今年は2008年のリーマンショックから8年後。
今年は2008年のリーマンショックから8年後。何が起きても驚いてはいけないと考えています。
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「日経1万円割れ&1ドル最低でも87円」が十分あり得るこれだけの根拠=江守哲
2016年4月7日 ニュース
堅調な米国株と比較して「日本株は売られすぎ」とする証券関係者が多いようですが、何もわかっていません。円建てでダウ平均を見れば、日本株の動きとほとんど同じです。来年以降、日経平均株価は1万円割れ、ドル円は最低でも87円まで円高が進む可能性があると見ています――有料メルマガ『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』創刊を記念して、2016年4月4日に配信された第1回の一部を無料公開します。
※第2回は4月11日配信予定、興味のある方はぜひこの機会に定期購読を!本記事で割愛した購読者限定記事「マーケット人生物語~私の人生を変えたアノ事件」もすぐ読めます。
プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。
円高基調変わらず、日本株は本格的な長期調整相場入りも
「日本株は売られすぎ」という講釈は的外れ
4月1日のマーケットでは、日本株が急落しました。日銀短観の内容が予想以上に悪化したことが背景にあるようです。それにしても、下げが大きかったですね。
期初の機関投資家の売りが出たようですが、これは例年通りですから、驚くに値しません。むしろ、売りを待っていた向きが、日銀短観を利用して売り浴びせてきたと考えたほうがよさそうです。
こうなると、週明けの日本株は非常に危うい動きになりそうですね。再び下値を試すことになりそうです。円高が進んでいますので、これも重石になります。
米国株の堅調さとの違いから、「日本株は売られすぎ」とする証券関係者が多いようですが、何もわかっていません。
円建てでダウ平均株価を見れば、日本株の動きとほとんど同じです。為替相場がいかに株式市場に影響を与えているか、ということです。これは、ドイツのDAX指数が上昇していないことにも通じます。このような基本的なことぐらいは、知っておきたいところです。
日本株は調整第3波スタートの可能性が大
さて、日本株は調整の第3波がやってきた可能性が高いと見ています。これは、昨年8月のチャイナショック、年初の急落に次ぐ3回目の調整局面です。ここから本格的な長期調整相場が始まるのかもしれません。
来年以降に「日経平均が1万円割れ!」などという見出しが躍っているかも知れません。少なくとも、私はそう見ています。日本株の買い場はまだかなり先のようです。
日銀短観の内容は確かに衝撃的でしたが、これもある程度は予想できていたはずです。さらに円高が今後は企業業績の悪化を後押しするでしょうね。115円以上にはいかないと考えていますので、私からすれば、117円台がドル円の想定レートのようですが、かなり甘い算定ですね。つまり、企業業績の悪化がこれから本格化するわけです。
日経平均株価の一株当たり利益(EPS)が1119円にまで急低下しています。このトレンドは今後も続くでしょうね。日経平均株価は、現時点では16800円以上は割高です。この水準が今後、企業業績見通しの下方修正に伴い、徐々に低下していくはずです。
Next: 円高基調は変わらず、将来的にドルは最低でも87円
今週の「ポジショントーク」~金と資源国通貨を買いました
週末に大荒れとなった日本株ですが、方向性は想定通りでした。ただし、下げは米雇用統計後になると考えていましたので、一日早かったですね。また下げ幅も予想をはるかに上回りました。このような、短時間での下げの動きになると、常にマーケットを見ることができないと、対応するのは難しいかもしれませんね。
もともと、今年は「円高・株安の年」とみていました。これまでも、いろんなところで書いたり話したりしていましたので、ご存知の方も多いでしょう。セミナーでも昨年の夏以降、毎回のようにこの見通しとその理由を言い続けてきました。個人的には持ち株はゼロで、株価が下がっても全く問題ありません。むしろ、買い場を探しているくらいです。
しかし、その買い場はまだ相当先とみています。つまり、これから本格的な下げが来ると考えています。押し目買いなど、そんな甘い下げでは済まないと考えています。その根拠は、円高とそれに起因する企業業績の下方修正です。日経平均株価は1万円割れもあり得ると考えています。そう考えると、16000円台はまだまだ買える水準ではないですね。
そんなこともあり、今週は金などの貴金属と豪ドルなどの資源国通貨を買いました。対ドルでこれらの資源国通貨が上昇しており、いまは資源国通貨が面白いと考えています。
米国サイドが再びドル安志向を鮮明にしています。ドルは上がらないでしょう。そうなると、豪ドル、ニュージーランド(NZ)ドル、南アランドなどには買い安心感が強まります。しかし、ポンドは売っています。上値が伸びきれないのと、英国のEU離脱問題への懸念が根強いと考えているからです。
ただし、同じ欧州通貨でもユーロは堅調に推移するでしょう。ドル安とポンドの資金の逃避先として選好されるかもしれません。またスイスフランにも注目しています。また円も再び上昇しそうです。今週は少し円のロングポジションを積み増そうと考えています。
米国はドルの水準をどうしたいのかを考えると、ドルの方向性がわかります。その上で、他通貨の方針を検討すると、トレード戦略も立てやすくなります。まさにヘッジファンドが得意とする戦略構築のやり方ですね。
市場の関心が高い原油はどうしているかというと、WTI原油が40ドルを超えるまでは買わないほうが良いと考えています。歴史的に重要な水準が40ドルであり、これを超えない限り、WTI原油は上昇基調への復帰はないと考えています。いまは無理をせず、40ドルを回復するまでは売り方針で行きたいと考えています。ちなみに、WTIは下落を見込んですでにショートしており、利が乗り始めています。
なお、より詳しい投資戦略の情報については、ホームページの「メルマガ配信について」にてご案内しています。そちらもぜひご覧ください。
Next: ヘッジファンド流 投資戦略構築のポイントは「予想するな!」
週の「ポジショントーク」~金と資源国通貨を買いました
今週末に大荒れとなった日本株ですが、方向性は想定通りでした。ただし、下げは米雇用統計後になると考えていましたので、一日早かったですね。また下げ幅も予想をはるかに上回りました。このような、短時間での下げの動きになると、常にマーケットを見ることができないと、対応するのは難しいかもしれませんね。
もともと、今年は「円高・株安の年」とみていました。これまでも、いろんなところで書いたり話したりしていましたので、ご存知の方も多いでしょう。セミナーでも昨年の夏以降、毎回のようにこの見通しとその理由を言い続けてきました。個人的には持ち株はゼロで、株価が下がっても全く問題ありません。むしろ、買い場を探しているくらいです。
しかし、その買い場はまだ相当先とみています。つまり、これから本格的な下げが来ると考えています。押し目買いなど、そんな甘い下げでは済まないと考えています。その根拠は、円高とそれに起因する企業業績の下方修正です。日経平均株価は1万円割れもあり得ると考えています。そう考えると、16000円台はまだまだ買える水準ではないですね。
そんなこともあり、今週は金などの貴金属と豪ドルなどの資源国通貨を買いました。対ドルでこれらの資源国通貨が上昇しており、いまは資源国通貨が面白いと考えています。
米国サイドが再びドル安志向を鮮明にしています。ドルは上がらないでしょう。そうなると、豪ドル、ニュージーランド(NZ)ドル、南アランドなどには買い安心感が強まります。しかし、ポンドは売っています。上値が伸びきれないのと、英国のEU離脱問題への懸念が根強いと考えているからです。
ただし、同じ欧州通貨でもユーロは堅調に推移するでしょう。ドル安とポンドの資金の逃避先として選好されるかもしれません。またスイスフランにも注目しています。また円も再び上昇しそうです。今週は少し円のロングポジションを積み増そうと考えています。
米国はドルの水準をどうしたいのかを考えると、ドルの方向性がわかります。その上で、他通貨の方針を検討すると、トレード戦略も立てやすくなります。まさにヘッジファンドが得意とする戦略構築のやり方ですね。
市場の関心が高い原油はどうしているかというと、WTI原油が40ドルを超えるまでは買わないほうが良いと考えています。歴史的に重要な水準が40ドルであり、これを超えない限り、WTI原油は上昇基調への復帰はないと考えています。いまは無理をせず、40ドルを回復するまでは売り方針で行きたいと考えています。ちなみに、WTIは下落を見込んですでにショートしており、利が乗り始めています。
なお、より詳しい投資戦略の情報については、ホームページの「メルマガ配信について」にてご案内しています。そちらもぜひご覧ください。
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米国株は14%下落する!? 米大統領選挙年の株価動向に注意
米国株は堅調に推移していますが、私の今年のテーマは「米国株は下落するのか?」です。米国では、今年は4年に一度の大統領選挙が実施されます。国民総出の一大イベントです。
この大統領選挙の年の米国株の動きが非常に興味深いのです。この「アノマリー」については、テレビやラジオ、セミナーなどで詳しく解説してきましたので、ご存知の方も少なくないでしょう。
私が最も気に入っているアノマリーは、「大統領8年目の年の株価動向」です。結論から言えば、米国株は14%下落する可能性があります。過去に現職の大統領が8年間務めた際の8年目の米国株のパフォーマンスは非常に悪く、年間の騰落率が平均で14%のマイナスになっています。これは非常に大きな下げです。直近では2000年や2008年が相当しますが、それぞれの年の米国株は確かに大きく下げています。
さて、その米国株は、安値から大きく戻しています。いまのところ。急落するようには見えません。米雇用統計は堅調でしたし、ISM製造業景況感指数も強い内容でした。米国の景気はきわめて堅調と判断すべきであり、株価も下げるようには見えません。
また最近になってFRB高官が近いうちに利上げが実施されるとの見通しを出していましたが、先のイエレンFRB議長の発言ですべて否定されました。すぐに利上げは実施されない見通しになり、ドル安に基調になったことも、米国株には大きなサポート要因になっています。
しかし、ここに落とし穴があるように思います。特に住宅価格の上昇が気になります。FRBは世界経済の悪化や金融市場の混乱を懸念しているとしていますが、実際には住宅価格の上昇を気にしているのではないかと考えています。バブル化しないうちに芽を摘んでおきたいと考えてもおかしくありません。住宅市場の動向次第では、再び利上げに関する言及が聞かれるかもしれません。この点には注意しておきたいところです。
いずれにしても、過去の米大統領選挙の年の米国株のアノマリーを重視すれば、株価下落は必然のように思えてきます。また米国株は、その年の初日の取引で急落すると、その年の株価は大きく下げる傾向があります。過去には1937年や2008年には1.4%下落し、年間では37%下げました。ちなみに、今年は初日に1.5%下げました。
1937年は世界恐慌から8年目に相当し、FRBの利上げをきっかけに株価が急落し始め、株価の回復に8年かかりました。今年は2008年のリーマンショックから8年後。何が起きても驚いてはいけないと考えています。
※第2回は4月11日配信予定です。興味のある方はぜひこの機会に定期購読をお願いいたします。本記事で割愛した購読者限定記事「マーケット人生物語~私の人生を変えたアノ事件」もすぐ読めます。
『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』(2016年4月4日号)より一部抜粋
[月額3,240円(税込) 毎週月曜日(祝祭日・年末年始を除く) ]
株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。
http://www.mag2.com/p/money/9462?l=fox08dd07c
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「日経1万円割れ&1ドル最低でも87円」が十分あり得るこれだけの根拠=江守哲
2016年4月7日 ニュース
堅調な米国株と比較して「日本株は売られすぎ」とする証券関係者が多いようですが、何もわかっていません。円建てでダウ平均を見れば、日本株の動きとほとんど同じです。来年以降、日経平均株価は1万円割れ、ドル円は最低でも87円まで円高が進む可能性があると見ています――有料メルマガ『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』創刊を記念して、2016年4月4日に配信された第1回の一部を無料公開します。
※第2回は4月11日配信予定、興味のある方はぜひこの機会に定期購読を!本記事で割愛した購読者限定記事「マーケット人生物語~私の人生を変えたアノ事件」もすぐ読めます。
プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。
円高基調変わらず、日本株は本格的な長期調整相場入りも
「日本株は売られすぎ」という講釈は的外れ
4月1日のマーケットでは、日本株が急落しました。日銀短観の内容が予想以上に悪化したことが背景にあるようです。それにしても、下げが大きかったですね。
期初の機関投資家の売りが出たようですが、これは例年通りですから、驚くに値しません。むしろ、売りを待っていた向きが、日銀短観を利用して売り浴びせてきたと考えたほうがよさそうです。
こうなると、週明けの日本株は非常に危うい動きになりそうですね。再び下値を試すことになりそうです。円高が進んでいますので、これも重石になります。
米国株の堅調さとの違いから、「日本株は売られすぎ」とする証券関係者が多いようですが、何もわかっていません。
円建てでダウ平均株価を見れば、日本株の動きとほとんど同じです。為替相場がいかに株式市場に影響を与えているか、ということです。これは、ドイツのDAX指数が上昇していないことにも通じます。このような基本的なことぐらいは、知っておきたいところです。
日本株は調整第3波スタートの可能性が大
さて、日本株は調整の第3波がやってきた可能性が高いと見ています。これは、昨年8月のチャイナショック、年初の急落に次ぐ3回目の調整局面です。ここから本格的な長期調整相場が始まるのかもしれません。
来年以降に「日経平均が1万円割れ!」などという見出しが躍っているかも知れません。少なくとも、私はそう見ています。日本株の買い場はまだかなり先のようです。
日銀短観の内容は確かに衝撃的でしたが、これもある程度は予想できていたはずです。さらに円高が今後は企業業績の悪化を後押しするでしょうね。115円以上にはいかないと考えていますので、私からすれば、117円台がドル円の想定レートのようですが、かなり甘い算定ですね。つまり、企業業績の悪化がこれから本格化するわけです。
日経平均株価の一株当たり利益(EPS)が1119円にまで急低下しています。このトレンドは今後も続くでしょうね。日経平均株価は、現時点では16800円以上は割高です。この水準が今後、企業業績見通しの下方修正に伴い、徐々に低下していくはずです。
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今週の「ポジショントーク」~金と資源国通貨を買いました
週末に大荒れとなった日本株ですが、方向性は想定通りでした。ただし、下げは米雇用統計後になると考えていましたので、一日早かったですね。また下げ幅も予想をはるかに上回りました。このような、短時間での下げの動きになると、常にマーケットを見ることができないと、対応するのは難しいかもしれませんね。
もともと、今年は「円高・株安の年」とみていました。これまでも、いろんなところで書いたり話したりしていましたので、ご存知の方も多いでしょう。セミナーでも昨年の夏以降、毎回のようにこの見通しとその理由を言い続けてきました。個人的には持ち株はゼロで、株価が下がっても全く問題ありません。むしろ、買い場を探しているくらいです。
しかし、その買い場はまだ相当先とみています。つまり、これから本格的な下げが来ると考えています。押し目買いなど、そんな甘い下げでは済まないと考えています。その根拠は、円高とそれに起因する企業業績の下方修正です。日経平均株価は1万円割れもあり得ると考えています。そう考えると、16000円台はまだまだ買える水準ではないですね。
そんなこともあり、今週は金などの貴金属と豪ドルなどの資源国通貨を買いました。対ドルでこれらの資源国通貨が上昇しており、いまは資源国通貨が面白いと考えています。
米国サイドが再びドル安志向を鮮明にしています。ドルは上がらないでしょう。そうなると、豪ドル、ニュージーランド(NZ)ドル、南アランドなどには買い安心感が強まります。しかし、ポンドは売っています。上値が伸びきれないのと、英国のEU離脱問題への懸念が根強いと考えているからです。
ただし、同じ欧州通貨でもユーロは堅調に推移するでしょう。ドル安とポンドの資金の逃避先として選好されるかもしれません。またスイスフランにも注目しています。また円も再び上昇しそうです。今週は少し円のロングポジションを積み増そうと考えています。
米国はドルの水準をどうしたいのかを考えると、ドルの方向性がわかります。その上で、他通貨の方針を検討すると、トレード戦略も立てやすくなります。まさにヘッジファンドが得意とする戦略構築のやり方ですね。
市場の関心が高い原油はどうしているかというと、WTI原油が40ドルを超えるまでは買わないほうが良いと考えています。歴史的に重要な水準が40ドルであり、これを超えない限り、WTI原油は上昇基調への復帰はないと考えています。いまは無理をせず、40ドルを回復するまでは売り方針で行きたいと考えています。ちなみに、WTIは下落を見込んですでにショートしており、利が乗り始めています。
なお、より詳しい投資戦略の情報については、ホームページの「メルマガ配信について」にてご案内しています。そちらもぜひご覧ください。
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週の「ポジショントーク」~金と資源国通貨を買いました
今週末に大荒れとなった日本株ですが、方向性は想定通りでした。ただし、下げは米雇用統計後になると考えていましたので、一日早かったですね。また下げ幅も予想をはるかに上回りました。このような、短時間での下げの動きになると、常にマーケットを見ることができないと、対応するのは難しいかもしれませんね。
もともと、今年は「円高・株安の年」とみていました。これまでも、いろんなところで書いたり話したりしていましたので、ご存知の方も多いでしょう。セミナーでも昨年の夏以降、毎回のようにこの見通しとその理由を言い続けてきました。個人的には持ち株はゼロで、株価が下がっても全く問題ありません。むしろ、買い場を探しているくらいです。
しかし、その買い場はまだ相当先とみています。つまり、これから本格的な下げが来ると考えています。押し目買いなど、そんな甘い下げでは済まないと考えています。その根拠は、円高とそれに起因する企業業績の下方修正です。日経平均株価は1万円割れもあり得ると考えています。そう考えると、16000円台はまだまだ買える水準ではないですね。
そんなこともあり、今週は金などの貴金属と豪ドルなどの資源国通貨を買いました。対ドルでこれらの資源国通貨が上昇しており、いまは資源国通貨が面白いと考えています。
米国サイドが再びドル安志向を鮮明にしています。ドルは上がらないでしょう。そうなると、豪ドル、ニュージーランド(NZ)ドル、南アランドなどには買い安心感が強まります。しかし、ポンドは売っています。上値が伸びきれないのと、英国のEU離脱問題への懸念が根強いと考えているからです。
ただし、同じ欧州通貨でもユーロは堅調に推移するでしょう。ドル安とポンドの資金の逃避先として選好されるかもしれません。またスイスフランにも注目しています。また円も再び上昇しそうです。今週は少し円のロングポジションを積み増そうと考えています。
米国はドルの水準をどうしたいのかを考えると、ドルの方向性がわかります。その上で、他通貨の方針を検討すると、トレード戦略も立てやすくなります。まさにヘッジファンドが得意とする戦略構築のやり方ですね。
市場の関心が高い原油はどうしているかというと、WTI原油が40ドルを超えるまでは買わないほうが良いと考えています。歴史的に重要な水準が40ドルであり、これを超えない限り、WTI原油は上昇基調への復帰はないと考えています。いまは無理をせず、40ドルを回復するまでは売り方針で行きたいと考えています。ちなみに、WTIは下落を見込んですでにショートしており、利が乗り始めています。
なお、より詳しい投資戦略の情報については、ホームページの「メルマガ配信について」にてご案内しています。そちらもぜひご覧ください。
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米国株は14%下落する!? 米大統領選挙年の株価動向に注意
米国株は堅調に推移していますが、私の今年のテーマは「米国株は下落するのか?」です。米国では、今年は4年に一度の大統領選挙が実施されます。国民総出の一大イベントです。
この大統領選挙の年の米国株の動きが非常に興味深いのです。この「アノマリー」については、テレビやラジオ、セミナーなどで詳しく解説してきましたので、ご存知の方も少なくないでしょう。
私が最も気に入っているアノマリーは、「大統領8年目の年の株価動向」です。結論から言えば、米国株は14%下落する可能性があります。過去に現職の大統領が8年間務めた際の8年目の米国株のパフォーマンスは非常に悪く、年間の騰落率が平均で14%のマイナスになっています。これは非常に大きな下げです。直近では2000年や2008年が相当しますが、それぞれの年の米国株は確かに大きく下げています。
さて、その米国株は、安値から大きく戻しています。いまのところ。急落するようには見えません。米雇用統計は堅調でしたし、ISM製造業景況感指数も強い内容でした。米国の景気はきわめて堅調と判断すべきであり、株価も下げるようには見えません。
また最近になってFRB高官が近いうちに利上げが実施されるとの見通しを出していましたが、先のイエレンFRB議長の発言ですべて否定されました。すぐに利上げは実施されない見通しになり、ドル安に基調になったことも、米国株には大きなサポート要因になっています。
しかし、ここに落とし穴があるように思います。特に住宅価格の上昇が気になります。FRBは世界経済の悪化や金融市場の混乱を懸念しているとしていますが、実際には住宅価格の上昇を気にしているのではないかと考えています。バブル化しないうちに芽を摘んでおきたいと考えてもおかしくありません。住宅市場の動向次第では、再び利上げに関する言及が聞かれるかもしれません。この点には注意しておきたいところです。
いずれにしても、過去の米大統領選挙の年の米国株のアノマリーを重視すれば、株価下落は必然のように思えてきます。また米国株は、その年の初日の取引で急落すると、その年の株価は大きく下げる傾向があります。過去には1937年や2008年には1.4%下落し、年間では37%下げました。ちなみに、今年は初日に1.5%下げました。
1937年は世界恐慌から8年目に相当し、FRBの利上げをきっかけに株価が急落し始め、株価の回復に8年かかりました。今年は2008年のリーマンショックから8年後。何が起きても驚いてはいけないと考えています。
※第2回は4月11日配信予定です。興味のある方はぜひこの機会に定期購読をお願いいたします。本記事で割愛した購読者限定記事「マーケット人生物語~私の人生を変えたアノ事件」もすぐ読めます。
『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』(2016年4月4日号)より一部抜粋
[月額3,240円(税込) 毎週月曜日(祝祭日・年末年始を除く) ]
株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。
http://www.mag2.com/p/money/9462?l=fox08dd07c