慰安婦「強制連行」説の否定、20年前にしておけば… 変わらぬ朝日新聞 は韓国への配慮にじます | 日本のお姉さん

慰安婦「強制連行」説の否定、20年前にしておけば… 変わらぬ朝日新聞 は韓国への配慮にじます

慰安婦「強制連行」説の否定
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阿比留 瑠比

慰安婦「強制連行」説の否定、20年前にしておけば… 変わらぬ朝日新聞 は韓国への配慮にじます

やっと政府が、国際社会に向けて慰安婦の強制連行説を否定した。歴史問 題に関しては事実関係は一切争わず、「問題は解決済み」「既に謝罪して いる」でやり過ごそうとする「事なかれ外交」 に終始してきたこれまでの あり方に比べると明確な前進ではある。とはいえ、もっと早くこうしてい ればと惜しまれる。

やっと当然の主張

外務省の杉山晋輔外務審議官は16日、ジュネーブの国連欧州本部で、次の ように説明した。

「日本政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認 できるものはなかった」

「慰安婦が強制連行されたという見方が広く流布された原因は吉田清治氏 が虚偽の事実を捏造して発表したためだ。(吉田証言を事実であるかのよ うに大きく報道した)朝日新聞も事実関係の誤 りを認め、正式に読者に謝 罪した」

「(慰安婦)20万人という数字も具体的な裏付けはない。朝日新聞は、通 常の戦時動員された女子挺身隊と慰安婦を誤って混同したと自ら認めてい る。『性奴隷』といった表現は事実に反する」

まさにその通りであり、当たり前の主張である。第1次安倍晋三内閣の平 成19年春、慰安婦問題について意見交換した外務省内では保守派とされる 外務官僚が、こう突き放していたのとは対照的だ と感じる。

「この問題は既に日本の負けは確定している。できるだけ静かにして通り 過ぎるのを待つしかない」

だが、こうした外務省の姿勢は間違いだった。日本がろくに反論も主張も しなかった結果、誤解は世界に拡散され、韓国などがいよいよかさにか かって、あることないこと日本非難のボルテージ を上げてきたのは周知の 事実である。

反論文書なぜ封印

日本は過去、国際社会の誤解と偏見に反論する機会をみすみす逃してき た。例えば8年には、慰安婦を強制連行された性奴隷と認定した「クマラ スワミ報告書」に対し、明快な反論文書を作成して おきながら、なぜかす ぐに引っ込めて封印してしまった。

政府が現在も非公開としているこの反論文書は、クマラスワミ氏が引用し た吉田証言についてこう記している。

「歴史研究者の間でもその信憑性については疑問が呈されている。何ら慎 重な吟味を行うことなく吉田氏の『証言』を引用しているのは、軽率のそ しりを免れない」

また、反論文書は慰安婦の性奴隷説もこうはっきりと退けている。

「いわゆる『従軍慰安婦』の制度を『奴隷制度』と定義することは法的観 点から極めて不適当」

つまり、今回、杉山氏が国連で訴えた内容は、20年も前から政府も認識し ていたことなのである。最初からきちんと事実関係を指摘しておけば、現 在に至るまで問題を引きずるようなことはなかっ たかもしれない。

反省生かさぬ朝日

ちなみに、杉山氏は国連での説明で、繰り返し朝日新聞に言及したが、杉 山氏の発言を報じた同紙の17日付朝刊の記事には、朝日の「あ」の字も出 てこない。

一方で、わざわざ「韓国側の認識と違う日本政府の見解を国連の場で説明 すれば、韓国で(日韓)合意を批判する一部の市民団体やメディアを刺激 しかねない」と書き、韓国への配慮をにじませて いた。慰安婦報道での誤 報を認めた後も、朝日新聞の報道姿勢は基本的に変わっておらず、反省も 生かされていない。

(論説委員兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2016・2・18