【南シナ海緊迫】米中国防相会談 15分の予定が40分に 双方主張ぶつけ合う | 日本のお姉さん

【南シナ海緊迫】米中国防相会談 15分の予定が40分に 双方主張ぶつけ合う

2015.11.3 21:35更新
【南シナ海緊迫】
米中国防相会談 15分の予定が40分に 双方主張ぶつけ合う

中国の常万全国防相(右)とカーター米国防長官(AP)

【クアラルンプール=吉村英輝】中国が南シナ海で造成した人工島付近で米軍艦が航行を行ってから、米中の担当閣僚が初めて直接対(たい)峙(じ)した。国際法を根拠に人工島を領海の起点とみとめない米国と、南シナ海での「歴史的な権利」を主張する中国が双方の主張をぶつけ合い、東南アジア諸国を巻き込んだつばぜり合いが激しくなりそうだ。

「良い会談だったよ」-。米中国防相会談後、クアラルンプール近郊のホテルを後にしたカーター米国防長官は、言葉とは裏腹に記者団の問いかけに厳しい表情を崩さなかった。中国の常万全国防相も、記者団を振り切るように車に乗り込み会場から去った。

会談は15分の予定が30分に変更され、実際には約40分にわたり協議が続き、突っ込んだやりとりが交わされたことを印象づけた。

カーター氏は中国側に「航行の自由」を重視する米政府の基本的な立場を伝えたとみられるが、中国との会談に先立ち、日本の中谷元防衛相に、「南シナ海が開かれた自由で平和な海でなければならない」と指摘し、中国との対話継続の重要性を強調。ロイター通信によると、中国を訪問した米太平洋軍のハリス司令官は3日、北京大で行った講演で、米中の軍事的衝突の可能性を否定した。
中国側はこれまで、米軍艦が再び人工島周辺に入った場合、軍事的な対応も辞さない姿勢を示している。一方で、米軍との正面衝突は避けたいのが本音で、不測の事態が起こらないよう協議した可能性がある。

 中国は、常氏がマレーシアで各国の国防相と会談を複数こなした後、親中国のカンボジアを訪れる。各国に経済支援をちらつかせながら、南シナ海問題で米国に同調しないよう圧力をかけるとみられる。

 米国は日本などと連携し、これら中国が切り崩しをはかる周辺国に働きかけ、法による秩序の維持に理解を求める方針だ。ただ、周辺国には「南シナ海のためにオバマ政権が中国と事を構えるとは思えない」(外交筋)との疑念も強く、米中の激しい「多数派工作」が続きそうだ。
http://www.sankei.com/world/news/151103/wor1511030053-n2.html