頂門の一針 | 日本のお姉さん

頂門の一針

アメリカにアメリカ軍も買わないような古いタイプのしょうもない兵器を買わされて高い金を払っている日本って、アメリカの奴隷なの?

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読 者 の 声
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1)先進国の問題点を探る:前田正晶

先日の「景気を考えれば」では触れていませんでしたが、インドネシアや 中国が近年になって導入した新マシンはゴルフクラブにたとえれば、素晴 らしく距離が出る新素材のドライバー、我が国や アメリカの近代化が遅れ た古・遅・小のマシンはパター程度で距離も出ず精度も低く、その規模自 体も比べものになりません。

21世紀の現代ともなれば、パーシモン(persimmon)のヘッドでステイール のシャフトのクラブは市販されていないのと同様に、新興勢力が購入出来 るのは最新鋭の(アメリカや我が国にはない)機 械しかなくなっていたの です。

我が国も兎も角、アメリカは古き良き資本主義を後生大事に守ってしてい ますから、拡大再生産など考えられないほど利益が上がらない業種では、 新規設備投資も既存施設の合理化もしなかった為 に、紙パルプ業界では博 物館から借りてきたかと思うような古物化したマシンを低い質の労働力で 動かすのですから、高くて(我が国の優れた紙類と比較すれば)質の低い
製品が出来ていたのも仕方がなかったことでした。

それが為にだけでもありませんが、印刷用紙、新聞用紙、段ボール原紙の 大手メーカーは全てChapter 11という惨状。IPを先頭に我がW社等の大手 は2000年代初頭に全て製紙分野
から事実上撤退した形となりました。

それが時代を先読みしたことでもあったのですが、そこに新興勢力が付け 入る余地が生じたのです。だが、その後輸入紙の攻勢に耐えかねて「国内 産業保護」の名目で関税をかけて守ったにも拘わ らず、ほとんどの大手 メーカーが民事再生法申請せざるを得ない状況に立ち至りました。IPもW 社も撤退した後でしたから、輸入紙攻勢による実害はなし。アメリカの自 動
車産業はこの前に壊滅していたのような事態の実態を、大統領様はお解 りではなかったようで。

「そのアメリカがTPPだなんておかしい」と私が言うのはこういう根拠で す。世界の新たな変化に立ち後れ輸入に頼らざるを得ない状態になってい て、しかも内需依存の経済でありながら、その不振 を打開する為に輸出す るって言っても、アジアに近い西海岸にはこれという産業はありません。 その筆頭だった我がW社は既に材木会社に本卦還り。我が国の木材関連業 界
に一部上場の企業はないのですから、輸出する相手を選ぶのは容易では ありません。スマホがあると言っても作っているのは最近話題を賑わして いる台湾の会社では?

労働力の質の問題などは一朝一夕に改善出来るものではない階層の難問を 抱え、国内市場の甘い品質の要求に応えていれば良かった技術力(例え ば、自動車)の飛躍的な向上を図らずして、高高度 工業製品の輸出を増や すことなどは大雑把に言えばボーイング以外では不可能でしょう。では、 従来の一次産品の輸出を強化することも地元の産業の原料を売り払うこ
と になるので、既に中止されたり反対の声も上がっています。だからこそ、 牛肉だの豚肉だのと言っている訳で、この辺りがアメリカの泣き所です。

私はアメリカの牛肉は食べる店を選んで食べれば極めて美味であると知っ ていますから、牛肉が安値で入ってくることは歓迎です。ではあっても、 一次産品を輸出を促進するのがアメリカの真の狙
いであるとは思えないの です。そうだったならば、TPPで縛ろうと何だろうと、直に相手国に飽き られてくるだろうと思っております、経験的にも。我が国のように優れた 国 産品の品質になれ相手向けの輸出はそれほど簡単なことではないと招致 している企業がアメリカや他の国にどれだけある事か。

2)アメリカの大学事情と学生ローン問題:前田 正晶

畏友尾形氏から4日に「今日の産経紙「正論」をご覧になられたでしょう か?竹内洋先生が、アメリカの大学で准教授をなさっているお嬢さんの話 として、「最近のアメリカの大学事情」に就いてお 書きです。」

私も興味深く読んでいたので、早速以下のように返信したので、ご紹介す る次第。

アメリカの大学には貰いきりの奨学金制度(Scholarship)はあります が、近年では学生ローンはその残高が高額になり、社会人となってからそ の返済に苦しめられている者が増えたと聞いており ます。これは一度でも 返済が遅れると銀行のブラックリストに載り、その後は住宅ローンなどを 組む際の悪条件になってしまうのだそうです。年間3万ドルにもある授業 料 を4年も借りれば12万ドル($1=¥111でも¥1,300万円超となる)とい う大きな債務となるのですから大変です。

また、近年大学の経営状態そのものが苦境にあるのみならず、我が国でも 妙に名が知れている”UCLA”(=州立のカリフォルニア大学・ロスアンジェ ルス校)などはカリフォルニア州の財政破綻の結果 で経営が私企業に移管 されたために、年間の授業料を含めた学費がIvy League並の500万円にも 達してしまったそうです。SM氏の次女は先頃UCLAのビジネススクールを経 て就
職されましたので、明らかな事実です。

また、彼の長女はロスアンジェルス市内の私立大学の法科大学院を経て弁 護士になった時点で学生ローンの残高が20万ドルにもなって、その返済の 為に法律事務所勤務で文字通り寝食を忘れて働 き、漸く苦境を脱したそう です。YM氏も2月の21世紀パラダイム研究会でこの学生ローン問題につい て、その高額な点が社会問題になりつつあると語っていました。

それは、貸し手の銀行としては裕福な家庭の子女が多い私立大学や、UCLA やUCバークレー等の学生を狙ってくるのは当然でしょう。また、私と愚息 の友人でもあるIntel勤務の精鋭は、ハーヴァード のビジネススクールに 入学した時点で裕福な親からの援助はなく、車を売り学生ローンを借りて 賄ったそうです。彼ほどの裕福な家でも、親は大学院の学費を出さず自己 負担せよというのは、如何にもアメリカ的です。

銀行がこういう問題をどのように考えているかは尾形さんの守備範囲にあ る事でしょうが、ワシントン大学のような有力な州立大学ではフットボー ルに力を入れて、構内に7万人収容のスタジアムを 作って集客をはかって いますし、UCバークレーも同様に1万2千人収容の室内競技”Haas Pavilion”をLevi’sの社長の寄付で設け、10万円だったかで年間指定席を 売 り出す等、資金調達業務に勤しんでいます。

大体、W社の事業部長乃至は副社長を兼任するくらいの地位にいる連中の 子弟は、概ね東海岸の私立大学かカリフォルニア州のスタンフォード等に 進むようです。即ち、彼らは年間500万円程度の教育 費は問題なくまかな える収入があるということでしょう。「

これだからアメリカ格差社会 だ」という奴が出てくるのでしょう。私はこういうことを我が国にいて批 判す る意味はあまりないかと思っております。
何分にも、余所の国の文化 であり事情ですから。

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知人の韓国系アメリカ人も、大学院を卒業した時点で奨学金で借りた3000万円の返済を抱えていたけれども、すでに1500万円返したと嬉しそうに言っていましたね。
すごい額の奨学金だなと思った。病気でもして返せなくなったらどうなるのだろう?