盟友を売ってまで米国が“敵国”に擦り寄る | 日本のお姉さん

盟友を売ってまで米国が“敵国”に擦り寄る

盟友を売ってまで米国が“敵国”に擦り寄る理由 ベンジャミン・フルフォード氏
2016.01.06

ニュースディープスロート ベンジャミン・フルフォード氏

トルコ軍によるロシア機撃墜で、さらに混迷を深める中東情勢に新たな動きがあった。12月15日、モスクワを訪問していた米ケリー国務長官は、プーチン大統領と会談。シリア問題において両国が協調する方針で一致したのだ。

ロシアといえば、アサド政権を支援する立場にあり、イランと共に反アサド勢力に対する空爆を行っている。一方、アメリカは反アサド勢力を支援しており、両者はいわば敵対関係にあったはずだ。

米露イランはすでに、IS掃討の名の下に、合同軍事作戦を展開。アメリカは、冷戦以降も軋轢が続いていたロシアと、核開発疑惑をめぐって武力攻撃寸前まで関係が悪化したイランと軍事面で手を組んだのだ。数年前、誰がこうなると想像しただろう。

そんな3者が、過去の遺恨など忘れたかのように手を取り合っているのは、そもそもアメリカが擦り寄っているからだ。

アメリカはロシア・イランの“お仲間”となるため、これまでにさまざまな手土産を手渡している。例えば、NATO加盟国でかつては反アサドで協調していたトルコの南部に配備していたパトリオット地対空ミサイルを10月に撤収した。ロシア軍機がトルコ領空をたびたび侵犯するきっかけをつくった。また私が独自に入手した情報によると、同じくアサド政権転覆を目論むイスラエルが保有するパトリオット・ミサイルに関しても、7月に米軍がサイバー攻撃を仕掛け、無力化している。その後、ロシアはシリア国内に配備する空軍機を増強するとともに、イランに対空ミサイルシステムを供給。その影響によりトルコ、イスラエル、それにアラブ連盟を主導するサウジアラビアという、反アサド勢力支援国は、それぞれの領空から軍機を一歩も出すことができないような状況となっている。

パイプライン利権の“おこぼれ”にあずかりたい米国

かつての盟友を売ってまで、アメリカがロシア・イランと手を組んだのは、パイプライン利権の“おこぼれ”にあずかりたいという目論見がある。欧州ガス業界団体・ユーロガスによると、欧州は’13年度に約72兆円分のエネルギーを消費し、そのほとんどをロシアと中近東からのパイプラインによる輸入に頼っている。ロシアはイランを支援して中近東に「ペルシャ帝国」の覇権を復活させ、ヨーロッパ向けエネルギーのすべてを牛耳ろうとしているのだ。エネルギーを押さえれば、ヨーロッパの首根っこは掴んだも同然である。

■米石油メジャーはロシア・イラン側

一方、反アサドを掲げるトルコやイスラエル、サウジアラビアは「オスマン帝国」の復権を画策している。ロシアが指摘するISからの石油購入や、12月初旬のトルコ軍地上部隊によるイラク領内への侵攻は、中東の石油を既存のパイプラインではなく、イスラエル経由で輸出するルートを確保するための動きだと私は見る。

両勢力を比較し、エクソン・モービルなど米石油メジャーはペルシャ帝国に分があると見たのだ。

ISやシリアをめぐる戦いの裏側に、こうした国家間の利権争いが潜んでいる。今日もシリアやIS領内では多数の民間人の命が奪われ続けているというのに……。

◆米国務長官が訪露し、プーチン大統領にIS掃討協力を要請

12月15日、米ケリー国務長官はモスクワを訪問し、プーチン大統領と会談。シリア内戦の事態の打開とIS掃討作戦をめぐり米露が協力することで一致。一方、同日にケリー氏はイラン核兵器開発疑惑の解明終了を歓迎した

■ベンジャミン・フルフォード氏 ●ジャーナリスト ’61年、カナダ生まれ。米経済誌『フォーブス』の元アジア太平洋支局長として活躍。その後、日本を拠点に、タブーなきフリーランスの外国人ジャーナリストとして執筆活動を展開。著書に『暴かれた9.11疑惑の真相』、『日本を支配する「鉄の五角形」の正体』(扶桑社刊)など多数。『ファイナル・ウォー』(扶桑社刊)が絶賛発売中
写真/AFP=時事
http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20160106/zsp1601061130001-n1.htm

同じくアサド政権転覆を目論むイスラエルが保有するパトリオット・ミサイルに関しても、7月に米軍がサイバー攻撃を仕掛け、無力化している。

あさましいぐらい「アメリカ」やな。
こんなアメリカは少しも信用できない。あさましすぎる。