米軍艦、中国人工島付近を再び航行へ 当局者
米軍艦、中国人工島付近を再び航行へ 当局者
AFP=時事 10月28日(水)7時46分配信
中国が滑走路を建設しているとされる南シナ海の南沙諸島・永暑礁の衛星画像(2015年4月2日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】米海軍は、中国が南シナ海(South China Sea)に建設中の人工島付近にさらなる艦船を派遣する予定だと、米当局者が27日、明らかにした。
人工島付近の米艦航行は「主権への脅威」、中国政府
米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン(Lassen)」は現地時間の同日朝、周辺国による領有権争いの的となっている南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島、Spratly Islands)で中国が自国領土と主張している人工島のうち少なくとも一つの12カイリ(約22キロ)内に進入。これに中国政府は激怒し、駐中国米大使を呼び抗議した他、「主権に対する脅威」と強く非難した。
匿名を条件にAFPの取材に応じた米当局者は、米軍が人工島付近の航行を「再び実施する」と言明。「国際水域においては、自由な時間と場所で航行する」と語った。
また、上院軍事委員会の公聴会で証言したカアシュトン・カーター(Ashton Carter)国防長官も、人工島周辺の12カイリ水域内でさらなる活動を行うことを示唆。「われわれは、国際法で認められている場所であればどこでも飛行・航行し、作戦を展開する、という原則にのっとって行動している」と述べた。
複数の諸国が領有権を主張している南沙諸島で、中国が岩礁を埋め立てて軍事施設の支援につながるような人工島を造成し始めて以来、同海域をめぐる緊張は高まる一方となっている。中国は、この人工島周辺を領海と主張しているが、米政府はこれを認めない意向を繰り返し表明している。【翻訳編集】 AFPBB News
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151028-00000001-jij_afp-int
米艦船、南シナ海人工島航行 比・ベトナム、米と協力強化
産経新聞 10月28日(水)7時55分配信
米艦船、南シナ海人工島航行 比・ベトナム、米と協力強化
中国の南シナ海における進出と周辺国の海上・航空戦力比較(写真:産経新聞)
■インドネシアも中国牽制
【シンガポール=吉村英輝】南シナ海の領有権で中国と衝突するフィリピンやベトナムは、軍備を増強しながら実効支配を強める中国に対抗しようとしているが、中国とは圧倒的な兵力の差がある。米国が今回、中国が建造中の人工島周辺で「領海」と主張する海域で艦船による示威行動に踏み切ったことで、これら周辺国が米国と連携を強めていくのは確実だ。
フィリピンは、中国の南シナ海における領有権主張は国際法に違反するとして、常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に提訴している。中国は対応を拒んでおり、同裁判所は管轄権を有するか否かを年内にも判断し、結論は来年前半にも出る見通しだ。
フィリピンが国際的な司法の場に訴えざるを得なかった背景には、外交筋が「東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも最弱」と指摘する体制の不備がある。戦後の防衛を米国に頼ってきたためだ。
冷戦終結を受けて撤退した米軍を呼び戻すため、フィリピンは昨年4月、国内への米軍駐留を可能とする新軍事協定に調印。合同軍事演習の規模を拡大するなど、中国に対抗するため米国と関係を深めている。
ベトナムも急速に米国へと接近している。グエン・フー・チョン共産党書記長は今年7月、1975年のベトナム戦争終結後、同国の最高指導者として初めて訪米し、オバマ米大統領と会談。名指しを避けながら、中国による南シナ海での一方的な行動への懸念を共有した。
ベトナム近海では、中国が海底油田の掘削を強行したほか、漁船への攻撃などを続け、国内で反中世論がくすぶり続けている。チョン氏は南シナ海への米国の関与に歓迎を表明しており、米国もベトナムの海洋防衛能力向上への協力などを進める方針だ。
これまで南シナ海問題では「中立」の立場だったインドネシアのジョコ大統領も26日、訪問先の米国でオバマ大統領と会談し、共同声明では南シナ海について「緊張を高め、信頼を損ない、平和と安全をむしばもうとする動き」を批判して中国を牽制(けんせい)した。オバマ氏は記者団に、「インドネシア海軍の近代化支援など、海洋安全保障を含む防衛協力を話し合った」とした。インドネシアは中国の海洋進出圧力に不信感を強めており、南シナ海問題で米国と歩調を合わせる姿勢を強めたといえる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151028-00000077-san-asia
米イージス艦南シナ海派遣 ようやく重い腰あげたオバマ政権 軍事拠点化に危機感
【ワシントン=青木伸行】オバマ米大統領は、中国が南シナ海に建設している人工島の12カイリ(約22キロ)内に米海軍の艦船を航行させ、ようやく重い腰を上げた。今後はこうした示威行動の継続性が問われる。
米軍の対中示威行動は2013年11月、中国が東シナ海上空に防空識別圏を設定したと宣言した直後、グアムから2機のB52戦略爆撃機を急派して以来。これまで米軍艦船はオバマ氏の指示により、12カイリ内に入ることを自制してきた。
オバマ氏がこのタイミングで示威行動に踏み切ったのは、強い危機感を背景にした国防総省からの突き上げが大きい。
国防総省は人工島の一つで3千メートル級の滑走路が完成したとみているなど、軍事拠点としての運用開始が切迫しており、中国が南シナ海上空に防空識別圏を設定することも現実味を帯びてきたと認識している。
また、フィリピン北部ルソン島の西220キロに位置し、中国艦船がなお居座っているスカボロー礁でも、人工島を建設する可能性が高いとみている。
外交上の要因もある。9月末にワシントンで行われた米中首脳会談は、南シナ海問題をめぐる膠着(こうちゃく)状態を打開する糸口が見いだせず「失敗」に終わった。
これに加え、11月にはマレーシアで、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国や米中などが参加する東アジアサミットが開かれることもあり、そこへ向け強い姿勢を打ち出す必要に迫られたとみられる。
一方、同盟国フィリピンは米軍の「12カイリ作戦」を強く待望し、米国内では大統領選も絡み共和党から、オバマ氏の「及び腰」に対する批判が高まっていた。このまま行動による抵抗を示さなければ、南シナ海問題は確実にオバマ政権の「負の遺産」になる。
米政府はこれまでにフィリピンやベトナム政府から、自国が実効支配する島々での埋め立て工事などについて、中国が人工島の建設をやめることに同意した場合は中止するとの言質を得ているという。こうした外交努力を実らせる上でも、中国の活動を少しでも阻止する必要がある。
今回の決断はオバマ政権の一定の「本気度」を示すものとして評価できる。ただ、遅きに失した感は否めず、また継続的に「12カイリ作戦」を実施しなければ意味をなさない。本気度が問われるのは、むしろこれからだといえよう。
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/151027/wor15102721590043-n1.html
中国「人民元国際化」に日米から痛烈批判 習政権の野望“崩壊寸前”
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2015.10.13 20:44
地下350mの世界 「核のごみ」はどう処分するのか[PR]
ペルーの首都リマで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、失速する中国経済がやり玉に挙がり、中国発の経済危機懸念があらためて世界各国で共有された。当地では国際通貨基金(IMF)が運営方針を決める国際通貨金融委員会(IMFC)も開かれ、人民元の国際通貨採用について、日米から痛烈な批判を浴びた。通貨でも大国の一角を占めようとしている中国だが、資金流出は止まらず、習近平政権の野望も崩壊寸前だ。
IMFは9日午後(日本時間10日午前)、IMFCを開き、共同声明を採択して終了した。中国など新興国経済の減速が世界全体の景気を押し下げ、成長が鈍化していることに懸念を示した。
会合で最大の焦点となったのは、中国が人民元を国際通貨にするため、IMFの準備資産である特別引き出し権(SDR)に採用するよう働き掛けている件だ。現在は円、ドル、ユーロ、ポンドの4通貨で構成しており、IMFは中国の対応を見極めて年内に結論を出す方針だ。
ロイター通信によると、中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は、中国の一連の改革が完了した段階で、「人民元がSDR採用に向けた要件を満たすことができると確信している」と述べ、人民元をSDRに採用するようあらためて要請した。
しかし、日本からは「議論は十分に確立した原則に基づいて行われるべきだ」として性急な議論にクギを刺す声が出た。また、米国からは、人民元の自由な移動を認める手法について、中国当局は「よちよち歩きに過ぎない」との指摘も出たという。
前出のロイターは、「パニックや危機が起きた瞬間に中国当局が資本の移動を取り締まるのではという恐れがある限り、人民元を準備通貨とすることはできない」というサンフランシスコ連銀総裁のコメントを紹介している。
中国人民銀行はG20とIMFCにタイミングを合わせる形で、人民元建て貿易の決済を簡素化するため新しい取引システムの運用を始めたと発表。決済を円滑にすることにより「元の国際化の重要な支えとする」(人民銀)狙いだ。
国際銀行間通信協会(SWIFT)が、国際的な資金決済に使う通貨の中で、人民元のシェアが8月に日本円を初めて上回り、世界4位になったと発表したことに便乗する形でアピールに必死だが、中国当局が人民元相場を誘導するなど不透明さは払拭できないままだ。
8月の人民元切り下げをきっかけに中国からの資金流出が加速し、あわてた中国当局は、今度は米国債を売却するなどして人民元の買い支えに回った。その結果、7~9月期の外貨準備高は、1810億ドル(約21兆6000億円)減の3兆5100億ドルと、1995年以降最大の減少幅を記録したとブルームバーグは報じている。
「中国の動向は世界経済にとって大きな影響を与える」。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が会合前にこう明言した通り、中国経済の失速問題がG20の主要な議題となった。
麻生太郎財務相はG20会合に先駆けて開かれた中国の楼継偉財政相との会談で、構造改革の確実な実施を中国側に突きつけた。麻生氏は、G20会合のワーキングディナーでは「中国経済の話は出なかった」としたものの、中国を発火点とした新興国の景気失速が、世界の経済成長を鈍化させかねないという懸念は各国で共有された。
9月に開かれた前回のG20財務相・中央銀行総裁会議では、楼財政相が「中国経済の苦難は10年間続くかもしれない」と打ち明け、中国人民銀行の周小川総裁も「バブルがはじけるような動きがあった」と認めた。
それから約1カ月が経過したが、事態は何ら好転していない。
IMFのラガルド専務理事は人民元のSDR採用に前向きとされるが、8日の記者会見では「世界経済はいくつもの転換点を同時に迎えている」と訴え、中国経済の減速をその理由に挙げた。
過剰債務や不透明な経済指標、人民元への当局の介入、国有企業改革など、SDR採用の前に中国がやるべきことは山積している。
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/151013/wor15101320440025-n1.html
AFP=時事 10月28日(水)7時46分配信
中国が滑走路を建設しているとされる南シナ海の南沙諸島・永暑礁の衛星画像(2015年4月2日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】米海軍は、中国が南シナ海(South China Sea)に建設中の人工島付近にさらなる艦船を派遣する予定だと、米当局者が27日、明らかにした。
人工島付近の米艦航行は「主権への脅威」、中国政府
米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン(Lassen)」は現地時間の同日朝、周辺国による領有権争いの的となっている南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島、Spratly Islands)で中国が自国領土と主張している人工島のうち少なくとも一つの12カイリ(約22キロ)内に進入。これに中国政府は激怒し、駐中国米大使を呼び抗議した他、「主権に対する脅威」と強く非難した。
匿名を条件にAFPの取材に応じた米当局者は、米軍が人工島付近の航行を「再び実施する」と言明。「国際水域においては、自由な時間と場所で航行する」と語った。
また、上院軍事委員会の公聴会で証言したカアシュトン・カーター(Ashton Carter)国防長官も、人工島周辺の12カイリ水域内でさらなる活動を行うことを示唆。「われわれは、国際法で認められている場所であればどこでも飛行・航行し、作戦を展開する、という原則にのっとって行動している」と述べた。
複数の諸国が領有権を主張している南沙諸島で、中国が岩礁を埋め立てて軍事施設の支援につながるような人工島を造成し始めて以来、同海域をめぐる緊張は高まる一方となっている。中国は、この人工島周辺を領海と主張しているが、米政府はこれを認めない意向を繰り返し表明している。【翻訳編集】 AFPBB News
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151028-00000001-jij_afp-int
米艦船、南シナ海人工島航行 比・ベトナム、米と協力強化
産経新聞 10月28日(水)7時55分配信
米艦船、南シナ海人工島航行 比・ベトナム、米と協力強化
中国の南シナ海における進出と周辺国の海上・航空戦力比較(写真:産経新聞)
■インドネシアも中国牽制
【シンガポール=吉村英輝】南シナ海の領有権で中国と衝突するフィリピンやベトナムは、軍備を増強しながら実効支配を強める中国に対抗しようとしているが、中国とは圧倒的な兵力の差がある。米国が今回、中国が建造中の人工島周辺で「領海」と主張する海域で艦船による示威行動に踏み切ったことで、これら周辺国が米国と連携を強めていくのは確実だ。
フィリピンは、中国の南シナ海における領有権主張は国際法に違反するとして、常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に提訴している。中国は対応を拒んでおり、同裁判所は管轄権を有するか否かを年内にも判断し、結論は来年前半にも出る見通しだ。
フィリピンが国際的な司法の場に訴えざるを得なかった背景には、外交筋が「東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも最弱」と指摘する体制の不備がある。戦後の防衛を米国に頼ってきたためだ。
冷戦終結を受けて撤退した米軍を呼び戻すため、フィリピンは昨年4月、国内への米軍駐留を可能とする新軍事協定に調印。合同軍事演習の規模を拡大するなど、中国に対抗するため米国と関係を深めている。
ベトナムも急速に米国へと接近している。グエン・フー・チョン共産党書記長は今年7月、1975年のベトナム戦争終結後、同国の最高指導者として初めて訪米し、オバマ米大統領と会談。名指しを避けながら、中国による南シナ海での一方的な行動への懸念を共有した。
ベトナム近海では、中国が海底油田の掘削を強行したほか、漁船への攻撃などを続け、国内で反中世論がくすぶり続けている。チョン氏は南シナ海への米国の関与に歓迎を表明しており、米国もベトナムの海洋防衛能力向上への協力などを進める方針だ。
これまで南シナ海問題では「中立」の立場だったインドネシアのジョコ大統領も26日、訪問先の米国でオバマ大統領と会談し、共同声明では南シナ海について「緊張を高め、信頼を損ない、平和と安全をむしばもうとする動き」を批判して中国を牽制(けんせい)した。オバマ氏は記者団に、「インドネシア海軍の近代化支援など、海洋安全保障を含む防衛協力を話し合った」とした。インドネシアは中国の海洋進出圧力に不信感を強めており、南シナ海問題で米国と歩調を合わせる姿勢を強めたといえる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151028-00000077-san-asia
米イージス艦南シナ海派遣 ようやく重い腰あげたオバマ政権 軍事拠点化に危機感
【ワシントン=青木伸行】オバマ米大統領は、中国が南シナ海に建設している人工島の12カイリ(約22キロ)内に米海軍の艦船を航行させ、ようやく重い腰を上げた。今後はこうした示威行動の継続性が問われる。
米軍の対中示威行動は2013年11月、中国が東シナ海上空に防空識別圏を設定したと宣言した直後、グアムから2機のB52戦略爆撃機を急派して以来。これまで米軍艦船はオバマ氏の指示により、12カイリ内に入ることを自制してきた。
オバマ氏がこのタイミングで示威行動に踏み切ったのは、強い危機感を背景にした国防総省からの突き上げが大きい。
国防総省は人工島の一つで3千メートル級の滑走路が完成したとみているなど、軍事拠点としての運用開始が切迫しており、中国が南シナ海上空に防空識別圏を設定することも現実味を帯びてきたと認識している。
また、フィリピン北部ルソン島の西220キロに位置し、中国艦船がなお居座っているスカボロー礁でも、人工島を建設する可能性が高いとみている。
外交上の要因もある。9月末にワシントンで行われた米中首脳会談は、南シナ海問題をめぐる膠着(こうちゃく)状態を打開する糸口が見いだせず「失敗」に終わった。
これに加え、11月にはマレーシアで、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国や米中などが参加する東アジアサミットが開かれることもあり、そこへ向け強い姿勢を打ち出す必要に迫られたとみられる。
一方、同盟国フィリピンは米軍の「12カイリ作戦」を強く待望し、米国内では大統領選も絡み共和党から、オバマ氏の「及び腰」に対する批判が高まっていた。このまま行動による抵抗を示さなければ、南シナ海問題は確実にオバマ政権の「負の遺産」になる。
米政府はこれまでにフィリピンやベトナム政府から、自国が実効支配する島々での埋め立て工事などについて、中国が人工島の建設をやめることに同意した場合は中止するとの言質を得ているという。こうした外交努力を実らせる上でも、中国の活動を少しでも阻止する必要がある。
今回の決断はオバマ政権の一定の「本気度」を示すものとして評価できる。ただ、遅きに失した感は否めず、また継続的に「12カイリ作戦」を実施しなければ意味をなさない。本気度が問われるのは、むしろこれからだといえよう。
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/151027/wor15102721590043-n1.html
中国「人民元国際化」に日米から痛烈批判 習政権の野望“崩壊寸前”
123Next
2015.10.13 20:44
地下350mの世界 「核のごみ」はどう処分するのか[PR]
ペルーの首都リマで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、失速する中国経済がやり玉に挙がり、中国発の経済危機懸念があらためて世界各国で共有された。当地では国際通貨基金(IMF)が運営方針を決める国際通貨金融委員会(IMFC)も開かれ、人民元の国際通貨採用について、日米から痛烈な批判を浴びた。通貨でも大国の一角を占めようとしている中国だが、資金流出は止まらず、習近平政権の野望も崩壊寸前だ。
IMFは9日午後(日本時間10日午前)、IMFCを開き、共同声明を採択して終了した。中国など新興国経済の減速が世界全体の景気を押し下げ、成長が鈍化していることに懸念を示した。
会合で最大の焦点となったのは、中国が人民元を国際通貨にするため、IMFの準備資産である特別引き出し権(SDR)に採用するよう働き掛けている件だ。現在は円、ドル、ユーロ、ポンドの4通貨で構成しており、IMFは中国の対応を見極めて年内に結論を出す方針だ。
ロイター通信によると、中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は、中国の一連の改革が完了した段階で、「人民元がSDR採用に向けた要件を満たすことができると確信している」と述べ、人民元をSDRに採用するようあらためて要請した。
しかし、日本からは「議論は十分に確立した原則に基づいて行われるべきだ」として性急な議論にクギを刺す声が出た。また、米国からは、人民元の自由な移動を認める手法について、中国当局は「よちよち歩きに過ぎない」との指摘も出たという。
前出のロイターは、「パニックや危機が起きた瞬間に中国当局が資本の移動を取り締まるのではという恐れがある限り、人民元を準備通貨とすることはできない」というサンフランシスコ連銀総裁のコメントを紹介している。
中国人民銀行はG20とIMFCにタイミングを合わせる形で、人民元建て貿易の決済を簡素化するため新しい取引システムの運用を始めたと発表。決済を円滑にすることにより「元の国際化の重要な支えとする」(人民銀)狙いだ。
国際銀行間通信協会(SWIFT)が、国際的な資金決済に使う通貨の中で、人民元のシェアが8月に日本円を初めて上回り、世界4位になったと発表したことに便乗する形でアピールに必死だが、中国当局が人民元相場を誘導するなど不透明さは払拭できないままだ。
8月の人民元切り下げをきっかけに中国からの資金流出が加速し、あわてた中国当局は、今度は米国債を売却するなどして人民元の買い支えに回った。その結果、7~9月期の外貨準備高は、1810億ドル(約21兆6000億円)減の3兆5100億ドルと、1995年以降最大の減少幅を記録したとブルームバーグは報じている。
「中国の動向は世界経済にとって大きな影響を与える」。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が会合前にこう明言した通り、中国経済の失速問題がG20の主要な議題となった。
麻生太郎財務相はG20会合に先駆けて開かれた中国の楼継偉財政相との会談で、構造改革の確実な実施を中国側に突きつけた。麻生氏は、G20会合のワーキングディナーでは「中国経済の話は出なかった」としたものの、中国を発火点とした新興国の景気失速が、世界の経済成長を鈍化させかねないという懸念は各国で共有された。
9月に開かれた前回のG20財務相・中央銀行総裁会議では、楼財政相が「中国経済の苦難は10年間続くかもしれない」と打ち明け、中国人民銀行の周小川総裁も「バブルがはじけるような動きがあった」と認めた。
それから約1カ月が経過したが、事態は何ら好転していない。
IMFのラガルド専務理事は人民元のSDR採用に前向きとされるが、8日の記者会見では「世界経済はいくつもの転換点を同時に迎えている」と訴え、中国経済の減速をその理由に挙げた。
過剰債務や不透明な経済指標、人民元への当局の介入、国有企業改革など、SDR採用の前に中国がやるべきことは山積している。
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/151013/wor15101320440025-n1.html