「中国の債務は30兆ドル(3300兆円)」タルボット
中国の負債はもはや解決不能では?
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)3月23日(水曜日)弐
通算第4857号
中国の負債は30兆ドル(3300兆円)、もはや解決不能では?
理論的には人民元の50%前後の切り下げ以外、策はない
**********************
世界的に著名なエコノミスト(政治アナリストでもある)ジョン・タルボットは、サブプライムローンの破綻を早期に警告し、予想が的中して以来、ウォール街は常に彼の発言をマークしてきた。
https://en.wikipedia.org/wiki/John_R._Talbott
そのタルボットがBBCニュースのインタビュー(3月18日)に答えて、「中国の債務は30兆ドル」と初めて、彼の数字分析を公開した。
3300兆円、だいたい筆者も著作の中で、これに前後する数字を使用してきたが、やはりそうかという感じをもった。
フィナンシャルタイムズは中国の債務はGDPの290%と言い、ニューズウィークは企業債務がGDPの160%と言った。これらの媒体は、なにか証拠があっての記事配信をしているのだろう。
中国の地方政府の債務は公式発表(楼継偉財務相が認めている)で290兆円、実態は300兆円と見られる。
いずれにしても、債務が天文学的に拡大しているのである。
おりから開催中のボーアオ会議(中国海南島で毎年開催される中国版「ダボス会議」)でも、この問題に討議は集中し、「とくに国有企業の債務の急激な膨張は中国経済の大きな問題になる」とニコラス・レーディ(ピーターソン研究所主任研究員)ら杞憂を表明した。
16年一月だけの新規融資額は2兆5000億元(およそ50兆円)。その殆どが前期借り受けの延長と利払い、わかりやすくいえば手形のジャンプに遣われた。2月は旧正月を挟んだため前月比の3分の1だったが、基本的に負債は増えていく一方で、いまさら海外旅行で中国人がカネを節約せよと言ったところで解決できるような事態ではない。
現在さかんに議論されているのは銀行、証券、損保業界の再編である。だが、鉄鋼、石炭産業の再編ひとつとっても既得権益組との衝突が繰り返されており、根本の解決にはいたっていない。
ではどうするか。
中国の負債は国内、つまり国有銀行が国有企業に貸し出すという融資が主体であり、対外債務が比較的少ないという特徴がある。
となると解決への処方箋は国内経済問題として処理される。理論的にいえば、人民元の為替レートを50%前後切り下げると、次の展望が生まれる。
周小川(人民銀行総裁)、楼継偉(財務相)らの公式発言を聞いていると、その方向での検討がなされてはいないようで、李克強首相は「人民元は安定している。中国は通貨切り下げの対処を取らない」とする発言に象徴される。
危機は先送りされている。空前のクラッシュは近い。
~~~~~~~~~~
♪
(読者の声1)防衛大生の任官拒否組について。
今日、防衛大学校の卒業式で安倍総理が訓示した旨のニュースを見ました。その中で「任官拒否組が昨年度に比べて」「安保法制が影響か?」と載っていました。
47人も居れば、「安保法制の影響を受けた人」は中には居るでしょう。しかし、就職戦線は売り手市場。つまりは、就職生に有利なのです。ある企業では就職したらボーナス金を与える箇所も。その反面、自衛隊を含む公務員系はここ最近人気がなく、ある警察本部の就職説明会には一人も来なかったとか。
自衛隊の幹部になるより、防衛大学校の経験を生かしてより給料の良い企業へ就職する…。そんな感じではないでしょうか。
卒業生の半分が任官拒否!となればそれは問題ですか、直ぐに安保法と絡んで騒ぐマスコミに問題があると思います。
あと、こういった任官拒否組に授業料を返還させるという制度を行ったらどうでしょうか。
任官拒否組の中にはやむを得ず自衛隊に行けない人(心身的な問題や不可抗力)も居ると思います。そういう方は除外です。
しかし企業に就職したり、自衛隊に嫌悪感を覚えて任官拒否をした場合は自分の意志ですから、4年間の経費をある程度返還してもらう制度が必要かとおもいます。
国防の志無き者は最初から防大は受けるべきではない!と示す効果もあります。
明石晤郎・東京都練馬区)
(宮崎正弘のコメント)任官拒否組は以前からの問題で「いまさら」という気がしないでもありませんが。
♪
(読者の声2)『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』加瀬英明著・KKベストセラーズ社刊。第四章 アジア諸民族を鼓舞した気高い精神。
今回は、第4章です。
本章では日本が大東亜戦争中にアジア独立を助け鼓舞した事例が三つ取り上げられています。インパール作戦、インドネシア独立の基盤ペタ(郷土防衛義勇軍)、シアヌーク国王作成の『ボゴールの薔薇』という映画です。
インパール作戦は無謀な作戦の代表例として批判の的にされていますが、インド国民軍(INA)とともに戦ったこの作戦こそが、実はインド独立の決定的な要因となったことを紹介しています。イギリスの著名な歴史家エリック・ホブズボーム・ロンドン大学教授が『極端な時代』の中で、インドの独立が、ガンジー、ネールによる独立運動によるものではなく、インド国民軍ともにインドへ侵攻したインパール作戦によってもたらされた、と述べているそうです。
インドネシアの独立は五年間に亘るオランダ軍との戦いの末に勝ち取られたものですが、その支えとなったのは日本が育てたペタでした。これなしでは日本によって目覚めさせられた独立精神もオランダ軍を打ち破ることは絶対的に不可能でした。インドネシアに残って独立戦争に協力した2千人余りの日本軍兵士の貢献も大きな勝因でした。
シアヌーク国王は『ボゴールの薔薇』という映画を制作されていますが、著者は国王が来日された折にこの映画のビデオをいただいたそうです。映画は北朝鮮で作られ、主役の日本軍部隊長長谷川大佐を国王が演じ、モニク妃が大佐の恋人役、日本軍兵士は朝鮮人民軍兵士が演ずるというなかなかユニークなものです。
映画の日本軍は規律正しく、民衆が解放者として歓呼して迎えるという内容です。最後に敗戦を迎えた時の大佐のとった行動に気高い精神を感じさせる内容になっているということです。
日本文は、http://hassin.org/01/wp-content/uploads/Greater44.pdf
英文は、http://www.sdh-fact.com/CL/Greater4.pdf
(「史実を世界に発信する会」茂木弘道)
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)3月23日(水曜日)弐
通算第4857号
中国の負債は30兆ドル(3300兆円)、もはや解決不能では?
理論的には人民元の50%前後の切り下げ以外、策はない
**********************
世界的に著名なエコノミスト(政治アナリストでもある)ジョン・タルボットは、サブプライムローンの破綻を早期に警告し、予想が的中して以来、ウォール街は常に彼の発言をマークしてきた。
https://en.wikipedia.org/wiki/John_R._Talbott
そのタルボットがBBCニュースのインタビュー(3月18日)に答えて、「中国の債務は30兆ドル」と初めて、彼の数字分析を公開した。
3300兆円、だいたい筆者も著作の中で、これに前後する数字を使用してきたが、やはりそうかという感じをもった。
フィナンシャルタイムズは中国の債務はGDPの290%と言い、ニューズウィークは企業債務がGDPの160%と言った。これらの媒体は、なにか証拠があっての記事配信をしているのだろう。
中国の地方政府の債務は公式発表(楼継偉財務相が認めている)で290兆円、実態は300兆円と見られる。
いずれにしても、債務が天文学的に拡大しているのである。
おりから開催中のボーアオ会議(中国海南島で毎年開催される中国版「ダボス会議」)でも、この問題に討議は集中し、「とくに国有企業の債務の急激な膨張は中国経済の大きな問題になる」とニコラス・レーディ(ピーターソン研究所主任研究員)ら杞憂を表明した。
16年一月だけの新規融資額は2兆5000億元(およそ50兆円)。その殆どが前期借り受けの延長と利払い、わかりやすくいえば手形のジャンプに遣われた。2月は旧正月を挟んだため前月比の3分の1だったが、基本的に負債は増えていく一方で、いまさら海外旅行で中国人がカネを節約せよと言ったところで解決できるような事態ではない。
現在さかんに議論されているのは銀行、証券、損保業界の再編である。だが、鉄鋼、石炭産業の再編ひとつとっても既得権益組との衝突が繰り返されており、根本の解決にはいたっていない。
ではどうするか。
中国の負債は国内、つまり国有銀行が国有企業に貸し出すという融資が主体であり、対外債務が比較的少ないという特徴がある。
となると解決への処方箋は国内経済問題として処理される。理論的にいえば、人民元の為替レートを50%前後切り下げると、次の展望が生まれる。
周小川(人民銀行総裁)、楼継偉(財務相)らの公式発言を聞いていると、その方向での検討がなされてはいないようで、李克強首相は「人民元は安定している。中国は通貨切り下げの対処を取らない」とする発言に象徴される。
危機は先送りされている。空前のクラッシュは近い。
~~~~~~~~~~
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(読者の声1)防衛大生の任官拒否組について。
今日、防衛大学校の卒業式で安倍総理が訓示した旨のニュースを見ました。その中で「任官拒否組が昨年度に比べて」「安保法制が影響か?」と載っていました。
47人も居れば、「安保法制の影響を受けた人」は中には居るでしょう。しかし、就職戦線は売り手市場。つまりは、就職生に有利なのです。ある企業では就職したらボーナス金を与える箇所も。その反面、自衛隊を含む公務員系はここ最近人気がなく、ある警察本部の就職説明会には一人も来なかったとか。
自衛隊の幹部になるより、防衛大学校の経験を生かしてより給料の良い企業へ就職する…。そんな感じではないでしょうか。
卒業生の半分が任官拒否!となればそれは問題ですか、直ぐに安保法と絡んで騒ぐマスコミに問題があると思います。
あと、こういった任官拒否組に授業料を返還させるという制度を行ったらどうでしょうか。
任官拒否組の中にはやむを得ず自衛隊に行けない人(心身的な問題や不可抗力)も居ると思います。そういう方は除外です。
しかし企業に就職したり、自衛隊に嫌悪感を覚えて任官拒否をした場合は自分の意志ですから、4年間の経費をある程度返還してもらう制度が必要かとおもいます。
国防の志無き者は最初から防大は受けるべきではない!と示す効果もあります。
明石晤郎・東京都練馬区)
(宮崎正弘のコメント)任官拒否組は以前からの問題で「いまさら」という気がしないでもありませんが。
♪
(読者の声2)『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』加瀬英明著・KKベストセラーズ社刊。第四章 アジア諸民族を鼓舞した気高い精神。
今回は、第4章です。
本章では日本が大東亜戦争中にアジア独立を助け鼓舞した事例が三つ取り上げられています。インパール作戦、インドネシア独立の基盤ペタ(郷土防衛義勇軍)、シアヌーク国王作成の『ボゴールの薔薇』という映画です。
インパール作戦は無謀な作戦の代表例として批判の的にされていますが、インド国民軍(INA)とともに戦ったこの作戦こそが、実はインド独立の決定的な要因となったことを紹介しています。イギリスの著名な歴史家エリック・ホブズボーム・ロンドン大学教授が『極端な時代』の中で、インドの独立が、ガンジー、ネールによる独立運動によるものではなく、インド国民軍ともにインドへ侵攻したインパール作戦によってもたらされた、と述べているそうです。
インドネシアの独立は五年間に亘るオランダ軍との戦いの末に勝ち取られたものですが、その支えとなったのは日本が育てたペタでした。これなしでは日本によって目覚めさせられた独立精神もオランダ軍を打ち破ることは絶対的に不可能でした。インドネシアに残って独立戦争に協力した2千人余りの日本軍兵士の貢献も大きな勝因でした。
シアヌーク国王は『ボゴールの薔薇』という映画を制作されていますが、著者は国王が来日された折にこの映画のビデオをいただいたそうです。映画は北朝鮮で作られ、主役の日本軍部隊長長谷川大佐を国王が演じ、モニク妃が大佐の恋人役、日本軍兵士は朝鮮人民軍兵士が演ずるというなかなかユニークなものです。
映画の日本軍は規律正しく、民衆が解放者として歓呼して迎えるという内容です。最後に敗戦を迎えた時の大佐のとった行動に気高い精神を感じさせる内容になっているということです。
日本文は、http://hassin.org/01/wp-content/uploads/Greater44.pdf
英文は、http://www.sdh-fact.com/CL/Greater4.pdf
(「史実を世界に発信する会」茂木弘道)