「洗っても落ちない農薬・ネオニコチノイド」ー昆虫と人間の神経は、実は基本的に同じもの | 日本のお姉さん

「洗っても落ちない農薬・ネオニコチノイド」ー昆虫と人間の神経は、実は基本的に同じもの

放射性物質は洗ったら落ちるけど、ネオニコチノイドは洗っても落ちないから、こちらの影響の方が怖いかもしれないです。

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「洗っても落ちない農薬・ネオニコチノイド」

日本では、いまだ野放しのネオニコチノイド農薬が、世界的にミツバチや他昆虫などを大量死させていることはご存知のとおりでしょう。(自治体によっては一部規制しているところもあり)

ネオニコチノイド系農薬は、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフラン、チアクロプリド、ニテンピラムの7種が代表する成分です。

各地でミツバチの死骸からこれらのネオニコチノイド系農薬が検出されていますが、ネオニコチノイドで種子処理されたタネを播種機でまくと殺虫成分が粉塵となって放出されたことがこれらの大量死に主に起因しているとされています。

ネオニコチノイドがミツバチのアセチルコリンの受容体に結合すると、正常な神経伝達が阻害され、やられたミツバチは方向感覚を失い、帰巣本能が侵されるので巣にもどれないのです。

EUでは、このうち、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムにはほぼ規制がかかっています。

ネオニコチノイドの具体的な害は下記です。

◎残効性
効果が長期間続くことから、減農薬栽培に向くとされている。イミダクロプリドが処理されると1年は環境中で残留値はほとんど減らない。また、これを使用した農産物は洗ってもなかなか落ちない。つまり残留農薬がある。

◎神経毒
神経伝達を混乱させる。その殺虫性能はDDTの5000倍以上。低濃度の汚染でも全身のマヒや弛緩が起き、産卵などができなくなり生育不良から死に至る。

◎浸透性
水に溶けやすく、殺虫成分が根や種子などから作物に浸透する。

◎移行性
有毒成分が花粉や花蜜にまで移行してしまう。水たまりの水を汚染する場合もある。

◎相乗効果性
特定の殺菌剤と使用すると、ミツバチへの毒性を1000倍以上に増加させる。

◎代謝毒性
イミダクロプリドの代謝産物の一つであるデニストロイミダクロプリドは人や哺乳類への毒性は昆虫に比べてかえって高い。

以上のような毒性があるにもかかわらず、ネオニコチノイド系農薬は「人への毒性は弱く、虫には強い」とか、「慣行の5割減農薬」というような表示ができてしまいます。

減農薬栽培をしている農家には2つのタイプがあり、同じ減農薬を訴えていても全く意味が変わるものです。慣行栽培(化学農薬・化学肥料使用)で農薬使用を減らした農家と、無農薬栽培を原則としていたが病気や害虫などが入りやむを得ず農薬を少量使用した農家の、2タイプです。ネオニコチノイド系農薬が流行し始め、前者のような農家が増えてきています。

しかし、農薬を規制する現場ばかりを責めていても何ら変わりません。農薬の一番の被害者は生態系であり、吸入リスクの大きい農家さんなのです。

まず、消費者である私たちが変わり、見た目を重視しない商品評価を意識し、農薬不使用の見た目の悪い農産物を購入する意識を高める必要があるのです。

※水野玲子 著、岡田幹治 著、NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議など。
https://www.facebook.com/nobunaga.yoshitomi


・洗っても落ちない「浸透性農薬の毒性」 ③

もしあなたが家庭菜園を始めることにし、トマトの苗を買ったとしよう。
しかしその苗はすでに、ネオニコチノイド農薬のモスピラン(成分名:アセタミプリド)やベストガード(成分名:ニテンピラム)などでほとんど処理されていることが多い。つまりすでに充分殺虫、殺菌済みということだ。だから庭先に植えても虫が寄り付かず、手間も省けて楽に家庭菜園で収穫ができる。

それだけではなく、観葉植物や切花やガーデニングも例外ではない。
そのきれいな花には殺虫剤のアクタラ(成分名:チアメトキサム)やアドマイアー(成分名:オミダクロプリド)が使用されていることが多い。ガーデニングのためには、ネオニコチノイド系殺虫剤の、たとえばダントツ粒剤が推奨されている。

ペットを飼っている人であれば、ペットのノミやダニにフロントライン(成分名:フィプロニル)をたらす人がいるだろう。一方で、農林水産省の動物医薬品副作用情報のページには、ネオニコチノイド系薬剤のアドバンテージ(成分名:イミダクロプリド)や、フロントラインによる犬猫の死亡例が多く掲載されている。米国でも、犬猫のアドバンテージやフロントラインによる多くの死亡が確認されており、動物愛護協会はこの薬剤の副作用を疑っている。

ネオニコチノイドは、今ではほとんどすべての農作物に使用されている。
それは米や野菜だけでなく、ミカンやブドウなどほとんどの果物にこの農薬が使用されており、毒性の作物残留試験の結果が詳しく記されている。しかも、日本の農薬残留基準(149ページ参照)はきわめてゆるい。それはその結果が流通の妨げにならないように、規制が限りなく甘く設定されているからなのだ。(P.47に、ネオニコチノイドを用いた松枯れ防除、イネ殺虫剤、シロアリ駆除、ガーデニング用家庭用殺虫剤や、ペットののみ取りなどの商品名が記載されている)

そして野菜栽培には、ネオニコチノイドだけでなく多くの薬剤が絶え間なく使用される。収穫までの間に、別系統の殺菌剤や殺虫剤を7~8種類も使用することになっている。

その農薬防除暦に書かれている農薬の数を見ると、私たちが食べているのは野菜ではなくて、実は農薬だったのではないかと思うほどだ。

こうした農薬漬けの野菜を食べたくなければ自分で作るしかない。

しかし、海外ではネオニコチノイドによる種子処理が盛んに行なわれているので、輸入された種子がすでにネオニコチノイド漬けになっている可能性はある。

ネオニコチノイドやフィプロニルは、ゴキブリ退治やコバエ退治、シロアリ駆除にも使われており、フランスではフィプロニルがミツバチの大量死の原因とされて禁止されたが、フィプロニルの効き目はそれほど強力なのだ。

かつて住宅用のシロアリ駆除剤として使用されてきた有機リン剤クロルピリホスは、その危険性が指摘されて使用自粛となったが、米国ではすでにヒトの先天異常との関係が報告され、2011年にはクロルピリホスが7歳児の神経発達スコアーに悪影響を及ぼすとする論文が発表された。

そのシロアリ駆除剤が、今やネオニコチノイド剤に切り替えられ始めている。

ネオニコチノイド系殺虫剤は日本人によって開発された

世界に広がったネオニコチノイド系殺虫剤の開発には、実は日本人が深く関わっていた。

イミダクロプリドは1978年、シェル化学グループが開発した殺虫剤を、日本特殊農業製造(現在の日本バイエルアグロケム社)が改良して新農薬として世に出したが、それを開発したのは日本人だった。

そして2010年、アメリカ化学会が、イミダクロプリドを作り出した利部伸三に対し農薬化学研究賞を授与した。

その他にも、ニテンピラム(武田薬品)、アセタミプリド(日本曹達)も日本で開発され、ドイツで5億匹ものミツバチを死滅させ、日本でも大量のミツバチを絶滅させたと疑われているクロチアニジンも、日本人の手により住化武田農薬(旧武田薬品工業)が開発した殺虫剤だった。

全世界の農業と食料需給を左右するポリネーターのミツバチの減少という一大事に、こうした形で私たち日本人が深く関っていたのである。

開発当初は夢の新農薬として有機塩素系農薬の代表格DDTだったが、その数十年後にはその強い毒性が明らかにされた。DDTを発見した学者はノーベル生理学・医学賞を与えられたが、その後DDTなどの有機塩素系農薬は環境に残留し、生物に濃縮されることがわかり、1970年代に日本をはじめ各国で製造・使用が禁止された。その後に登場した有機リン系農薬も絶賛されて全世界に広まったが、2007年には一転して危険な農薬という理由でEUではほとんど禁止となった。

しかし日本ではまだ、有機リン系農薬ですら、そのほとんどが禁止にさえなっていない。

そして新農薬とされるネオニコチノイドは、まだ日本各地で”弱毒性”との宣伝を受けて讃えられ、しかも減農薬推進のために歓迎されている真最中なのだ。

昆虫と人間の神経は、実は基本的に同じもの

基本的に人も昆虫も、神経伝達物質といわれるアセチルコリンやグルタミン酸などが必要であり、神経系の基本は同じである。

にもかかわらずこれまでの農薬の研究は、いかにして人ではなく虫だけの神経系を攻撃するかに絞られてきた。

そして有機リン系農薬が登場して40年あまりを経た今になってやっと、この農薬が影響したのは虫だけではなかったことがわかってきた。

化学物質の影響を受けやすいのが、乳幼児や胎児である。

そして子どもの神経と発達に、有機リン農薬の及ぼした悪影響の証拠が発表された。

米国の権威ある小児科雑誌(Pediatrics)は2010年6月、低レベルであっても尿から有機リン系農薬が、より多く検出された子どもはADHDになりやすいという論文を掲載した。

化学物質が生体内に入って変化することを「代謝」というが、それによって毒性が逆転することがある。

かつて中国餃子による食中毒騒ぎがあったが、そのときに問題となったのがメタミドホスという物質で、これは有機リン系農薬アセフェートの一つの代謝産物だった。

つまり餃子を食べて体内に入った後、それがより強力な物質に変化して体内に影響したのである。

そして強力な農薬ネオニコチノイドの毒性(P.61の表参照)が起こす、代謝の不安は計り知れない。

たとえば代謝産物の一つデニストロイミダクロプリドではそれが体内に入ったとき、その毒性は昆虫よりも哺乳類においてかえって高くなり、ごく微量であっても神経伝達を阻害する。(P.62参照)

つまり選択毒性が逆転し、人間の体内に入ると毒性が大きくなるということなのだ。

これほど重大な事実が、私たち国民にはまったく知らされていないのである。

「昆虫は殺すが人には安全」などということはあり得ず、農薬企業の説明を鵜呑みにした行政や農業関係者だけでなく、私たちはあまりにも簡単に騙されてしまったのではないか?

洗っても落ちないネオニコチノイド農薬の毒性

日本ではまだほとんど知られてはいないことに、”浸透性農薬”(Systemic Insecticides)があるが、これは何か。

つまり農薬の浸透移行性のことで、農薬が根や葉から吸収されて作物全体に広がる性質のことだ。だからもし毒性が強い場合、作物のどこを食べても昆虫が死ぬ可能性がある。

また浸透移行性が強い殺虫剤は水に溶けやすい。

そして従来使用されてきた浸透性を持たない殺虫剤の多くは、雨などによって少しずつ落ちる。
しかしこの浸透性農薬はそうではなく、ひとたび作物全体に内部から浸みわたってしまうと、その影響は長時間持続し、「洗っても落ちない」。

2006年度の奈良県保険環境研究センター年報によると、さまざまな農薬が使用されている市販のイチゴを、30秒間かけて2回洗浄して農薬除去率を調べたが、5種類の殺菌剤はその除去率が30%を超えたのに対し、ネオニコチノイドのアセタミプリドはわずか1・7%しか洗っても取れなかった。

この実験結果を見ると、”洗っても取れないネオニコチノイド”というのは本当のようだ。

そして日本で登録されている7種類のネオニコチノイド農薬、フェニルピラゾール系フィプロニル、有機リン系アセフェートなどもすべて浸透性農薬といわれるものである。この農薬の浸透性の性質が、これまで考えられなかった被害を、昆虫だけでなくすべての生き物や人間にまで及ぼし始めているのだ。

この浸透性により、ミツバチが死んだ可能性が疑われている。

フランスやドイツなど多くのヨーロッパ諸国で、ヒマワリやナタネ、トウモロコシの種子をネオニコチノイドでコーティング(処理)し、その種を蒔いた直後に、各地でミツバチの大量死が起きたことが人々を恐怖に陥れた。

そしてフランスやイタリアでは原因究明に多くの研究が行なわれた。

ギロラミ博士による論文『ネオニコチノイド農薬によって種子殺菌された種から染み出る水滴:新しいミツバチ中毒』(2009)より

「(略)ネオニコチノイド農薬によって種子処理された種から、想定外の高い濃度のこの農薬が作物全体に浸透していた。

トウモロコシの葉の先端から染み出る水滴は、夜間に葉に滴(したた)った大気中の露滴ではない。

そこには根から吸い上げられ葉や花まで到達した水滴の中に、ミツバチが数分で死滅するほどの高い濃度のネオニコチノイドが残留していることが明らかになった。(略)」

このイタリアの研究結果による科学的証拠の情報は、またたく間に世界中に広まった。

日本の専門家も浸透性農薬の危険性に気づいていた。

国土の7%が水田の日本で、農薬の約40%は水田で使用される。

今日、全国の田んぼでは、浸透性農薬のイミダクロプリドとフィプロニルが猛威を振るい、田んぼに生息する生物を全滅させる勢いである。

そして赤トンボなどの調査研究が行なわれ、水田水面のイミダクロプリドやフィプロニルの動態を調査したところ、赤トンボの代表アキアカネはこの殺虫剤の影響で高い死亡率を示し、特にフィプロニルは48時間後の死亡率が100%だった。

こうしてトンボの幼虫はこの農薬で完全に消されてしまった。

トンボはクモとともに、水田内の害虫密度を抑制する役割を持つ「捕食性天敵」といわれる大切な存在だが、こうした昆虫を絶滅させてしまう農薬が何の疑いもなく日本全国で使用されているのだ。

フィプロニルの国内出荷量は、1996年から10年間で約10倍に増加した。

それはお米だけでなく、さまざまな殺虫剤、ゴキブリ退治、ペットののみ・ダニ取りなどで家庭内でも多く用いられている。

もうひとつの安全神話
『新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす』 水野玲子著
七つ森書館

抜粋
http://8729-13.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-96a7.html

日本人は、おとなしくて無知で動かないからどうしようもないね。
どうしたらいいんだ?どうやったら、この恐ろしい農薬の使用を止めさせることができるんだろう!?