白血病の原因
白血病の原因
他のがんと同様に、白血病の原因と発生機序はハッキリ分かっている訳ではありません。しかし、最近の遺伝子を中心とする研究の進歩により、がんは多段階的の遺伝子異常を経て発生していると理解されています。簡単に言えば、がん細胞とは遺伝子に傷がつき、その結果、計画細胞死がおきず、死ににくくなっている細胞を言います。
遺伝子に傷をつけるものは、我々の廻りにけっこう沢山あります。代表的なものがタバコに含まれる発がん物質です。その他、健康診断の時に浴びる放射線、さらに自然界にも存在する放射線や発がん物質や薬などです。また、ある種のウイルスも遺伝子に働いてがんを発生させます。
2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所の炉心溶融(メルトダウン)後の水素爆発によって放射能が拡散し、半径20キロ以内の住民に避難命令が出されました。一番恐れられているのが、放射能によるがんの発生です。事実、広島・長崎の原爆後やチェルノブイリの原発事故後に白血病が多発しました。ただし、広島・長崎の調査からは、100ミリシーベルト未満の被曝では、がんの多発は見られていません。避難指示が出された理由は、年間20ミリシーベルト以上の放射能に被曝する可能性があることでしたが、少なくともこれまでは、この量では白血病もがんも増加していないことが知られていますので、放射能漏れがこれ以上に拡大しないことを祈っています。
南九州、沖縄や五島列島に風土病的に存在する成人T細胞白血病・リンパ腫は HTLV-I というウイルスによる白血病です。
このウイルスは母乳を介して母から子に伝わることが分かっていますので、母乳を与えなければ予防が可能です。ウイルスを持っているかは血液検査で判定できます。今は全国無料で検査してくれるようになりましたので、母親になる人は検査が陽性なら母乳を与えてはいけません。どうしても与えたい場合は、母乳を凍結してから与えるか、あるいは、母乳に抗体が含まれる
満3か月までの短期授乳にすべきです。後で説明しますが、この白血病は現在の治療法では治すことの難しい病気ですから、可愛いわが子にこのウイルスをうつさないようするのは母親の責務でしょう。また、白血病と関係の深い悪性リンパ腫のある種のものは、EBウイルスが原因になっています。子宮頸がんはパピローマ・ウイルスが原因となっていることも確実になりました。
タバコを吸う人が肺がん、口腔がん、食道がんや胃がんになりやすいことは、よく知られており、タバコに含まれている発がん物質が直接これらの臓器の遺伝子を傷つけることで理解できます。実は、大人に多い骨髄性白血病も喫煙者に多いことが分っています。これは、口の粘膜から直接的に、あるいは、唾液に溶けて胃腸から吸収された発がん物質が骨髄に運ばれて造血幹細胞の遺伝子を傷つけているためです。成人の白血病発生率の男女比が六~七対四~三と男性に多いことがわかっていたものの、
これを説明できる理由が見つからず、私は前々から疑問に思っていたのですが、喫煙者に白血病が多いことが疫学的研究によって立証されて納得しました。男女の喫煙率の違いで説明できるからです。ちなみに、子どもの骨髄性白血病には男女差はありません。
白血病では、患者さんからがん細胞(白血病細胞)を沢山ご提供いただけますので、遺伝子異常を始めとする研究は、ヒトのがんの中では最も進んでいます。特に、慢性骨髄性白血病や急性前骨髄球性白血病に関する研究は最も進んでいます。慢性骨髄性白血病では、通常ヒトでは23組ある染色体の内、第9番染色体の一部と第22番染色体の一部が切れて互いに入れ代わる相互転座ということがおこっており、この染色体はフィラデルフィア(Ph)染色体とよばれています(図1)。その際、第9番染色体にあるABL1 遺伝子(がん遺伝子の一つです)が第22番染色体にあるBCR 遺伝子の下に移動(転座といいます)し、BCR/ABL1 融合遺伝子が作られます。この融合遺伝子が作るBCR/ABL1蛋白は、ABL1 遺伝子が作る蛋白がもともと持っているチロシン・キナーゼという酵素が常時働き続けるようになっているため、白血病細胞が常に増え続ける状態になっています。このチロシン・キナーゼの働きを選択的に阻害する目的で作られた薬がイマチニブ(グリベックR)です。チロシン・キナーゼの作用が抑えられると白血病細胞は生き続けることができなくなるため、イマチニブは慢性骨髄性白血病にすばらしい治療効果をあげています。
http://www.jalsg.jp/leukemia/cause.html
白血病ってどんな人がなりやすいですか?
tkg0927さん
2011/11/701:01:27
白血病ってどんな人がなりやすいですか?
ベストアンサーに選ばれた回答
candis_white_ardleyさん
2011/11/719:02:39
こんにちは。
白血病の発症には不明の事が多いです。
しかし、白血病を発症しやすい要因というものは少しずつわかってきてます。
白血病は造血系細胞が骨髄の中で腫瘍化、すなわち白血病化して増殖する病気です。
発症成因は明らかにはなってませんが、多段階的な遺伝子異常を経て癌化することがわかってきてます。
単独の遺伝子異常では白血病になるわけではなく白血病には複数の遺伝子異常が必要ということが考えられてきてます。
白血病には骨髄性とリンパ性に分かれ癌細胞の増殖形式により急性のものと慢性のものに分かれます。
後に説明するような発症要因などにより点突然変異を含む遺伝子異常が発現し、次いで相互転座を中心とする染色体異常が起こり、その結果、癌遺伝子が活性化され細胞の異常増殖がみられたり転写遺伝子異常により分化の阻止が起こり最後に生体の免疫防御機構を逸脱したものが白血病として発症してくるものと考えられてます。
さて白血病の発症要因も不明な事が多いですが、環境要因として医学的根拠が確認されてるものには、放射線暴露、抗腫瘍薬(アルキル化剤、トポイソメラーゼ ll 阻害薬)があります。
また疑われてるものとして、殺虫剤、有機溶媒などがあります。
さらに一部疑われてるものとして、電磁波、喫煙、妊娠中の母親の大量飲酒やマリファナ摂取、父親の喫煙、父親の殺虫剤暴露などがあります。
またウイルスにより発症する白血病も知られてます。
その白血病は成人T細胞白血病で、成人T細胞白血病ウイルスが感染している場合、生涯で男性の7%、女性の2.6%が発症します。主に母乳からの感染が多いです。
国内では200万人程度の感染者がいると思われて、毎年700人から1000人程度が発症してます。
年齢が上がるにつれて発症の頻度が高まります。
また、この白血病は親族に発症があると発症のリスクは、かなり高まります。
そのため成人T細胞白血病に関しては明らかに遺伝的な要因があると考えられてます。
さらに再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、真正多血症などから引き続いて起こる急性骨髄性白血病もあります。
また悪性リンパ腫からのリンパ性白血病もあります。
特にこのようなことはEBウイルスや成人T細胞白血病ウイルスで起こる場合があります。
このように白血病は発症形式からみても単一の病気ではないことが明らかです。
他のがんと同様に、白血病の原因と発生機序はハッキリ分かっている訳ではありません。しかし、最近の遺伝子を中心とする研究の進歩により、がんは多段階的の遺伝子異常を経て発生していると理解されています。簡単に言えば、がん細胞とは遺伝子に傷がつき、その結果、計画細胞死がおきず、死ににくくなっている細胞を言います。
遺伝子に傷をつけるものは、我々の廻りにけっこう沢山あります。代表的なものがタバコに含まれる発がん物質です。その他、健康診断の時に浴びる放射線、さらに自然界にも存在する放射線や発がん物質や薬などです。また、ある種のウイルスも遺伝子に働いてがんを発生させます。
2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所の炉心溶融(メルトダウン)後の水素爆発によって放射能が拡散し、半径20キロ以内の住民に避難命令が出されました。一番恐れられているのが、放射能によるがんの発生です。事実、広島・長崎の原爆後やチェルノブイリの原発事故後に白血病が多発しました。ただし、広島・長崎の調査からは、100ミリシーベルト未満の被曝では、がんの多発は見られていません。避難指示が出された理由は、年間20ミリシーベルト以上の放射能に被曝する可能性があることでしたが、少なくともこれまでは、この量では白血病もがんも増加していないことが知られていますので、放射能漏れがこれ以上に拡大しないことを祈っています。
南九州、沖縄や五島列島に風土病的に存在する成人T細胞白血病・リンパ腫は HTLV-I というウイルスによる白血病です。
このウイルスは母乳を介して母から子に伝わることが分かっていますので、母乳を与えなければ予防が可能です。ウイルスを持っているかは血液検査で判定できます。今は全国無料で検査してくれるようになりましたので、母親になる人は検査が陽性なら母乳を与えてはいけません。どうしても与えたい場合は、母乳を凍結してから与えるか、あるいは、母乳に抗体が含まれる
満3か月までの短期授乳にすべきです。後で説明しますが、この白血病は現在の治療法では治すことの難しい病気ですから、可愛いわが子にこのウイルスをうつさないようするのは母親の責務でしょう。また、白血病と関係の深い悪性リンパ腫のある種のものは、EBウイルスが原因になっています。子宮頸がんはパピローマ・ウイルスが原因となっていることも確実になりました。
タバコを吸う人が肺がん、口腔がん、食道がんや胃がんになりやすいことは、よく知られており、タバコに含まれている発がん物質が直接これらの臓器の遺伝子を傷つけることで理解できます。実は、大人に多い骨髄性白血病も喫煙者に多いことが分っています。これは、口の粘膜から直接的に、あるいは、唾液に溶けて胃腸から吸収された発がん物質が骨髄に運ばれて造血幹細胞の遺伝子を傷つけているためです。成人の白血病発生率の男女比が六~七対四~三と男性に多いことがわかっていたものの、
これを説明できる理由が見つからず、私は前々から疑問に思っていたのですが、喫煙者に白血病が多いことが疫学的研究によって立証されて納得しました。男女の喫煙率の違いで説明できるからです。ちなみに、子どもの骨髄性白血病には男女差はありません。
白血病では、患者さんからがん細胞(白血病細胞)を沢山ご提供いただけますので、遺伝子異常を始めとする研究は、ヒトのがんの中では最も進んでいます。特に、慢性骨髄性白血病や急性前骨髄球性白血病に関する研究は最も進んでいます。慢性骨髄性白血病では、通常ヒトでは23組ある染色体の内、第9番染色体の一部と第22番染色体の一部が切れて互いに入れ代わる相互転座ということがおこっており、この染色体はフィラデルフィア(Ph)染色体とよばれています(図1)。その際、第9番染色体にあるABL1 遺伝子(がん遺伝子の一つです)が第22番染色体にあるBCR 遺伝子の下に移動(転座といいます)し、BCR/ABL1 融合遺伝子が作られます。この融合遺伝子が作るBCR/ABL1蛋白は、ABL1 遺伝子が作る蛋白がもともと持っているチロシン・キナーゼという酵素が常時働き続けるようになっているため、白血病細胞が常に増え続ける状態になっています。このチロシン・キナーゼの働きを選択的に阻害する目的で作られた薬がイマチニブ(グリベックR)です。チロシン・キナーゼの作用が抑えられると白血病細胞は生き続けることができなくなるため、イマチニブは慢性骨髄性白血病にすばらしい治療効果をあげています。
http://www.jalsg.jp/leukemia/cause.html
白血病ってどんな人がなりやすいですか?
tkg0927さん
2011/11/701:01:27
白血病ってどんな人がなりやすいですか?
ベストアンサーに選ばれた回答
candis_white_ardleyさん
2011/11/719:02:39
こんにちは。
白血病の発症には不明の事が多いです。
しかし、白血病を発症しやすい要因というものは少しずつわかってきてます。
白血病は造血系細胞が骨髄の中で腫瘍化、すなわち白血病化して増殖する病気です。
発症成因は明らかにはなってませんが、多段階的な遺伝子異常を経て癌化することがわかってきてます。
単独の遺伝子異常では白血病になるわけではなく白血病には複数の遺伝子異常が必要ということが考えられてきてます。
白血病には骨髄性とリンパ性に分かれ癌細胞の増殖形式により急性のものと慢性のものに分かれます。
後に説明するような発症要因などにより点突然変異を含む遺伝子異常が発現し、次いで相互転座を中心とする染色体異常が起こり、その結果、癌遺伝子が活性化され細胞の異常増殖がみられたり転写遺伝子異常により分化の阻止が起こり最後に生体の免疫防御機構を逸脱したものが白血病として発症してくるものと考えられてます。
さて白血病の発症要因も不明な事が多いですが、環境要因として医学的根拠が確認されてるものには、放射線暴露、抗腫瘍薬(アルキル化剤、トポイソメラーゼ ll 阻害薬)があります。
また疑われてるものとして、殺虫剤、有機溶媒などがあります。
さらに一部疑われてるものとして、電磁波、喫煙、妊娠中の母親の大量飲酒やマリファナ摂取、父親の喫煙、父親の殺虫剤暴露などがあります。
またウイルスにより発症する白血病も知られてます。
その白血病は成人T細胞白血病で、成人T細胞白血病ウイルスが感染している場合、生涯で男性の7%、女性の2.6%が発症します。主に母乳からの感染が多いです。
国内では200万人程度の感染者がいると思われて、毎年700人から1000人程度が発症してます。
年齢が上がるにつれて発症の頻度が高まります。
また、この白血病は親族に発症があると発症のリスクは、かなり高まります。
そのため成人T細胞白血病に関しては明らかに遺伝的な要因があると考えられてます。
さらに再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、真正多血症などから引き続いて起こる急性骨髄性白血病もあります。
また悪性リンパ腫からのリンパ性白血病もあります。
特にこのようなことはEBウイルスや成人T細胞白血病ウイルスで起こる場合があります。
このように白血病は発症形式からみても単一の病気ではないことが明らかです。