あかつきは世界で初めて、姿勢制御エンジンを噴射して軌道投入に成功した探査機となった。
「あかつき」がとらえた雲の写真に「なんじゃこりゃ」 金星軌道投入に成功、「世界の仲間入り」
ITmedia ニュース 12月9日(水)22時17分配信
記者会見する中村プロジェクトマネージャと、廣瀬主任研究員、今村プロジェクトサイエンテイスト(JAXA TVより)
「あかつきは金星の重力圏にとらえられ、金星の衛星になりました」――宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「あかつき」が、金星周回軌道の投入に成功した。中村正人プロジェクトマネージャは12月9日の記者会見でこう宣言した。投入から約5時間後にあかつきが撮影した金星の雲の画像を見て、「なんじゃこりゃ」と驚いたという。
【「なんじゃこりゃ」な金星の雲の写真】
あかつきは、金星の大気の運動や雲の形成過程などの観測を目的とした惑星気象衛星で、2010年5月に打ち上げられた。同年12月7日、金星周回軌道に投入する予定だったが、メインエンジンが故障して失敗。丸5年経った今月7日、姿勢制御エンジンを使った再投入という世界初の挑戦を行い、成功した。
軌道の計測と計算の結果、あかつきは金星を約13日14時間で周回する軌道を周回していることが分かった。金星から最も近いところ(近金点)で高度約400キロ、最も遠い所(遠金点)で高度約44万キロという楕円軌道で、金星の自転と同じ方向に周回している。探査機の状態も正常であることを確認したという。
今後、約3カ月間の初期観測を行いながら、9日間程度で周回する楕円軌道に移行する予定。来年4月から定常観測を始める計画だ。
中村氏は、2010年の打ち上げ前に作られたという、あかつきを描いたポスターを紹介。管制室に張られていたそのポスターに描かれたあかつきの姿勢と金星との位置関係は、今回の再投入とまさに同じだった。「まさにこの状態で投入を行った。大変感慨深いものがあった。5年間経ってしまったが、ついにわれわれの夢が実現した。ありがとうございました」。
●雲の画像に「なんじゃこりゃ」
初期観測はすでに始まっている。投入から約5時間後、あかつきに搭載した3台のカメラで金星を撮影した。機器の劣化も心配されていたが、カメラ搭載部を太陽熱にさらさないよう運用してきた努力が実り、3台とも「極めて良好」な状態と、今村剛プロジェクトサイエンティストは話す。
カメラから届いた写真データを最初に開いた瞬間、今村氏は「雄叫びをあげてメンバーとハイタッチした」という。「十何年かけて準備し、手塩にかけた観測装置の視野いっぱいに、どうしても撮りたかったものが写って、うれしくてしょうがなかった。着いたな、という実感がようやくそこでわいてきた」
JAXAは、3台のカメラでとらえた写真を1枚ずつ公開した。波長0.9μメートルの近赤外域で撮影した「1μmカメラ」による写真は、白く光る金星をとらえている。波長283ナノメートルの紫外域で撮影した「紫外イメージャ」による写真には、硫酸の雲の生成にかかわる化学物質の分布がとらえられている。それぞれ、金星をとらえた写真として世界最高レベルの解像度という。
金星の雲の温度分布をとらえた「中間赤外カメラ」による写真には、赤道域をまたいで北半球から南半球まで弓のような模様が写っている。「このようなものが見えることは想像もしていなかった」と今村氏は驚き、「新しく見えた謎を解明していくのが宿題として突きつけられた」と述べる。
中村氏もこの写真を見て「なんじゃこりゃ」と驚いたという。「あんな画像が撮れたのは世界で初めて。これは期待が持てる。いいなと思った」。
あかつきが投入された軌道は当初予定していたものよりかなり長いが、「観測ができなくなったわけではない」と今村氏。「カメラはもともと、ほかの惑星探査機と比べてもトップレベルの解像度。現在の軌道でも雲の動きを追いかけて風速分布を出していくことはできそう。どこまでの精度でできるかは、やってみないと分からない。これから挑戦していく」(今村氏)。
軌道は、工学チームの廣瀬史子主任研究員を含む4人のチームで、何万ものケースを「寝ても覚めても計算」して割り出した。「2年間は観測を保証する軌道になっている。その後も、燃料がある限り観測を続けることができる」と廣瀬氏は話す。
あかつきは今後、継続的に金星を観測。より低い位置にある雲や地表まで含め、連続的な撮影を行い、金星の大気や雲の謎に迫る。金星の「夜側」に回り込んで観測したデータも、近い将来公開できるという。
●惑星探査で「世界の仲間入り」
メインエンジンの故障で軌道投入に失敗してから5年。あかつきは世界で初めて、姿勢制御エンジンを噴射して軌道投入に成功した探査機となった。
投入に当たって工学チームは、あらゆる異常を想定し、対策を用意していた。それでも救えない不具合も想定し、手動制御も準備。エンジン噴射は「非常に長い噴射だったが、1つのサインも見逃さないよう全員が集中して臨んだ」と廣瀬氏は振り返る。
「4つのスラスタがまんべんなく吹いた」ことが成功につながった1つの要因だと中村氏。「非常に丁寧にエンジンを選び、出力を合わせ込んで装着するなど、丁寧に探査機を作ったことが、非常事態に役に立った」。
最初の軌道投入に失敗したあかつきだが、「失敗することで、想像力をどこに働かせればいいのか勘所が分かってくる」と中村氏。「失敗をたくさんした米国や旧ソビエトは今はたくさん成功するようになったが、日本はまだその緒に就いたばかり。やっとこれで、日本も惑星探査で世界の仲間入りができ、日本が世界にデータを供給できるようになった」。
●「投入」前日に「豆乳」鍋
2歳5カ月の娘を持つ廣瀬氏は、家族に支えられてここまで来たと話す。「夜遅く帰っても、娘は私の顔をみると大はしゃぎするので、本当に我慢しているんだなと分かった」。
軌道投入の前日、夫が豆乳鍋を作ってくれたという。「投入(とうにゅう)でしょ、と。娘と夫と3人で食べた。そういうことの支えの連続だなと」。投入に成功した様子をテレビで見た娘は「あかつき頑張ったね」と言ってくれたという。
今後あかつきチームは、5年間寝かせてきた機器の再起動や、劣化した機体の慎重な運用、微妙な軌道制御など、「厳しい運用が続く」と中村氏。「皆様のご支援をお願いしたいと思います」。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151209-00000111-zdn_n-sci
地味な研究を続けて真面目にコツコツお仕事をする日本人がいるから日本は先進国でいられるし、資源も無いのにみんなで働いてお金を稼いで、食料を輸入して
ほとんどの日本人が毎日ご飯を食べていけているんだなあ。
工学チームのみなさまの今後のご活躍をお祈りしております。日本政府は宇宙航空研究開発機構(JAXA)を大事にしないといけないね。
今までの地味な活動にお金を出して来たのは日本政府。税金を出しているのは我々。
なんだか、いいニュースだった。TVのニュースでも夫が豆乳鍋を作ってくれたという話を聞いて、素敵なご主人だなと思った。みんなで支え合ってできた仕事だと言っているのだ。さすが日本人。謙虚なコメントですね。とても嬉しそうに語っておられたので、こちらまで嬉しくなったよ。
ITmedia ニュース 12月9日(水)22時17分配信
記者会見する中村プロジェクトマネージャと、廣瀬主任研究員、今村プロジェクトサイエンテイスト(JAXA TVより)
「あかつきは金星の重力圏にとらえられ、金星の衛星になりました」――宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「あかつき」が、金星周回軌道の投入に成功した。中村正人プロジェクトマネージャは12月9日の記者会見でこう宣言した。投入から約5時間後にあかつきが撮影した金星の雲の画像を見て、「なんじゃこりゃ」と驚いたという。
【「なんじゃこりゃ」な金星の雲の写真】
あかつきは、金星の大気の運動や雲の形成過程などの観測を目的とした惑星気象衛星で、2010年5月に打ち上げられた。同年12月7日、金星周回軌道に投入する予定だったが、メインエンジンが故障して失敗。丸5年経った今月7日、姿勢制御エンジンを使った再投入という世界初の挑戦を行い、成功した。
軌道の計測と計算の結果、あかつきは金星を約13日14時間で周回する軌道を周回していることが分かった。金星から最も近いところ(近金点)で高度約400キロ、最も遠い所(遠金点)で高度約44万キロという楕円軌道で、金星の自転と同じ方向に周回している。探査機の状態も正常であることを確認したという。
今後、約3カ月間の初期観測を行いながら、9日間程度で周回する楕円軌道に移行する予定。来年4月から定常観測を始める計画だ。
中村氏は、2010年の打ち上げ前に作られたという、あかつきを描いたポスターを紹介。管制室に張られていたそのポスターに描かれたあかつきの姿勢と金星との位置関係は、今回の再投入とまさに同じだった。「まさにこの状態で投入を行った。大変感慨深いものがあった。5年間経ってしまったが、ついにわれわれの夢が実現した。ありがとうございました」。
●雲の画像に「なんじゃこりゃ」
初期観測はすでに始まっている。投入から約5時間後、あかつきに搭載した3台のカメラで金星を撮影した。機器の劣化も心配されていたが、カメラ搭載部を太陽熱にさらさないよう運用してきた努力が実り、3台とも「極めて良好」な状態と、今村剛プロジェクトサイエンティストは話す。
カメラから届いた写真データを最初に開いた瞬間、今村氏は「雄叫びをあげてメンバーとハイタッチした」という。「十何年かけて準備し、手塩にかけた観測装置の視野いっぱいに、どうしても撮りたかったものが写って、うれしくてしょうがなかった。着いたな、という実感がようやくそこでわいてきた」
JAXAは、3台のカメラでとらえた写真を1枚ずつ公開した。波長0.9μメートルの近赤外域で撮影した「1μmカメラ」による写真は、白く光る金星をとらえている。波長283ナノメートルの紫外域で撮影した「紫外イメージャ」による写真には、硫酸の雲の生成にかかわる化学物質の分布がとらえられている。それぞれ、金星をとらえた写真として世界最高レベルの解像度という。
金星の雲の温度分布をとらえた「中間赤外カメラ」による写真には、赤道域をまたいで北半球から南半球まで弓のような模様が写っている。「このようなものが見えることは想像もしていなかった」と今村氏は驚き、「新しく見えた謎を解明していくのが宿題として突きつけられた」と述べる。
中村氏もこの写真を見て「なんじゃこりゃ」と驚いたという。「あんな画像が撮れたのは世界で初めて。これは期待が持てる。いいなと思った」。
あかつきが投入された軌道は当初予定していたものよりかなり長いが、「観測ができなくなったわけではない」と今村氏。「カメラはもともと、ほかの惑星探査機と比べてもトップレベルの解像度。現在の軌道でも雲の動きを追いかけて風速分布を出していくことはできそう。どこまでの精度でできるかは、やってみないと分からない。これから挑戦していく」(今村氏)。
軌道は、工学チームの廣瀬史子主任研究員を含む4人のチームで、何万ものケースを「寝ても覚めても計算」して割り出した。「2年間は観測を保証する軌道になっている。その後も、燃料がある限り観測を続けることができる」と廣瀬氏は話す。
あかつきは今後、継続的に金星を観測。より低い位置にある雲や地表まで含め、連続的な撮影を行い、金星の大気や雲の謎に迫る。金星の「夜側」に回り込んで観測したデータも、近い将来公開できるという。
●惑星探査で「世界の仲間入り」
メインエンジンの故障で軌道投入に失敗してから5年。あかつきは世界で初めて、姿勢制御エンジンを噴射して軌道投入に成功した探査機となった。
投入に当たって工学チームは、あらゆる異常を想定し、対策を用意していた。それでも救えない不具合も想定し、手動制御も準備。エンジン噴射は「非常に長い噴射だったが、1つのサインも見逃さないよう全員が集中して臨んだ」と廣瀬氏は振り返る。
「4つのスラスタがまんべんなく吹いた」ことが成功につながった1つの要因だと中村氏。「非常に丁寧にエンジンを選び、出力を合わせ込んで装着するなど、丁寧に探査機を作ったことが、非常事態に役に立った」。
最初の軌道投入に失敗したあかつきだが、「失敗することで、想像力をどこに働かせればいいのか勘所が分かってくる」と中村氏。「失敗をたくさんした米国や旧ソビエトは今はたくさん成功するようになったが、日本はまだその緒に就いたばかり。やっとこれで、日本も惑星探査で世界の仲間入りができ、日本が世界にデータを供給できるようになった」。
●「投入」前日に「豆乳」鍋
2歳5カ月の娘を持つ廣瀬氏は、家族に支えられてここまで来たと話す。「夜遅く帰っても、娘は私の顔をみると大はしゃぎするので、本当に我慢しているんだなと分かった」。
軌道投入の前日、夫が豆乳鍋を作ってくれたという。「投入(とうにゅう)でしょ、と。娘と夫と3人で食べた。そういうことの支えの連続だなと」。投入に成功した様子をテレビで見た娘は「あかつき頑張ったね」と言ってくれたという。
今後あかつきチームは、5年間寝かせてきた機器の再起動や、劣化した機体の慎重な運用、微妙な軌道制御など、「厳しい運用が続く」と中村氏。「皆様のご支援をお願いしたいと思います」。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151209-00000111-zdn_n-sci
地味な研究を続けて真面目にコツコツお仕事をする日本人がいるから日本は先進国でいられるし、資源も無いのにみんなで働いてお金を稼いで、食料を輸入して
ほとんどの日本人が毎日ご飯を食べていけているんだなあ。
工学チームのみなさまの今後のご活躍をお祈りしております。日本政府は宇宙航空研究開発機構(JAXA)を大事にしないといけないね。
今までの地味な活動にお金を出して来たのは日本政府。税金を出しているのは我々。
なんだか、いいニュースだった。TVのニュースでも夫が豆乳鍋を作ってくれたという話を聞いて、素敵なご主人だなと思った。みんなで支え合ってできた仕事だと言っているのだ。さすが日本人。謙虚なコメントですね。とても嬉しそうに語っておられたので、こちらまで嬉しくなったよ。