撤廃条約とそれに基づいて制定された男女共同参画基本法、及び児童の権利条約を根拠に、関連条例が次々と制定され、国及び地方自治体の施策が進められている。フェミニズムや偏った人権思想に影響された国連及び国内の行政権力が、私たちの働き方や学校教育、家庭、親子関係にさえ介入して、一人ひとりの人生をも変えている-そうした危機感を持っているのは日本の我々だけではない、海を越えて共有できると確信した瞬間だった。
国の主権を侵害し家族を崩壊させようとする国連の人権諸条約を何とかしなければならないという思いは強まる一方だ。しかし国連・政府(各省庁の官僚)・反日NGOでガッチリ固められた壁を前にして、正直な所それをどう突破すればよいのか展望が掴めない中で、アメリカの草の根保守運動のリーダーたちがどう戦って来たのか、戦っているのか聞いてみたいという思いでアメリカに向かった。
最大の具体的収穫は、ヘリテージ財団のパトリック・フェイガン博士から齎(もたら)された。「日本の国連信仰は深刻で、例えば、少子化で悩んでいるわが国では、国連の『女性が働きに出ている国ほど出生率が高い』という分析が、そのまま国内の施策に反映されている」と述べた私に、即座に博士は「Myth(神話)だ!」と指摘して、ハワード・センターのアラン・カールソン博士が既にそれを論破していると教えてくれた。更に、このアラン・カールソン博士が「World Congress of Families」(家族のための世界会議。以下、WCFと表記)を主宰して、1994年から3回の世界会議を開催しているという情報を提供してくれたのだ。フェイガン博士自身もこの会議に賛同参加している一人である。帰国してジェットラグも忘れて、WCFについてインターネットで調べて、世界会議での発表資料を読み込んだ。
アラン・カールソン博士は、保守シンクタンク、ロックフォードインスティチュートの副所長を経て、現在はハワード・センターでWCFを主宰している。世界会議には、世界の全大陸から、キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、議員、大学の教授、草の根運動家、様々な人たちが集っている。第1回会議は1997年にプラハで行われ、前回第3回会議は2004年にメキシコで約3000人を集めて開催されたという。
WCFのウェブサイトのトップページには、札幌オリンピックで人気を呼んだフィギュアスケートの選手ジャネット・リンさんが、アラン教授の論文に心動かされて、キャリアよりも結婚の道を選び5人の子供を育てたというコメントを寄せている。
彼女を初めとして、会議に集う人たちの共通の価値観は、pro-family、pro-life(家族保護、生命保護)である。主に国連を媒介として近代国家を襲っている左翼思想、フェミニズムによる家族解体、生命軽視の大きな世界的潮流を押し戻そうと立ち上がったのである。
WCFの会議及びセミナーでは貴重で上質な情報が伝えられており、家族崩壊の世界的危機に際して、広く実態を伝え、出来るだけ緊急に対処しなければならないというアラン博士らの思いが伝わって来る。我が国においては、WCFの情報は、日本政府の家族政策の間違いを鋭く指摘するものとなるだろう。以下その情報の一部を紹介し、安倍新内閣に家族政策の是正を強く求めたいと思っている。
国連は信用できない
潘基文国連事務総長と会談する元従軍慰安婦吉元玉さん
=3月11日、ニューヨークの国連本部
潘基文国連事務総長と会談する
元従軍慰安婦吉元玉さん
=3月11日、ニューヨークの国連本部
国連の潘基文事務総長が3月11日、元慰安婦と会見した。昨年末、慰安婦問題での日韓合意発表後、彼は、歓迎するとの声明を出した。今回の会談でも、この合意が誠実に履行されるよう望むと述べたが、しかし、一方で「両国の努力を歓迎したが、内容を歓迎したものではない」と苦しい弁解もした。
今、アメリカには合意の無効を訴えるため、挺身隊問題対策協議会など韓国の支援メンバーが訪米し、在米団体と組織的運動を行っているが、今回の会談もその一環だ。(注 女子挺身隊とは第2次大戦中創設された勤労動員組織で、慰安婦とは無関係、1991年ごろの朝日新聞が書き誤解を招いたが、後に混同したものと認めている。)
公平中立であるべき国連の事務総長が、今(初めて)慰安婦と会う必要など全くない。彼は次期韓国大統領選挙に出馬を考えているからだと私は推察しているが、けしからん話ではないか。
国連の女子差別撤廃委員会は、対日審査の最終見解で慰安婦問題を取り上げて、「日本の軍隊により遂行された深刻な人権侵害」と決め付けた。史実を無視した一方的な言いがかりである。おまけに金銭賠償や公式謝罪などを勧告しているが、こうした戦後補償問題は、昭和40年の日韓請求権協定で解決済みなのである。
実はこの委員会、日本の皇位継承についてまで批判をし、皇位継承権が男系男子にだけあるのは女性への差別だとして、皇室典範の改正を求めようとした。
日本が強く抗議してとりあえず削除されたが、日本国の象徴であり、事実上の元首である天皇のあり方についての内政干渉など、断じて許されることではない。
男系継承が続いた国柄、伝統など、知識ゼロの連中にとやかく言われる筋合いはないのである。こう不愉快な話が続くと、一体国連は信頼できるのかと疑問がわく。はっきり言って国連は信用できないというのが、かねてからの私の思いである。
国連の中で重要な位置を占めるのが安全保障理事会だが、この中の常任理事国は、米、英、仏、とロシア、中国だ。明らかに第2次大戦の主要戦勝国で、拒否権など特権を持って国連を牛耳っている。中国は元中華民国、ロシアはソ連の解体後の国なのに相変わらず常任理事国だ。
おまけに国連分担金は国民総所得等に基づいて決めるから、日本は米に次ぐ2位で、今日まで莫大な負担を強いられて来た。理不尽な話である。当然、日本は国連改革を主張しているが、今やるべきはもっと日本を正しく理解させるためのプロパガンダ、積極的なロビー活動ではないか。
「遺憾である」程度の発言で事は解決しない。予算もしっかりつけて、国連を動かすぐらいの積極策はとれないものかと強く思っている。(深谷隆司元通産相「深谷隆司の言いたい放題」
2016年3月13日)
火種を海外に持ち込む人々
日本に厳しい国連 日本のリベラル系団体の溜まり場に
『NEWSポストセブン』 SAPIO2016年5月号 読了まで4分
3月7日、国連の女子差別撤廃委員会が日本に向けた「最終見解」を発表した。慰安婦問題の日韓合意については「被害者中心のアプローチが不十分」と批判。夫婦同姓の義務づけや女性だけ再婚禁止期間を定めた民法規定も差別的とされた。当初の見解には、「男系男子の皇位継承を定める皇室典範」に対しての言及もあった (日本政府の抗議で最終見解からは削除)。
同団体は、女性差別を禁止するために1982年に設立。女子差別撤廃条約の締結国が選出した委員23人で構成され、年3回、スイス・ジュネーブで会合を開くという。最終見解を読むと日本が差別大国であるかのような印象を受ける。
気になるのは、彼らは何をもとに審査や見解をまとめているのか、という点だ。その歪な構造に疑義を呈したのが漫画家・小林よしのり氏である。同誌は現在発売中の雑誌『SAPIO』の連載『ゴーマニズム宣言』にて解説をしているが、要旨は次の通りだ。
同委員会は各国民間機関の意見を積極的に受け入れている。ジュネーブで行う会合では民間団体のロビー活動が開かれる。わざわざ同地まで足を運ぶ民間団体は少ない。今回の最終報告には、日本のある市民団体の主張がそのまま反映されている……。
この構図、何かに似てないか。慰安婦問題にせよ、靖国参拝問題にせよ、最初の火種を起こし、それを海外に持ち込んだのは日本の市民団体や一部のメディアだった。それが事実ならともかく、慰安婦問題でいうなら一昨年の朝日誤報問題で綻びが明らかになっている。
今年の国連の対日報告書では、子どもの人身売買やポルノ問題に関し、日本はJKビジネス(女子高生らによる男性の接待行為)の禁止勧告を受けている。
これについては昨年10月、同勧告に携わった国連のオランダ人報告者が日本に視察に訪れ、「女子生徒の13%が援助交際をしている」と発言したことをご記憶の方も多いだろう。
日本政府が正式に抗議すると、同報告者は「裏付ける公的かつ最近のデータはない」と回答。
日本視察時、誰が報告者に「13%」という怪情報をもたらしたかは定かではないが、それが国連の禁止勧告に繋がっているとしたら、由々しき事態だ
(JKビジネスは当然、禁止すべきだが、それは日本自体が、正確な状況把握に基づき真摯に取り組むべき問題である)。
今年2月、国連女子差別撤廃委員会を視察するためジュネーブを訪れた前衆議院議員・杉田水脈氏が語る。
「国連はいま、日本のリベラル系団体の溜まり場のようになっています。そこで日本の保守系団体が(国連の)会合に参加できれば彼らの“ロビー活動”を阻止できる。しかし、保守系団体は国連外交にそこまで注目してこなかった。国連の認定がないと議論への全面的な参加が許されませんが、保守系団体はこの資格をあまり持っていません」
風評は立ちやすく、消えづらい。
遠いスイスの地で、日本の信用が不当に貶められているとすれば、事態は深刻である。
関連記事
■国連の日本視察者が紹介した「女子高生の13%が援交」の真偽
■韓国紙 外相が国連総会で安倍首相の足引っ張るかで沸き立つ
■「従軍慰安婦=性奴隷」説を世界中に広めたのは日本人弁護士
■韓国紙デスク 韓国メディアが朝日新聞を大好きな理由を解説
■中韓歴史博物館 日本人自ら過ち認めた証拠に日本の新聞使う