『道徳的空白』こそは中国の近未来を真っ暗にしているのである。
パンダハガーのディビッド・シャンボーさんが気がついたことは、
チュウゴクには、『道徳的空白』があること。
北京に長年住んでやっと気が付いたらしい。
そんなこと、日本人にはとっくの昔に解かっているいることだ。
1人々のチュウゴク人が上から下まで根性が腐っていて、
道徳的で無いから文明が進まないのですよ。
~~~~~
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)1月11日(月曜日)
通算第4778号
中国人民解放軍、四大総部体制を改称
連合参謀部、政治工作部、後勤保障部、装備発展部
***********************
1月10日、中国人民解放軍機関紙「解放軍報」は四つの「総部体制」を以下に改称すると発表した。カッコ内はこれまでの呼び方。
連合参謀部(総参謀部)
政治工作部(総政治部)
後勤保障部(総後勤部)
装備発展部(総装備部)
あわせて当日、新呼称の総部の徽章を発表したが、なんの代わり映えもなく、金縁の真ん中に中国国旗、金の名称の下地は黒のデザイン。
習近平執行部は現在の七大軍区を五つの「戦区」にするとしているが、その再編の発表はなかった。
「旧体制を徐々に効率的な合理的な、たたかえる軍隊に変えていく」というのが基本方針だが、これじゃ名前を変えただけ?
ただし、博訊新聞網は11日、すでに「西部戦区」と「南部戦区」は成立しており、徐才厚、郭伯雄人脈を排除するかたちで司令員が任命されたとする情報があるが、現時点(11日午後二時)で確認できていない。
(休刊のお知らせ)台湾総統選挙取材のため、小誌は1月14日から17日が休刊です。
****************************************
◆書評 ◎しょひょう ▼BOOKREVIEW ●書評 ▽
パンダハガーから中国批判路線に転じたアメリカの国際政治学界
なぜ親中派学者も中国に絶望するに至ったか
♪
ディビッド・シャンボー著、加藤祐子訳
『中国 グローバル化の深層』(朝日新聞出版)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
パンダ・ハガー(親中派)の泰斗として有名だったディビッド・シャンボー教授が、北京で暮らし、中国人学者や政治家を相手に議論をすすめていく過程で、しだいに自分が描いた中国像と実際の中国との乖離。しかも徐々にだが、中国共産党への不信から絶望へといたるプロセスがあり、いまや中国批判派に「転向」するにいたった思索過程で誕生したのが、この本である。
そうした執筆時点でのタイミングを勘案しながら読むと、本書はじつに面白い指摘にあふれている。
ただし開き直るかのようにパンダハガーから反中派に変節したピルスベリに比べると、ディビッド教授にはまだリベラル派から完全に脱し切れていないようである。それは学者の良心といえるのかもしれないが。。。
さて2009年、北京五輪の翌年に中国は軍事パレードを強行したが、市内全域が厳戒態勢となった。
このときもシャンバー教授は北京にいた。
「中国共産党が本当に、権力を維持し続けた過去六十年の業績を誇りに思っているなら、いったい何を恐れているのか。なぜこれほどの厳戒態勢が必要なのか。当局は本気で、『民族分離主義者』や国内テロリストが兵器を破壊したり、祝典を混乱させたりするかもしれないと恐れていたというのが、その答えだ。どちらの場合も、政府のイメージに大きな汚点を残す」
中国は「和平演変」の意味を「西側の仕掛けた罠」と総括しているが、そうしたパラノイア的発想を、シャンボーは、スーザン・シャーク女史の著作(『ひ弱な超大国 チャイナ』)から引用して言う。
「パラノイアはあらゆる独裁者の職業病だ。実際に直面する国内問題がどれほど深刻化は関係ない。中国は天安門事件のトラウマゆえに、独裁国家のあいつぐ崩壊を目の当たりにしたゆえに、中国社会でおきている劇的な変化ゆえに、この職業病をことさら重く患っている」ことになる。
したがって、せっかく制裁解除を解かれ、経済が躍進した段階になると、パラノイアが頭をもたげる。
「1998年~2008年の間に中国政府が懸命に築きあげてきたものは、2009年半ば~10年のわずか18ケ月の間にたちまち崩れ去った。この短い間に中国はほとんどすべての近隣諸国と外交的ないざこざを起こし、その結果、中国に対する域内の評価は失墜した」
なぜせっかく醸成してきた中国の大国としての期待が、アジア諸国ばかりか、アメリカからの不信にみられるようになったか。
「文化大革命と30年にわたる高度経済成長路線のせいで中国社会は共通する価値観を欠いている。そのために中国は他人に無関心で集団責任を負わない社会になった。その結果、中国には道徳的空白がある」
そうだ、『道徳的空白』こそは中国の近未来を真っ暗にしているのである。
○○○○○
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
♪
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@
【知道中国 1350回】
――「街路湫隘ニシテ塵穢?集到ル處皆然ラサルハナシ」(黒田4)
?田清隆『漫游見聞録』(明治十八年)
▽
次いで「清人ノ風習」に筆を転じ、大きく南北の別があることを示した後、南方では広東人が最も「敏捷強悍」で昔から「外國ト交通セシヲ以テ外人ニ慣ヒ稍固陋ノ習氣ヲ脱セリ」。省都の広州は他の開港場に較べ英語を解する者が多く進取の気風に富み、「外ニ出テ營業ヲ爲ス者甚多ク遠ク郷土ヲ離ルヽヲ憚ラス他ノ各省繁盛ノ地廣人ノ來テ店ヲ開キ營業セサルハナシ」。言語も風習も大いに異なるところから、他地方の人々は広東人を「異類」、あるいは「外國人視スル」。「米國及ヒ南洋各地ニ在ル者幾十万其大半ハ廣東人ニシテ餘ハ福建?人又次ハ浙江ノ人ナリ」と説いている。
南方では長江中流域の湖南・湖北が「教化夙ニ開ケ人文極盛清國純粹ノ氣風」に富む。一般に北京・天津などの都市部を除けば北方人は「粗野ニシテ稍淳朴」で、体格は南方人と比較して「概シテ壮偉ナリ」と見做す。
このように地域によって差はあるが、全国で共通する点は人が多く、騒々しく、そして汚い。そこで「南北各地人民屯聚ノ處毎ニ途上雜?行人肩摩往々擁擠シテ行ク能ハサルニ至ル其人躁ニシテ靜ナラス亂雜ニシテ整潔ヲ務メス途上高聲喧呼笑罵紛爭日夜耳ニ絶ヘス街路湫隘ニシテ塵穢?集至ル處皆然ラサルハナシ殊ニ人ヲシテ不快ヲ覺ヘシム」とした。
それにしても、である。「高聲喧呼笑罵」「街路湫隘」「塵穢?集」と文字が並ぶと、否が応でも納得せざるを得ないから不思議だ。
男女の別、纏足、河川に関する記述が続に続き、「清人一般ニ風水ノ説(地相ヲ見テ吉凶ヲ説クヲ云フ)ヲ貴ヒ」とし、墓地については「死者ヲ葬ルニ墓地ノ吉凶ニヨリ其家ニ禍福アリト稱シ豪富ノ家ハ多金ヲ費シテ墓地ヲ營シ或ハ善地ヲ得サルカ爲ニ死者數十年葬ル能ハサル者アルニ至ル其墓地一定ノ所ナク到ル處原野ニ?々相連リ麥隴圃ノ間ニ散布ス故ニ政府鐵道運渠等ノ如キ大工事ヲ起スニ當テ若シ豪家右族ノ墳墓ノ地ニ及フアラハ必ス多少ノ紛議ヲ免レサルへシト云フ」と綴る。
ここに「數十年葬ル能ハサル者」と記されている風習、つまり棺を野晒のまま放置しておく風習を「停棺不葬」と呼び、長江下流域一帯で日常茶飯に行われていたようだ。たとえば黒田の旅行から数年後の清・光緒17(1891)年に江南地方一帯を管轄する江蘇布政使が、「江蘇の都市と農村では停棺不葬が行われている。――すでに夏になり、烈日炎天の陽気であり、蒸し返された臭気で疫病が容易に発生する。直ちに一斉に埋葬せよ」と布告しているほど。この布告に、どれほどの効力があったのか。おそらく全くといっていいほどに役には立たなかっただろう。それというのも江蘇布政使が出す一片の布告なんぞにご利益はない。「善地」こそが「其家ニ禍福」をもたらしてくれると固く信じ込んでいるからだ。
「鐵道運渠等ノ如キ大工事」、つまり政府が進めようとしているインフラ工事が「豪家右族ノ墳墓ノ地」に掛かろうものなら、「多少ノ紛紛議ヲ免レサルへシ」とある。だが、これは19世紀末の文明未開時の“蛮行”ではない。じつは現在の中国で墓地管理を定めた殯儀管理条例を読むと、「一、耕地・林地。二、都市の公園、景勝地、遺跡文物保護区。三、ダム、河川の堤防付近、水源保護区。四、鉄道と幹線道路の両脇」での墓地造営は禁止されている。つまり現在でも、基本的には「墓地一定ノ所ナク到ル處原野ニ?々相連リ麥隴圃ノ間ニ散布」していることになる。牢固として確固たる伝統至上主義・・・嗚呼。
ここで参考までに、現代において「麥隴圃ノ間ニ散布」された墓地が農業生産に与える影響の1、2例を挙げておくと、ある報告によれば80年代末期の安徽省では2500万基の墓によって13万トンに及ぶ食糧生産能力を持つ土地が奪われ、90年代半ばの福建省では47万基もの墓地が濫造されてしまったとか。いやはや徹頭徹尾・・・トホホです。
《QED》
宮崎正弘の新刊案内 http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
宮崎正弘のロングセラー
***********
『「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界』(徳間書店、1080円)
『アジアインフラ投資銀行の凄惨な末路』(PHP研究所、999円)
『日本が在日米軍を買収し、第七艦隊を吸収・合併する日』(ビジネス社)
『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社、1080円)
『中国大破綻 ついに失われる20年に突入する』(PHP研究所、1404円)
『日本と世界を動かす悪の「孫子」』(ビジネス社。1188円)
『吉田松陰が復活する』(並木書房、定価1620円)
『中国・韓国を“本気で”見捨て始めた世界』(徳間書店 1080円)
『台湾烈々 世界一の親日国家がヤバイ』(ビジネス社、1188円)
『「中国の時代」は終わった』(海竜社、定価1080円)
『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社、1080円)
『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社、1080円)
『中国 大嘘つき国家の犯罪』(文芸社文庫、713円)
♪
<宮崎正弘の対談シリーズ>
++++++++++++
宮崎正弘 v 宮脇淳子 『中国壊死』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 石平 『私たちの予測した通りいよいよ自壊する中国』(ワック、972円)
宮崎正弘 v 渡邊哲也 『激動する世界経済!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 室谷克実 『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 小川榮太郎 『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 室谷克実 『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美 『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 石平 『2015年 中国の真実』(ワック、シリーズ第五弾)
宮崎正弘 v 大竹慎一 『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
宮崎正弘 v 西部遭 『日米安保五十年』(海竜社)
宮崎正弘 v 黄文雄 『世界が知らない中国人の野蛮』(徳間書店)
宮崎正弘 v 佐藤優 『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2016 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
チュウゴクには、『道徳的空白』があること。
北京に長年住んでやっと気が付いたらしい。
そんなこと、日本人にはとっくの昔に解かっているいることだ。
1人々のチュウゴク人が上から下まで根性が腐っていて、
道徳的で無いから文明が進まないのですよ。
~~~~~
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)1月11日(月曜日)
通算第4778号
中国人民解放軍、四大総部体制を改称
連合参謀部、政治工作部、後勤保障部、装備発展部
***********************
1月10日、中国人民解放軍機関紙「解放軍報」は四つの「総部体制」を以下に改称すると発表した。カッコ内はこれまでの呼び方。
連合参謀部(総参謀部)
政治工作部(総政治部)
後勤保障部(総後勤部)
装備発展部(総装備部)
あわせて当日、新呼称の総部の徽章を発表したが、なんの代わり映えもなく、金縁の真ん中に中国国旗、金の名称の下地は黒のデザイン。
習近平執行部は現在の七大軍区を五つの「戦区」にするとしているが、その再編の発表はなかった。
「旧体制を徐々に効率的な合理的な、たたかえる軍隊に変えていく」というのが基本方針だが、これじゃ名前を変えただけ?
ただし、博訊新聞網は11日、すでに「西部戦区」と「南部戦区」は成立しており、徐才厚、郭伯雄人脈を排除するかたちで司令員が任命されたとする情報があるが、現時点(11日午後二時)で確認できていない。
(休刊のお知らせ)台湾総統選挙取材のため、小誌は1月14日から17日が休刊です。
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◆書評 ◎しょひょう ▼BOOKREVIEW ●書評 ▽
パンダハガーから中国批判路線に転じたアメリカの国際政治学界
なぜ親中派学者も中国に絶望するに至ったか
♪
ディビッド・シャンボー著、加藤祐子訳
『中国 グローバル化の深層』(朝日新聞出版)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
パンダ・ハガー(親中派)の泰斗として有名だったディビッド・シャンボー教授が、北京で暮らし、中国人学者や政治家を相手に議論をすすめていく過程で、しだいに自分が描いた中国像と実際の中国との乖離。しかも徐々にだが、中国共産党への不信から絶望へといたるプロセスがあり、いまや中国批判派に「転向」するにいたった思索過程で誕生したのが、この本である。
そうした執筆時点でのタイミングを勘案しながら読むと、本書はじつに面白い指摘にあふれている。
ただし開き直るかのようにパンダハガーから反中派に変節したピルスベリに比べると、ディビッド教授にはまだリベラル派から完全に脱し切れていないようである。それは学者の良心といえるのかもしれないが。。。
さて2009年、北京五輪の翌年に中国は軍事パレードを強行したが、市内全域が厳戒態勢となった。
このときもシャンバー教授は北京にいた。
「中国共産党が本当に、権力を維持し続けた過去六十年の業績を誇りに思っているなら、いったい何を恐れているのか。なぜこれほどの厳戒態勢が必要なのか。当局は本気で、『民族分離主義者』や国内テロリストが兵器を破壊したり、祝典を混乱させたりするかもしれないと恐れていたというのが、その答えだ。どちらの場合も、政府のイメージに大きな汚点を残す」
中国は「和平演変」の意味を「西側の仕掛けた罠」と総括しているが、そうしたパラノイア的発想を、シャンボーは、スーザン・シャーク女史の著作(『ひ弱な超大国 チャイナ』)から引用して言う。
「パラノイアはあらゆる独裁者の職業病だ。実際に直面する国内問題がどれほど深刻化は関係ない。中国は天安門事件のトラウマゆえに、独裁国家のあいつぐ崩壊を目の当たりにしたゆえに、中国社会でおきている劇的な変化ゆえに、この職業病をことさら重く患っている」ことになる。
したがって、せっかく制裁解除を解かれ、経済が躍進した段階になると、パラノイアが頭をもたげる。
「1998年~2008年の間に中国政府が懸命に築きあげてきたものは、2009年半ば~10年のわずか18ケ月の間にたちまち崩れ去った。この短い間に中国はほとんどすべての近隣諸国と外交的ないざこざを起こし、その結果、中国に対する域内の評価は失墜した」
なぜせっかく醸成してきた中国の大国としての期待が、アジア諸国ばかりか、アメリカからの不信にみられるようになったか。
「文化大革命と30年にわたる高度経済成長路線のせいで中国社会は共通する価値観を欠いている。そのために中国は他人に無関心で集団責任を負わない社会になった。その結果、中国には道徳的空白がある」
そうだ、『道徳的空白』こそは中国の近未来を真っ暗にしているのである。
○○○○○
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1350回】
――「街路湫隘ニシテ塵穢?集到ル處皆然ラサルハナシ」(黒田4)
?田清隆『漫游見聞録』(明治十八年)
▽
次いで「清人ノ風習」に筆を転じ、大きく南北の別があることを示した後、南方では広東人が最も「敏捷強悍」で昔から「外國ト交通セシヲ以テ外人ニ慣ヒ稍固陋ノ習氣ヲ脱セリ」。省都の広州は他の開港場に較べ英語を解する者が多く進取の気風に富み、「外ニ出テ營業ヲ爲ス者甚多ク遠ク郷土ヲ離ルヽヲ憚ラス他ノ各省繁盛ノ地廣人ノ來テ店ヲ開キ營業セサルハナシ」。言語も風習も大いに異なるところから、他地方の人々は広東人を「異類」、あるいは「外國人視スル」。「米國及ヒ南洋各地ニ在ル者幾十万其大半ハ廣東人ニシテ餘ハ福建?人又次ハ浙江ノ人ナリ」と説いている。
南方では長江中流域の湖南・湖北が「教化夙ニ開ケ人文極盛清國純粹ノ氣風」に富む。一般に北京・天津などの都市部を除けば北方人は「粗野ニシテ稍淳朴」で、体格は南方人と比較して「概シテ壮偉ナリ」と見做す。
このように地域によって差はあるが、全国で共通する点は人が多く、騒々しく、そして汚い。そこで「南北各地人民屯聚ノ處毎ニ途上雜?行人肩摩往々擁擠シテ行ク能ハサルニ至ル其人躁ニシテ靜ナラス亂雜ニシテ整潔ヲ務メス途上高聲喧呼笑罵紛爭日夜耳ニ絶ヘス街路湫隘ニシテ塵穢?集至ル處皆然ラサルハナシ殊ニ人ヲシテ不快ヲ覺ヘシム」とした。
それにしても、である。「高聲喧呼笑罵」「街路湫隘」「塵穢?集」と文字が並ぶと、否が応でも納得せざるを得ないから不思議だ。
男女の別、纏足、河川に関する記述が続に続き、「清人一般ニ風水ノ説(地相ヲ見テ吉凶ヲ説クヲ云フ)ヲ貴ヒ」とし、墓地については「死者ヲ葬ルニ墓地ノ吉凶ニヨリ其家ニ禍福アリト稱シ豪富ノ家ハ多金ヲ費シテ墓地ヲ營シ或ハ善地ヲ得サルカ爲ニ死者數十年葬ル能ハサル者アルニ至ル其墓地一定ノ所ナク到ル處原野ニ?々相連リ麥隴圃ノ間ニ散布ス故ニ政府鐵道運渠等ノ如キ大工事ヲ起スニ當テ若シ豪家右族ノ墳墓ノ地ニ及フアラハ必ス多少ノ紛議ヲ免レサルへシト云フ」と綴る。
ここに「數十年葬ル能ハサル者」と記されている風習、つまり棺を野晒のまま放置しておく風習を「停棺不葬」と呼び、長江下流域一帯で日常茶飯に行われていたようだ。たとえば黒田の旅行から数年後の清・光緒17(1891)年に江南地方一帯を管轄する江蘇布政使が、「江蘇の都市と農村では停棺不葬が行われている。――すでに夏になり、烈日炎天の陽気であり、蒸し返された臭気で疫病が容易に発生する。直ちに一斉に埋葬せよ」と布告しているほど。この布告に、どれほどの効力があったのか。おそらく全くといっていいほどに役には立たなかっただろう。それというのも江蘇布政使が出す一片の布告なんぞにご利益はない。「善地」こそが「其家ニ禍福」をもたらしてくれると固く信じ込んでいるからだ。
「鐵道運渠等ノ如キ大工事」、つまり政府が進めようとしているインフラ工事が「豪家右族ノ墳墓ノ地」に掛かろうものなら、「多少ノ紛紛議ヲ免レサルへシ」とある。だが、これは19世紀末の文明未開時の“蛮行”ではない。じつは現在の中国で墓地管理を定めた殯儀管理条例を読むと、「一、耕地・林地。二、都市の公園、景勝地、遺跡文物保護区。三、ダム、河川の堤防付近、水源保護区。四、鉄道と幹線道路の両脇」での墓地造営は禁止されている。つまり現在でも、基本的には「墓地一定ノ所ナク到ル處原野ニ?々相連リ麥隴圃ノ間ニ散布」していることになる。牢固として確固たる伝統至上主義・・・嗚呼。
ここで参考までに、現代において「麥隴圃ノ間ニ散布」された墓地が農業生産に与える影響の1、2例を挙げておくと、ある報告によれば80年代末期の安徽省では2500万基の墓によって13万トンに及ぶ食糧生産能力を持つ土地が奪われ、90年代半ばの福建省では47万基もの墓地が濫造されてしまったとか。いやはや徹頭徹尾・・・トホホです。
《QED》
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『「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界』(徳間書店、1080円)
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『日本が在日米軍を買収し、第七艦隊を吸収・合併する日』(ビジネス社)
『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社、1080円)
『中国大破綻 ついに失われる20年に突入する』(PHP研究所、1404円)
『日本と世界を動かす悪の「孫子」』(ビジネス社。1188円)
『吉田松陰が復活する』(並木書房、定価1620円)
『中国・韓国を“本気で”見捨て始めた世界』(徳間書店 1080円)
『台湾烈々 世界一の親日国家がヤバイ』(ビジネス社、1188円)
『「中国の時代」は終わった』(海竜社、定価1080円)
『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社、1080円)
『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社、1080円)
『中国 大嘘つき国家の犯罪』(文芸社文庫、713円)
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宮崎正弘 v 宮脇淳子 『中国壊死』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 石平 『私たちの予測した通りいよいよ自壊する中国』(ワック、972円)
宮崎正弘 v 渡邊哲也 『激動する世界経済!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 室谷克実 『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 小川榮太郎 『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 室谷克実 『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美 『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
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宮崎正弘 v 大竹慎一 『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
宮崎正弘 v 西部遭 『日米安保五十年』(海竜社)
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2016 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示